B-8
ミレイルに案内された店は奥に個室が複数あり、一番奥の四畳半くらいの部屋に通された二人は椅子に座りテーブルを挟んでミレイルが座った。
「それでミレイルだっけ、何で俺達が勇者だって解ったんだ?それに何の用があってついてきたんだ?」
『初めは黒髪のお前達を見付けて当たりをつけて尾行していたんだ、勇者だと確信したのは今朝お前達が宿から出てきてからだ、その白い鎧と青いマントを見てな』
『それだけで普通勇者だって分からないでしょ?勇者と分からないようにステータスにも載せてないのに、ハッキリ言いなさいよ』
『分かるさ、過去に召喚された勇者様もお前達のような格好だったと伝えられている、長命な種族だと知ってる奴は知ってる事だ、それに私は勇者の仲間になる為にこのダンジョン都市で待っていたんだ、勇者は必ずダンジョンに入るらしいからな』
「え?仲間になるため?」『...』
『私の先祖は昔勇者の仲間として共に戦い魔王を討ち滅ぼしたんだ、それから勇者がこの世界に召喚されると我が部族は先祖の誇りを胸に勇者と共に戦う戦士を送り出してきた、そして今代の勇者の仲間になる為に送り出されたのが私だ』
「...だからって弱い弱いって怒るのは違うだろ?俺達だって強くなろうとしてダンジョン都市に来たんだし」
『先祖の誇りか知らないけど自分勝手すぎない?この世界に来てまだそんなに経ってないのにいきなり強くなれるわけないでしょ』
『...それはすまない、だが過去に召喚された勇者は初めから桁違いに強かったと聞いていたのでお前達を見てガッカリしたのは事実だ』
ミレイルは自分の先祖が共に戦った勇者と比べ弱すぎるから怒ってたらしく謝罪はするが今も落胆した様子を隠そうともしないでいる、険悪な雰囲気のまま沈黙がしばらく続く。
「なんか前にも聞いたな、昔の勇者は強かったって」
『...王女様が言ってた神話の話ね』
「そうそれ、山を消し飛ばしたとかなんとか、あの話がマジなら何で俺達はそんな力を持ってないんだ?」
『知らないよ...』
昔と今の勇者がなぜそんなにも力の差があるのかわからないでモヤモヤしているとヒロキが「あの天使何か知ってるかな?」と呟いた。
『天使?天使とはなんだ?』
『貴女には関係ない』
『教えろ!』『教えない!』でまた言い争うリサとミレイル、ヒロキは余計な事言ったと後悔した。
『どうせ教えても貴女に天使様は探せないよ、その理由も教えないけどね!』
『き、貴様ぁ!馬鹿にするのもいい加減にしろ!私はこの身を捧げる覚悟で里から出てきたんだ!教えろ!』
「あーもう静かにしてくれよ!てゆうかリサ、あの天使は天界に帰ったんだろ?意地悪しないでそう言えばいいだろ!」
『意地悪って何よ!あんたコイツに味方する気?ふざけんじゃないわよ!』
リサは怒って立ち上がり『宿に帰る!』と言って出ていってしまった、ヒロキは「メ..メンドクセー...」と呟いてうなだれた。




