B-22
「この檻どうやって開けるんだ?繋ぎ目も見えねーし」
『鍵穴も無いね..ねぇ魔..たしかアルミナって言ってたよね?アルミナちゃんはどうやっていつも檻から出して貰ってるの?』
『そこに住んでるお姉ちゃんはここの棒を握って何かしてたの』
『これを握って何かを?何だろう、何か仕掛けがあるのかな?』
『魔力を流すんじゃないか?貴族や城の重要な場所には普通の鍵じゃなく魔力を使って鍵を閉めると聞いた事がある』
『へ~さっすがエルフ!物知りで頼りになるぅ~!』
リサはミレイルの助言を受け魔王から聞いた檻の柵の一本を握り魔力を流し込むイメージをしてみると薄く光だした。
『光はするが何も起きないな、これで合ってるのかアルミナ?』
『うん、でもお姉ちゃんが握るともっと光ってたの』
「流す魔力が足りねーんじゃねーか?」
再びリサが魔力を流すが先程より光はしたがやはり檻は開かなかった。
『たぶん女神様が作った檻なら私一人じゃ無理だよ、三人で全力で魔力を流してみるくらいじゃなきゃ開かないんじゃない?』
「やって見るか?それでも開かなかったらアルミナちゃんには悪いが檻の中で我慢してもらうしかないけどよ」
『よし、やってみよう、アルミナも手伝ってくれないか?四人でやれば開くかもしれない』
『....ごめんなさい、この檻の中じゃ魔力は使えないの』
『そうか、なら仕方ないな、三人でやってみるか』
勇者三人で一本の棒を握り、全力で魔力を流してみる、すると眩しいほど棒が光だしピシピシひび割れるような音が聴こえてきたがそれでも足りないようだった。
『もう少し...もう少しだから皆頑張って..』
「まだ開かねーのか...」
『あと少しだ...もっと強く魔力を流せ!』
三人は更に流す魔力を強め魔力残量が空になりそうになってようやく(パリンッ!)とガラスが割れるような音がして柵の一本が消えて無くなった、すると魔王を囲っていた檻も薄くなっていき、完全に消えてしまった。
「はぁ~疲れたぁ、やっと開いたっていうか檻が無くなったな!」
『さすが女神様ね..魔力をほとんど使っちゃったし、ほんとに疲れたよ』
『不思議な檻だったな、それより何か食べようか、アルミナはいつも何食べているんだ?』
『....』
『アルミナちゃん?』
「どうしたうつむいて?眩しかったか?」
『?』
魔王アルミナは心配そうに話しかけてくる三人に(ニタァ~)と嫌な笑みを見せ、手を前に出し黒い火球の魔法を至近距離から撃ち込んだ。




