2
何やら魔神と女神の争いに巻き込まれてたような話になってきたと思いながら疑問に思ってた事を聞いてみる。
「今更だがお前と女神はどういった関係なんだ?お前は天界の事に詳しそうだし、女神は魔神を殺させるわけでもなく、わざわざそんな指輪を着けさせる為に勇者をこの世界に召喚させたとは思えないんだが」
『...あのレミアの事です、どうせ未だに根に持って嫌がらせのつもりで勇者を差し向けたのでしょう』
「で?」
『...喋りますけど、絶対私を殺さないと約束してください、じゃないと喋りませんよ!あっ!でもレミアは殺って良いですよ!私が許します!』
相当俺にとって頭に来る話なのか魔神は不安と恐れからか怯えた表情をしているがちゃっかり女神に俺の怒りの矛先を向けさせるのを忘れてない。
「...殺すかどうかは話す内容次第だが、お前を既に気が済むまでボコボコにしたからなぁ...まぁいいだろう、お前を殺さないと約束しよう」
『絶対ですよ? ふ~..まず私はこの世界では魔神と言われてますが元は天界の女神エルサと呼ばれる神々の1人だったのですよ、それもレミアと同じ階級の』
「同じ階級と言われても凄さが分からねーよ、てかあんた女神様だったのか...俺はてっきり魔王の親玉的存在なのかと思って女だろうが全力でぶん殴ってたのに...」
『..まぁ天界の話は置いといて、それでこの世界で過去に召喚されたレミアのお気に入りのある勇者がいまして、下界に下りてその方にちょっかいを出していたら怒り狂ったレミアに天界から叩き落とされてしまいまして...』
「つまりあれか?他人の男に手出したお前を今も怒ってる女神が嫌がらせをする為だけに俺や先代勇者をこちらの世界に引き込んだってか?」
『まぁ簡潔に言えばそういう事です』
「く..くだらない、そんなくだらない理由で俺や先代は...」
魔神改め女神エルサの語る衝撃的なくだらない理由によって異世界に連れてこられ、苦痛と実験の恐怖のなかで死んでしまった先代勇者の顔が脳裏にチラつく。
「そんなくだらない嫌がらせレベルの使命だからいくら祈っても聞いてくれなかったってか?なぁ?ふざけんなよ...ふざけんな..クソが」
『祈りは届いているはずですよ?ただレミア自身が管理してるこの世界を見て貴方に意識が向いていればの話ですが』
-この世界を女神が見てなければ祈っても無意味-あれだけ毎日何年も祈り救いを求めていたのに女神レミアは俺達をこの異世界に放り込んだ後はずっと見ていなかったという事になる、そして今も使命を果たしたのに反応を示さないのはそういう事なのだろう、段々と怒りと殺意が沸いて来る。
「それで?何で女神と面識が無い俺が指輪を使ったのがおかしいんだ?、それに創造神とは誰だ」
『創造神様は神々の頂点に君臨するお方です、まぁ私達からすれば親の様なもの、そしてこの指輪は"神殺しの指輪"と私達神々は名付けていて創造神さまが虐待..じゃなかったお仕置き用として直接管理している筈の神をも殺せる指輪なのですが、それを恐らく盗みだし、面識の無い使用許可も与えてない下界の者が使える状態にしている事が問題なのですよ』
なんだか物騒な名前の指輪に驚いたが、あの指輪が量産出来れば魔王だろうが天界の神々だろうが下界の者でも殺せるようになるから創造神が直接管理してたのだろう、そしてこいつが笑っていたのは女神レミアの弱味を握れたから喜んでいたと、そんな予想をしながら自分の身の上話をダラダラ話していると女神エルサと俺の足元にいつの間にか真っ赤な魔法陣が展開されている事に気付く。
「おい、なんか魔法陣が出てきたけどこれはなんだ?」
『安心してください、これは天界へ上がる為の転移魔法陣です、やっと指輪が使用された事に気付いたのでしょう』
指輪を使用して結構な時間が経ったがようやくこの異世界から抜け出せる喜びとまだ見ぬ女神レミアに対する怒りと殺意を胸にしまって俺と女神エルサは天界へと転移した。