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持ち家じゃないが自分の家を借りて3日目、この地区の有って無いようなゴミの出し方や治安維持のルール等の貼り紙を見たり周辺に何があるかブラブラ散歩したりして環境に慣れて来た時、突然ギルドマスターのリズミィが家にやって来て勝手に扉を開いた。
『入るぞ!って、何もないじゃないか、まだ準備中か?」
「逆に聞きますが男の家に何を置けと?それに勝手に扉を開けるのは止めていただきたい」
『ん?あぁこれはすまない、ニールは冒険者じゃなかったな、ついいつもの調子で開けてしまった』
「まぁいいですけど、何か用でも?」
『用は無いが友人の恩人だからな、ニールはこの街に住むんだ、親睦を深めようと遊びに来たんだよ、取り合えず飲みに行こうか』
美人が遊びに来るのは嬉しいけどまだ明るいのに何を言ってるのかと思うが、娯楽が無いならそんなもんかと思い付き合う事にする、正直やる事が早く済んだから暇だったのだ。
店や屋台が集まる地区に移動しブラブラ歩きながら街の説明を受け、とある店の中に入った。
『まずはお酒だな、それから何を食べようか?』
「悪いが俺は肉は食べないから、それ以外でオススメがあれば教えてほしい」
『珍しい奴だな肉を食べないって、何か理由があるのか?』
「昔魔物が人を食べてる場面に出くわしたり腹を斬ったら内蔵の中から人の部位が出てきたりしてね、肉を食べようとしたらその時の事を思い出しちゃって食べる気が失せるんですよ」
『...今日は私も肉は控えようかな』
リズミィは酒とサラダやピーナッツのような塩辛い豆を注文してくれて、ダラダラとギルドの仕事の不満や特定の冒険者の素行の悪さについて悪口を言ってストレスを吐き出していた。
『ところでニールはこの街に来る前は何処かに住んでたのか?』
「いや、特定の場所に定住はしてなかったな、アッチコッチ飛び回って適当な場所で寝るような生活をしてた」
『ほー旅人か、何処でも寝れるから最悪テント生活でも問題なかったと、そんな生活をやめた理由は?』
「死んだから」
『ん?死んだ?誰が?』
「俺が」
『はぁ?』
リズミィは『何言ってんだこいつ』と言いたげな顔で見つめてくる、美人なだけに少しドキドキする(二回目)




