B-14
ニールの家に招かれ入っていく三人、中は家具も何も無く部屋の角に何か木のコップや箱が積まれているだけの8畳程の部屋だった。
『うわぁ~何にもねーな、ニールさん普段部屋で何してるんだ?』
『うわっ!ホントだ、何にもない...』
「普段は寝るか飲むか食べるかしかしてないな、それ以外は外に出かけてるし、所でそちらのエルフさんは?」
『初めまして、私はミレイル、勇者の仲間になる為に里から出てきて今は共に魔王を倒す仲間として行動しています、よろしく』
「そうですか、俺はただのニール、よろしく」
『それでニール、何で勇者と知り合いなんだ?』
「俺が神の使いだから」
『またいつものそれか、ふざけてないで教えてくれ』
「聞いたか二人共?いつも真面目に答えてやってるのにこれなんだよ、まったく」
ヒロキはニールがリズミィに隠し事をせず堂々とと神の使いである事を言っているならリズミィを連れてきた事は怒られないなと安心し、ここに来た目的を話した。
ヒロキの話を聞きミレイルの先祖や里の話を聞きリサと頭を下げて力を託してほしいと懇願するが腕を組み目を閉じ喋らなくなったニール、そんな真剣な雰囲気にリズミィは本当にニールは神の使いなんじゃないかと信じはじめていた。
「わかった、ミレイルに力を託そう、里の部族含めそれだけ勇者と戦う事に誇りを持っているのなら」
『ありがとうございます、うれしい...』
ミレイルは勇者の力を託されたのは先祖や里の皆の思いが届いたからだと思い感極まって泣いてしまった、「やったな!」『良かったねミレイル!』と勇者二人が励ます中リズミィは真剣な顔でニールに話しかける。
『ニール、お前本当に神の使い...なのか?』
「だから何度も言ってるじゃないか、俺が神の使いだと」
『そうか...そうか..じゃあミネル王国に現れた下級天使ニールと言う天使もお前なんだよな?』
「そうだぞ?それも一緒に飲みに行ってる時に俺は正直に答えたのにお前全く信じてくれないんだもんな」
『そうか...』
「そんな事よりだ、ミレイル、俺は君に勇者の力を託すが、俺がいかにこの力を大事に思っているのかを聞いてほしい」
ニールは自分が勇者の力を手に入れた経緯を話し、自分にとっては形見のような力だからミレイルもいつか誰かに力を託す時は変な奴には渡さないでほしいと頭を下げて頼んだ。
「さて、湿っぽいのはここまでにして先に進もうか」
ニールは身の上話しを聞いて静まりかえった空気を払拭するように天使の姿に変身し、力を託す準備に入ったのだった。




