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転移魔法陣から天界に上がり魔法陣の光が収まり視界が開けるとそこは真っ白な汚れ一つない部屋の中だった、目の前に扉があるがここは何なのかエルサに話し掛けようと周りを見るが誰もいない。
「おいおいどうなってんだ?誰もいないじゃないか」
誰か来るのを待とうか悩んだが部屋を出る事にし扉を少し開き奥を覗き見すると天界の広場なのだろうか、開けた場所に俺が天界に転移してきた時に見た魔法陣と似た複数の魔法陣と、何人か異なる学生服を着た日本人ぽい若者達がピンク色のショートカットの髪型で白いワンピースの様な服を着た女神らしき奴に何やら説明を受けている。
「あいつがレミアか?先代はたまにピンク頭って悪口言ってたから多分アイツだろう」
一応本人か確認と、エルサが何処に行ったのか聞こうかと扉から身を乗り出し外に出て周囲を見回すと俺が居た部屋は長屋のように同じ部屋が横に並んでいた一室だった、すぐ隣の部屋の小窓から中を見るとエルサが何か考えながらウロウロ歩き回っていた。
「何してんだお前?」
小窓から声をかけるがこちらに気付かない、軽く窓を叩くがそれでも気付かないから扉を開けて中に入る。
「こんな部屋で何してんだ?」
『...一応聞きますが、どうやってその扉を開けたのですか?』
「普通に開きましたが?」
『そう..まぁいいわ!それよりアイツは?もう会ったの?』
「いや、今広場らしき場所で子供に何か話してたな、奥に転移魔法陣もあった」
『なるほど、勇者召喚の最中だからとりあえずここに閉じ込めたのね』
「この部屋は何だ?俺も隣の部屋に転移してたんだが、それにそこの小窓から声を掛けてもお前全然気付かないし」
『ここは創造神様の拷問..じゃなくてお仕置きが終わった後に監禁される部屋です、この部屋では魔法も使えないし声も外に漏れないので』
お仕置きの事を虐待や拷問と言い間違えるエルサに創造神とはどんなイカれた奴なのか、もしかしたら後でご対面するかもしれないと思いながらさっさと用件を済まそうとエルサと一緒に外に出る。
「とりあえずあのピンク頭がレミアなんだよな?俺が先に話に行くから」
『はいアイツがレミアですよ、私はレミアと話す前に行くところがあるので』
エルサはそう言うともの凄く良い笑顔で走り去って行った、早速会いに行こうと歩きだし学生達を見るとレミアと話していた学生達の数が残り二人となっていた。
学生の一人が先に俺に気付き、灰色の翼に赤い鎧で身を包んだ傷だらけの俺を見て「えっ!?」と声をあげる、それに反応してレミアもこちらに振り向き驚いた表情を見せるが直ぐに学生二人に早く魔法陣に入れと促している。
「こんにちは女神様、使命を果たしたのにお迎えが誰もいなくて寂しいじゃないですか!」
『こ、こんにちは...』
明るく友好的に挨拶してみたが俺が誰か分かってないような反応で挨拶を返しそれ以上喋ろうとしないレミア、学生二人もこちらを見つめたまま動かないでいる。
「学生の二人はさっさと魔法陣に入ってくれないかな?このままじゃこいつと話も出来ないから」
気の強そうな眼鏡をかけたソコソコ可愛い黒髪ベリーショートの女と、髪の毛を逆立て後ろに流してる茶髪のヤンキーみたいなイケメン、二人に魔法陣に入れと促すとヤンキー君が前に出てきた。
『えーっと、あんた誰だ?レミアちゃんが何か困ってるみたいだけど、見た感じ神様っぽくないしただの天使ならレミアちゃんに"こいつ"呼ばわりは無いと思うぜ?女神様なんだからよ?』
お前の"ちゃん付け"は良いのか?と思うが馬鹿は相手にしないと決め無視する事にする。