B-4
ダンジョン都市ムド、そこはお世辞にも綺麗な街ではないが人間や獣人の混成パーティ、女だけのパーティ、勇者二人とそれほど年が離れてない子供のパーティまで様々な人が一攫千金やレベルを上げて成り上がろうと頑張ってる人達の笑顔が溢れる街だった。
「なんか、思ってたより皆明るいな、もっと殺伐としてると思ってたけどよぉ」
『それだけ治安が良いって事だから良かったじゃない、とりあえず宿を確保してダンジョンに行ってみよ』
二人はダンジョンに近い場所の宿を探したが何処も一杯で、無意識に避けてた少し小汚い宿に部屋を借り早速ダンジョンに向かった。
大きな神殿のような建物の中にダンジョンに入る下り階段があり、その先の扉を抜けると白く輝く魔法陣があった、二人はダンジョンは洞窟に入って行くものだと想像していたので魔法陣に入るのを躊躇していたが、後から来たパーティが魔法陣に入って行くのを見て女神様から貰った剣と盾を異空間収納から取り出し自分達も入る事にした。
「お~、どうなってんだ?洞窟だよな?さっき入って行った人達がいないぞ」
『見て後ろ、青い魔法陣がある、あれに入れば帰れるのかな?』
「雑学で教えて貰わなかったのか?お賢いリサ様よ?」
『殴るよ?ダンジョンは世界の不思議とか、最下層のコアは絶対に取るな、取ったらダンジョンが崩壊するとかそんな事しか聞いてないし』
「へ~、まあちょっと先に行ってどんなレベルの魔物が出るか確かめて帰るか?ダンジョンについてギルドで聞いてみようぜ」
二人は光ってる水晶が点在する明るいダンジョン内を進んでいく、小さな光る水晶を砕いてみたが砕いた水晶はただの石になり、再び元の光る水晶が生えてきた。
『不思議な水晶ね、小さいので良いから持って帰りたかったのに』
「そんな水晶より見ろよあれ、なんか大きいトカゲみたいなのが天井に張り付いてるぞ?」
ヒロキに言われ先の天井を見るリサ、ジッと動かずこちらを見ている幼稚園児くらいはありそうな赤いトカゲが一匹いた。
『...毒と火を使う魔物みたいね、ステータスは私達の方が高いから大丈夫そう』
リサは鑑定のスキルで魔物を見る、勝てそうと判断してヒロキに教えると剣と盾を構え最初に戦うと言ってジリジリ近寄って行ったヒロキ、リサは離れた場所で毒に備え魔法の準備をする。
あと五メートル程の距離に近付くと突然『ヴァ~~!!』と威嚇するように叫んだ魔物、天井から落ちてきてすぐさま火の玉を吐いてきた。
「おっと危ねー!そんな火の粉じゃってあれ?」
『馬鹿!下よ!』
トカゲは火の玉を目眩ましに足元まで走って近寄っていた、盾で火の玉を防いだヒロキはまだ魔物が前にいると思い込んでいたので足元まで近付いて来てると気付かなかった。
トカゲはヒロキの足を思いきり噛み(ガキィ!)と金属の音が響いたが鎧のおかげで怪我をせずにすんだ、すぐさま剣をトカゲの頭に突き刺してトカゲを倒す事が出来たが鎧の足元を見ると黒い液体が付着していた。
「あっぶねー、噛んで毒を流し込む魔物かよ」
『火の玉を吐いた後すぐ走って来たから私もビックリした、最初の魔物でこれってちょっと不安ね』
「どうすっかなー、やっぱギルドにダンジョンの魔物に関する情報も聞きに行くか」
初っぱなから怪我をしてたかもしれないダンジョン、二人はダンジョンから出てギルドに行く事にした。




