B-5
ムドの街の冒険者ギルドは三階建ての木で出来た建物でミネル王国城下町のギルドと違って酒場のような場所は無く、昔職場体験で見た警察署のような印象を受けた二人、職員らしき人も軽装だが武具を身に付けていた。
受付でダンジョンについて知りたいのと、魔物に関する情報を知りたいと訪ねると三階に資料室があり使用量三時間で金貨二枚必要だと言われる。
「三時間で金貨二枚って高くねーか?」
『あなた達は冒険者じゃないの?ダンジョン都市の基本的な常識として情報はタダじゃないのよ?皆命をかけて情報を持って帰って来るんだから、それに半分は情報提供者に支払われるからあなた達も未発見の何かを見付けたら情報を持ってきてね、儲かるわよ~!』
ヒロキがリサに話しかけると職員の獣人の女が注意してきた、(これだけ沢山の冒険者が以前からダンジョンに入ってるのに新しい何かなんて見つかるかよ)と内心愚痴るヒロキ、金を払い三階に上がり沢山ある資料から知りたい事を手分けして調べる事にした。
【ダンジョンに入る魔法陣の先はこの世界の何処にある洞窟なのか今だ謎で、三年に一度魔法陣に入れなくなる時があり、次にダンジョンに入れた時には調べた地図とは異なる地形に変わる事から神が造った別の空間にダンジョンは存在しているのだと今は言われている、ダンジョンコアはただの光る玉で台座から一度でも取ると砕け塵となり洞窟は崩壊が始まり二度とダンジョンに入る魔法陣はその場所に現れない】「へ~、だから世界の不思議ってか」
【ダンジョン内は広く、三秒以内に仲間の全員が魔法陣に入らないと別の所に飛ばされる、その場合はすぐ引き返し再度集まるように、初心者は地図が無いと迷っていずれ空腹のまま戦う事になり最悪死んでしまう、荷物持ちか収納スキル持ちを仲間にすると楽だ、下層に行くほど多少知恵の回る魔物が多く連係して襲ってくるので、単独で入る奴は馬鹿だ】『だってさ』
「俺達は荷物の心配はしなくていいけど、連係して襲われるのはちょっとキツいなぁ」
『あの赤いトカゲであれだもんね、どうしよ』
「とりあえず今は一層でレベル上げだな、下層を目指すのは今は止めとこうぜ」
そうして一層の魔物に関する情報を頭に叩き込み、今日は宿に帰ることにした二人の勇者、そんな勇者達を影からジッと見つめ拳を握りしめる怪しい奴に気付きもしないで。
翌日、油断してトカゲに噛まれた事からこの先何があるか分からないので剣と盾以外に女神様から貰ったあの目立つ白い鎧を着てダンジョンに入る事にした二人、やはり宿から出た瞬間から凝視され注目を集める。
「レミアちゃんには悪いけどよ、せめてパッ!と変身するみたいに鎧を着け外し出来たら良かったのにな...」
『いいから早く歩きなさいよ』
そそくさとダンジョンに向かう勇者二人はまた気付けなかった、拳を握りしめ今にも勇者二人に何かしようと後ろから付いてくる強い眼差しに。




