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重い雰囲気の中、創造神は二人にその場で待つよう言い残し何処かに行ってしまった。
『レミア..その、ごめんね昔貴女のお気に入りに手を出しちゃって...』
『その件はもういいです、女神でありながら欲を棄てきれず役目を疎かにした結果が今なのですから、私は貴女を許しますよ、そして私も貴女に謝りたい、本当にごめんなさい...』
二人の女神は抱き合い、本当にくだらない争いでこんな事になってしまい下級天使時代から競い合ってきた事を思い出しながら涙を流した。
創造神が上級天使と戻って来ると一つの指輪を持っていた、エルサが今も着けている"神殺しの指輪"である、エルサと同じ右手人差し指に着けられ二人は連行されていった。
「さてこの後どうしたものかの、何とかしてやりたいが...」
創造神は一人悩み灰色天使に会いに行く、灰色天使は長身天使二人と話をしていた、創造神が尋問している間に魂を同化させてしまい地球に帰せない事を説明しておくよう言っておいたのだ。
「創造神様、話は聞きましたがどうしても無理なんですか?何日かかってもいいから魂を分ける事は出来ないんですか?」
灰色天使は納得してないのか怒気を隠しもせず質問してくるが、時間をかけて人の魂を分けても取りきれない部分がありそれを人の体を創って移植しても記憶の欠落か体や人格に悪い影響が出るかもしれないと説明する。
「ハァ....本当に...くそっ!」
創造神に文句を言っても何も変わらないがイライラが収まらない様子の灰色天使をどうやってなだめようか考える創造神と長身天使、これが普通の人間だったら殺せば済むが下級天使レイニーの魂も同化した人間だから達が悪い、それにもう仲間や家族の一人として認識しているのだ。
『一つ聞いていいか?そんなに地球に帰りたいのは何でだ?』
長身天使の片割れにそんな質問をされ考える灰色天使、一人っ子だったからもう年寄りだろう親が心配なのと好きだった物が食べれないのが辛いと、あと異世界の肉は食べる気がしないと不満をアレコレ語りだした。
『人間は短命だからなぁ』
『ならその心配が無ければ帰れなくてもいいのか?』
「うーん...多分?」
創造神は長身天使と灰色天使の会話を聞きながらある事を閃いた、しかし特定の天使だけを優遇すれば他から不満が出てくる、そしてまたまた何かを閃くがそれはそれで灰色天使が嫌がりそうだから悩みに悩む。
『これはワシからの提案なんじゃがの、もし受けてくれるならお前の親は病気にならず苦労なく裕福な生活を送り幸せな人生の最期を迎えれるようにしてやろう、どうじゃ?』
「....それはそれで何かムカつくな...」
『お前は優しいのかひねくれてるのかどっちだよ』
長身天使の呆れたように言う小言を聞き流し考える灰色天使、創造神が何を言ってくるのか警戒しているのだろう、しかし親が今どんな生活をしているのか、生きているのか死んでいるのか聞きたいが知らない方が気持ちが楽かもしれないと思い創造神の提案を受け入れる事にする。
『提案と言うのはな、また別の世界で神の使いとして生きてみぬか?』
「断る断固拒否する馬鹿か死ね!」
『『!!!!』』
創造神のありえない提案につい即答で罵倒してしまい、二人の長身天使はまさかの罵倒に驚きながらもすぐさま槍を向け創造神様に謝罪しろと威嚇してくる。
『ホホホホ、威勢の良い他の天使もお仕置きしてるとカワイイ悪口で歯向かう時があるがこのワシに死ねと言うたのはお前が初めてじゃの!ホホホホ』
「今のは完全に何も考えず咄嗟に出た言葉です、本当にすみませんでした...」
『よいよい、"今回だけ"許そう"今回だけ"は、こちらの提案を受けるならの?受けるよな?』
「ぐぬぬ...」
『まぁお前も損はしない話じゃから最後まで話を聞け』
創造神に提案された話は嬉しさ半分怖さ半分だったが悩みに悩んで受け入れる事にした。




