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勇者達はダンジョンでレベル上げの日々、下級天使ニールは日雇いの仕事でその日暮らしをしながら夜な夜な何かしていた頃、魔大陸と呼ばれ、強力な力を持つ魔物がうじゃうじゃいるとある場所で女神エルサは人の形に似た一匹の狂暴な小さな可愛らしい女の子の悪魔を見付け連れて帰り、知恵を付けて言う事を聞かせようとしていた。
長い綺麗な白髪に青白い肌をし黒い尻尾が生えたこの赤い瞳の小さな悪魔はとにかく狂暴だった、エルサは女神の力を使い抑え込んで檻に閉じ込め、地道に食事を与えたり抜いたり軽い調教をしながら徐々に落ち着いて会話が出来るレベルにまで達していた。
『ここから出せー!殺すぞー!』
「ここから出してください、でしょ?」
『ここから出してください!』
こんなやり取りをしながら出せば逃げる小さな悪魔を捕まえては檻に閉じ込める日々を過ごし、人型以外の魔物の調教を諦めていたエルサは段々とこの小さな悪魔に情が沸いてきていた。
「ほら出してあげるから魔物を一匹倒して持って帰って来なさい、逃げても無駄なのはもう分かってるわよね?」
『やだー!早くここから出せー!殺すぞー!』
「何度も言ってるでしょ?ここから?」
『ここから出してください!』
エルサはこの小さな悪魔に少しずつ戦い方を教え命令して魔物と戦わせ人の言う事を聞く悪魔に育て上げようとしていた、上手くいけば将来魔人族と呼ばれる新たな種族が誕生するかもしれないと想像しながら。
「そうだ!貴女に名前を付けてあげましょう!う~ん.....アルミナ、今日から貴女はアルミナと名乗りなさい!」
エルサは小さな悪魔に名前を付けてやるが、その小さな悪魔はまだ覚醒していない魔王だとも知らずに。
そんなエルサを遥か遠くから女神レミアは監視していた、神罰を受けて天界から追放されているのに世界の監視そっちのけで自分のやりたい事を楽しそうにやっているエルサの姿に軽くイラっとしていた。
『エルサは罰を受けてる自覚はあるのでしょうか、全く..それにあの小さな悪魔...う~ん、何かを感じますが..天界から監視するのと違ってハッキリ分かりませんね..どうしましょうか』
レミア自身はこの世界に降りてからずっと一人でエルフの里に近い妖精の森で結界を張り、女神の力を使って真面目に世界の監視をしていた、天界から監視するのとは違い世界全体を見渡す事が出来ないので遠すぎる場所は見るのがやっとだった、その不足を補う為にエルサと二手に分かれたというのに。
『う~ん、あの天使さんにお願いしてエルサの所に行ってもらって注意してもらいましょうか、関係者ですしね』
女神レミアはエルサを監視するのを一旦止めてあの天使を探しだした。




