B-3
馬車に揺られ、時折森から出てくる魔物を冒険者達と共に排除しながら進み夜を共に過ごして四日目、ようやくダンジョン都市に近い小規模の町に着いた勇者二人。
「かぁ~長かった!腰イテ~」
『はぁ、揺れも凄いし私は頭が痛い..』
長時間座り上に突き上がるような揺れだった馬車の移動、泣き言を漏らす二人だが目立つ鎧を早く普通の装備と取り替えようと歩きだす。
町はダンジョン都市に近い為か獣人の冒険者やドワーフにエルフと人間以外の種族が沢山歩いていた、ミネル王国の城下町でたまに獣人を見かける程度だったが沢山いる多様な種族に圧倒される二人。
『す..凄いね、こんなに居たんだ』
「おぉ..スッゲー可愛いな」
『は?何が?』
「エルフが」
『馬鹿なんじゃないの』
そんな話をしながら服を売ってる商店を探し、防具屋を探し、ようやく誰も見向きもしくなった装備を着込みダンジョン都市行きの馬車を探す。
『来るのが遅かったなお客さん、もう馬車は出ちまったよ、馬に乗れるなら高いが貸し出しも出来るがどうする?』
乗馬の訓練は受けたがそれほど上手く乗りこなせない二人、もし魔物が出てきたら馬を守りながら戦うのはキツいかもしれないと判断して今日はこの町に泊まることにする。
翌日、馬を交代させたダンジョン都市ムド行きの馬車に乗り込み町を出た二人、ムドの街が見えてくると街道の側には幾つもテントや小屋が立ち並んでいた。
「なんだあれ?街の外に住んでるのか?」
『あんた達ムドに来るのは初めてなのか?』
ヒロキが立ち並ぶテントや小屋が何か呟くと向かいに座ってた冒険者に声をかけられた、あれはダンジョンで怪我をし、金が無いから治癒魔法を受けられず街からも追い出された連中なのだと。
「街から追い出されて大丈夫なのか?魔物も出てくるだろ?」
『ここらの街道に出てくる魔物程度なら怪我をしてても勝てるさ、実力が無い馬鹿は死ぬだけ、一応街の自治を仕切ってるギルドの連中も街道の安全を確保してるって理由で金を払ってやってるんだぜ?それで金を貯めて治癒を受けた奴はまたダンジョンに挑むかこのムドから去るかのどちらかだ、あんたも気を付けな』
実力が無ければ死ぬだけ、どこか修学旅行気分だった二人はダンジョン都市の厳しさに身を引き締めダンジョン都市ムドに到着するのであった。




