44
夜、焚き火を眺めながら願いは何にしようか考えてボーッとしてるとミレイルに居場所でも聞いたのかヒロキ君が一人で会いに来た、何やら真剣な顔でこっちに近付いて来るので喧嘩を売りに来たヤンキーにしか見えなかったが。
『ニールさん、頼みがあります、俺を鍛えてください』
「わかった、なら盗賊や悪人を沢山殺せ、そしたら強くなる」
『ちがーう!そうじゃない!訓練に付き合ってくださいよ!』
「う~ん、俺武器ってあんまり使わないからヒロキ君よりたぶん下手だぞ?」
『それでもいいです、お願いします』
「はぁ、わかったよ、とりあえず素手で相手するがどうなっても知らないぞ」
俺は人の姿に変身して軽く両手を前に出して構える、ヒロキ君は何処で拾ってきたのか異空間から木刀を取り出し構え、打ち込んで来た。
「ふんっ!」『グェッ!』
上から打ち込んできた木刀の側面に手を当て外に流しそのままエルボーのように胸を強打した。
『痛ってぇ~』
ヒロキ君は構えを解き胸を押さえ方膝をついた。
「ヒロキは首を切り飛ばされ死んだ」
『え?』
「ほら次だかかって来い」
『....ふぅー、オラァー!』
「ふんっ!」『きゅぅっ!』
ヒロキ君は突きで俺の鳩尾目掛けて突っ込んで来たのでこちらも突っ込み攻撃を避け首を締めた。
『うぇ... ゴホッ ゴホ』
ヒロキ君は片手で首を押さえ苦しそうだが武器は構えたままだった。
「ヒロキは魔法で燃やされ死んだ」
『ちょっと待ってくださいよ!』
「ヒロキは後ろから斬られ死んだ」
『えぇ!ちょっと本当に待ってくださいよ!』
「なんださっきからうるさいな!」
『いやいやいや!何なんすかもう!説明してください!』
「はぁ...最初に敵の攻撃を受けて構えもせず頭を下げるのは首を斬り飛ばしてくださいと言ってるようなもんだ、次に攻撃を受けて武器を離さず構えてたのは良いが魔法使いには無意味だ、最後に戦闘中に目の前の敵に待てと言っても後ろの敵は待ってくれないぞ?人を相手にするならもっと気を付ける事がある」
『厳しい!』「やかましい!」
楽しくなって来たのでそのまま二時間ほど相手をして訓練を終わらせ、ヒロキ君は逃げるように自分の部屋に帰って行った。
『部屋に帰って来ないから何をしてるのかと思ったらこんな所で稽古?』
「おや、こんばんはエルサ様、鍛えてくれと言うから鍛えてたんですよ」
エルサは俺を迎えに来たと言いちゃんとベットも用意したからこれからは部屋に帰って来なさいと言った後、罪を許し天界にいつでも帰れるようになった事のお礼を言ってきた。
『ところで、この前貴方が出してくれた炭酸ジュースって飲み物出してもらえない?あれが飲みたくって!』
「まさかそれが目当てで俺にエルサ様の部屋で過ごせと言ったんですか?」
『当たり前じゃない、まあ貴方を信用してるから私の部屋で過ごさせてあげてるのも事実よ?』
「はぁそうですか、エルサ様が寝たら口の中に色々入れてみますかね、色々と」
『そんな事したらその首ネジリ切るわよ』
そんなふざけ話をしながらエルサの部屋に行き、炭酸ジュースを出してやり魔王をどんな風に調教して育てるか話し込んだ後眠りについた。




