B-15
ニールが天使姿に変身するとまだ見たことなかったリズミィとミレイルは『おぉ!』と声を漏らし驚いていた。
「取り合えず外に出るか、悪いがみんな俺に掴まってくれ、誰もいない場所に案内する」
俺が思い付いた技を夜な夜な試している実験場所に転移して、ミレイル以外は離れてもらう。
「それじゃミレイル、力を譲渡する、怖いだろうが我慢して受け入れるように」
『え?怖いって?』
俺は胸の前に火があり風で消えないよう両手で囲むように構え、勇者の力が中心に集まり光の玉が出来るよう意識し、創造神様に教えてもらった呪文を頭の中で繰り返し唱えながら自分の魂から力を抜いていく。
力が集まるにつれて光が強くなっていき、パチパチ音がしだす、更に光が強くなってバチバチと放電しているかのような玉になりものすごい音を出しながら光輝く玉が出来た。
「神様達ならこんな事しなくても力を渡せるらしいんだが俺は神じゃないからな、勇者の力を外に出さないと譲渡出来ないから我慢してくれ」
輝く玉を見て小刻みに震えているミレイル、俺も天界で譲渡の仕方を教わり試して玉を見た時はびびったもんだと思いながら玉をミレイルの胸に押し込んでいく、目をギュッとつむり何かに耐えているようなミレイルに譲渡が終わった事を告げる。
「終わったぞ、後はどう意識して集中するのかと呪文を教えるだけだが、これは絶対に勇者の力を譲渡する奴以外には教えるなと言われているから守るように」
『はい、必ず守りますニール様』
その後、新生勇者の誕生だとヒロキ君が茶化しながら賛辞を送りミレイルはリサちゃんと抱き合いながら喜んでいた。
『ニールの事にも驚いたが貴重な場面を見れて私は嬉しいよ、ニールはこれからも私の友人でいてくれるか?』
「何を今更、俺の帰る家はあの街にあるんだ、騒ぎにならなきゃずっとリズミィとは友人でいるよ」
『そうか』
俺とリズミィはそんな会話をしながら喜びあってる三人を見ていると突然ミレイルがオロオロしだした。
『なんだ...何なんだこの異常なステータスは...』
『どうしたの?...うわっ!何このステータス!』
ミレイルは自分のステータスを見て驚愕していた、レベルも能力値も数倍に跳ね上がっていたが今まで使えていた魔法の表記が全て消えていたのだ。
『ミレイルは魔法使えなくなったの?』
「多分使えるから試してみればいい」
俺の言葉に疑問を抱きながらミレイルは遠くにある岩に目掛けて魔法を放とうと手を前に出し青白い火の玉を放った、『ちょ!?』とミレイルがなぜか驚いているが飛んで行った火の玉は岩に当たると爆発して粉々に吹き飛んだ。
「な..なんだあれ」
『ミレイル何の魔法使ったの?何あれ?』
『わからん...私にもわからん..いつも使っている魔法を使っただけだ』
何を驚いているのか聞いてみるといつもの火球は赤い玉で、飛んでいく速度もあんなに速くないし威力も低いとオロオロしながら説明するミレイル、試しにヒロキ君とリサちゃんにも魔法を見せてもらうと確かに赤く速度も遅く岩に当たっても焼かれて軽くえぐれてるくらいの岩が立っていただけだった。
俺も試しに火球の魔法をイメージして放つとミレイルと同じ火球が飛んで行き岩に当たると爆発して粉々に吹き飛んだ。
「お~!ちゃんとした攻撃魔法ってこんな感じか、なるほど」




