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格闘家は巡り会う。


長い夏を明けて、ようやく涼しい風が吹く森。

小鳥の鳴き声が響く。

やせ細い道が続く先には、一軒の木造の小屋だ。

今、そこに少女のいやらしい悲鳴が周囲に漏れていた。


「いい・・・・・気持ちいいです・・・・」


燃えるような赤髪が腰まで伸ばした少女が裸になっており、がっちり筋肉が付いた男に大きめの胸を揉められていた。

ペットの上で大文字のように倒れている。

少女の頬には赤く染まっており、息切れを起こしていた。また時々痙攣している。


「はぁ・・・・・。いい加減、俺と勝負しろ。お前、ルイルドリア王国の最強の槍使いだろ。戦は好きじゃないのか?」

相当鍛えた筋肉を持つ男がため息する。軽装であり、グレー色の服と手袋しか身に付けていない。


「こんなに気持ちいいのに、辞められる訳が無いでしょ・・・・・」


うっとりとした顔を見せる、赤髪の少女。それに対して、男は再度ため息を吐いた。


「どうして、こんな事に・・・・」




グラゼ・イリングは格闘家である。

武器など持たず、己の拳のみ、闘い、その身を以て、強さを証明する。

それがグラゼ・イリングという男だ。

彼は諸事情により、流浪の旅に出ていた。

各地を巡り、人類を襲う魔物と戦ったり、冒険者として仕事した。

人助けもしたが、成功したと思えるのはあまりにも無い。

遺跡に入り、宝を探した事も有る。

主に野宿で過ごし、強い相手を求めて旅を続けた。

ある日、ルイルドリア王国に最強の槍使いが居ると聞き、直接向かった。

その結果、噂の槍使いに会えた。

そこまでは良かった。


問題なのは、会った時、『私と戦うのは、私の体を触った後で』と言われた事である。

迷ったが、この機会を逃してはいけないと思い、承諾した。

こうして、現在に至る。




鉄と鉄がぶつかり合う音がした。

しかし、実際にぶつかり合っているのは、槍と拳だ。

何回かの打ち合いを経て、2人は距離を取った。

「なかなかやるわね。あんた」

「お前もな」

片や、ツインテールに纏められた赤髪の少女。

片や、拳だけで戦う、格闘家グラゼ。

二人は本気を出すこと無く、打ち合っていた。

しかし、分かった事は相手のレベルが高いという事だけ。

勝負を白黒のようにはっきりさせるのを待つまでも無かった。


「で。腹が鳴っているが、ご飯を作ろうか」

「ばっ、ばっかじゃないの! こ、こここっこれはおならよ!」

「そうか。おならか。なら、お前の分は作らない」

「ちょっ、まっ」


言いたいけど言えない。そんなジレンマに悩む赤髪の少女。彼女を横目に木造の小屋の隅に置かれたにリュックを外に持ち出す。

リュックから料理道具、野営の為に必要な道具、食糧を取り出す。


「今からご飯を作る。手伝ってくれ」

「うっ・・・・・。なら、自分で作れば?」

「そうか。だったら、自分のウ○コを喰っていろ」

「喰えるかぁぁぁ!!」


グラゼは手順良く料理を始める。

頭を抱え、ぐぬぬ、としか言わない赤髪の少女。

やがて、何かを決意した彼女は、腕を組み、胸を張る。


「仕方ないから、手伝ってあげるわ! これは誰でも無い、私の、リンエ・バッカランズの意思よ! 何をすれば良いかな。さあ、どんと来い!」


「あ。すまない。既に料理ができてしまった。野菜スープはある。他のおかずはある。肉は無い。どうだ。食べるか?」


「喜んで食べて頂きます!!」


噂でしか聞いた事ない、三下キャラの如く、清く頭を下げる赤髪の少女リンエ。

それは、伝説の”あの人”を連想させる、変わり身の早い様子であった。



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