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B-21

 後日、宿近くの店で三人は女神エルサに会いに行こうかどうするか話し合っていた、過去の勇者との力の差の理由を知りたいからだ。


「昨日はいきなりあんな事になったから女神様に挨拶も出来なかったもんな、気になる事をさっさと聞いてダンジョンに集中しようぜ」


『そうね、聞くだけならすぐだし早く済ませちゃおう』


『しかし我々だけで会いに行って大丈夫なのか?ニール様は先に魔王が檻に入ってるのを確認しに行っていたから我々もそうするべきでは?』


「大丈夫だってミレイル、何かあれば転移で逃げれば問題ないし心配なら俺が先に見に行ってもいいぜ?」


 リサとミレイルは若干の不安はあるがヒロキに先に見に行ってもらう事にし、何かあっても絶対に一人で戦わないよう念押しして転移するのを見届けた。


 ヒロキは昨日来た場所に転移し、魔王の姿を確認しようとそーっと近付いて行き草木の影から覗き見すると魔王は大人しく檻の中で体育座りをしてうつむいていた、確認出来たのですぐ二人の元に転移する。


「魔王は大人しく檻の中で座ってたぜ」


『そう、なら私達もすぐ行ってさっさと女神様に聞きに行こう!』


 三人は再び昨日転移して来た場所に転移し、女神様の家に近付いていく、魔王もこちらに気付いたがジーッと見てるだけで何も言ってこない。


「しかし本当に黙っていたらただの可愛い子供だよな、肌は悪魔っぽいけど」


『昨日と違ってやけに大人しいな、ニール様にはスゴい反応するのに』


『一度戦ってるからじゃない?』


 三人は魔王を見ながら喋ってると魔王が立ち上がり話しかけてきた。


『ねぇ、ここから出して?私何も悪いことしてないのにここに連れて来られて閉じ込められてるの、お願い、お家に帰りたい...』


 昨日の姿とは真逆の態度の魔王に困惑する三人、まるで誘拐された子供が悲しげに助けを求めて来てるようで魔王だと言う事を一瞬忘れてしまったほどに。


『だ..騙されちゃダメよ二人共!あの子は魔王なんだから!』


「わかってるよ..」


『...』


『ねぇ、私が何したの?お父さんとお母さんが殺されちゃって、泣いてたらそこに住んでるお姉ちゃんに閉じ込められて毎日痛い事されるの、助けてよ...』


 三人は普通に話せて悲しげに身の上話を語る魔王が本当に悪い魔王なのか分からなくなっていた、それは女神エルサが昨日魔王を守っていた事も原因で警戒が緩んでしまった。


「でもお前、ニールさんと戦ったんだろ?何で戦ったんだ?」


『ニールさん?誰?』


『昨日来た天使よ、羽の生えた』


『...あいつ、ニールって言うんだ...』


 ニール、ニールと名前を覚えようとしているのか何度も呟きだした魔王、顔を上げてヒロキの質問に答えるが三人は更に困惑した、ニールが両親を殺した奴だから戦ったと言い出したのだ。


「なぁ..取り合えず女神様に聞きに行こうぜ..」


『ああ、そうしよう..』


『うん..』


 三人は魔王の話を信じようとしていた、それは女神レミアが同じ女神のエルサが魔王を育てている事を自分達には話さなかった事も原因となり、ニールも何か隠していて自分達は騙されているんじゃないかと思いはじめていた。


 三人は家のドアを叩くが誰も出てこない、声をかけても反応が無いのでどうしようか話していると再び魔王が話しかけて来た。


『そこに住んでるお姉ちゃんは昨日からいないよ』


「昨日から?じゃあお前ずっとそこに居たのか?」


『うん...私お腹空いたの、お願い出して?助けてください...』


 三人は虐待を受け助けを求めるお腹を空かせた子供にしか見えない魔王を出してやるか話し合い、『悪い事しない』と言う魔王を信じて女神様が帰って来るまではここで一緒に居る事を約束して出してやる事にした。

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