まったりくつろぎタイム?
ひとしきり笑って、ようやく笑いがおさまってきた頃、有樹の前に水のグラスが置かれた。
「どうぞ。喉乾いたでしょ?」
まだ苦笑いの気配を残した遊木の声にありがたく思い、水をあおる。氷の入った冷たさが喉に気持ちいい。
「ありがとうございます」
「いえいえ。……佐久間さんってけっこう笑い上戸?」
「あぁ、家族には言われますね。人前では気をつけてるんですけど」
なんかツボに入っちゃって、とほおをかく有樹は、笑いすぎの名残かうっすらと赤く染まっている。
「まさか糸通しの有無で鬼と言われるとは思いませんでした」
「いや、だってあるとないじゃ雲泥の差だよね。あれなしとか、普通にいじめじゃない?」
「というか、私の中ではもはやセットで当然でしたから、針を買うイコール糸通しも買う、だっただけなんですけどね」
遊木の言葉に苦笑いで応じた有樹は、ふとテーブルの上に視線をむけて目をまたたいた。
そこにはさっきまでなかったはずのマグカップと水のグラスが二つずつ置かれている。
「……いつの間に飲み物きたんですか?」
「佐久間さんが笑い転げてる間、かな」
少しばかりからかう色のあるが、嫌味は感じはなかったので有樹は照れ隠し気味に笑う。
「ええと、ごめんなさい?」
「いや、いいよ。俺もこの前派手に笑っちゃったし、これでおあいこ、って事にしよう」
「はい。――とりあえず今日は、針と糸の基本から説明しましょうか。糸通しを知らないんじゃ、やりやすい糸の長さとか始末の方法とかもわからないですよね?」
「うん、わからないから教えてもらえると助かる。あ、でもまず少し紅茶飲んでからにしようか。せっかくだから熱いうちに味見だけでも」
「あ、そうですね。せっかくいれてもらったんだから冷めちゃう前に飲んでみないと」
遊木にうながされ、有樹がマグカップに手を伸ばす。たっぷりと注がれたロイヤルミルクティは、嫌な渋みが残る事も牛乳の重さを感じる事もない、絶妙な濃さだった。
「おいしい」
自然とゆるんだ表情でそれだけつぶやくと、一口ずつ、ゆっくりと味わう。
「すごくおいしいですね」
「うん、ここのロイヤルミルクティは俺も好きなんだ。最近は必ずこれ飲んでるし」
言いながら隣でカップを傾ける遊木が飲んでいるのも同じものだ。
「お砂糖使わなくていいの?」
「普段から紅茶に砂糖入れないんで、大丈夫です」
「そうなんだ?」
「はい。甘いとかえって喉乾いちゃいますし」
「ああ、それは確かに」
美味しいものは壁を取り払うのか、少しの間気安い口調が続き、会話が途切れるとお互いに飲み物を堪能する。三分の一程飲んだところで、有樹がマグカップを置いた。
「そろそろ説明します?」
「うん、お願い」
「じゃあ、基本から、という事でまずは糸の長さから」
そう言って、遊木のキットから刺しゅう糸を取り上げる。
「このキット、糸は一メートルに切った状態で入ってるんですけど、一本どりの時は半分に切って使うのがおすすめです」
「半分?」
「はい。あんまり長いとからみやすくなりますし、かといってあんまり短くても頻繁に糸を替えるようで大変ですから。私は二本取りにする時はこのまま使いますけど」
「二本だと長くていいの?」
「二本どりにする時は、こんな風に……」
有樹の手が刺しゅう糸を一本抜き取り、両側の端をそろえて持つ。
「針に通した後、両端をまとめて玉止めにしてしまえば、二本どりになりますから」
「あ、なるほど」
「一本の時と同じように、片端だけ止めてもいいんですけど、そうすると半端な長さの使いかけが二本できちゃいますから。それに、針のところで糸が四本になるでしょう? そうすると布によっては通す時引っかかったりもしますし」
「……なるほど」
言われてみれば確かにそうかも知れないと思うのだが、まったく思いつかなかった指摘に、遊木が感心したように目をまたたく。
「と、説明しましたけど、ここまでは大丈夫ですか?」
「……たぶん?」
自信なさげに首をかしげられ、有樹が笑う。
「まぁ、やってる間に遊木さんにとってやりやすい方法がわかってくると思います。そうしたらやりやすい方法でやってもらえればいいんで、とりあえずの方針、くらいに思ってもらえればいいかと」
自分のやり方にこだわりがないのか、有樹はあっさりと流して次に移る。
そのまま、糸の止め方や縫い始めと縫い終わりの処理の仕方を実演を交えて遊木に説明した。糸端が表に出ないような糸始末や縫い始めと縫い終わりには返し縫いをする事など、本当に基本中の基本である。
「なるほどねぇ。そんな風にやればうまくいくんだ」
「簡単な事なんですけどね。教えてもらわないと気付くのはなかなか難しいですから」
「そうだね。ちゃんと本でも読んで調べればだけど、ここまでは説明書にも書いてないもんなぁ」
「本当に針持つのも初めて、って人向けの基礎の基礎を勉強するためのキットなんかもありますけど、興味なければそんなもの買わないですしね」
説明をそう締めくくった有樹が手に持っていたものを置いてマグカップに口をつける。少しぬるくなったロイヤルミルクティはそれでも変わらずにおいしい。
「本当においしいですね」
「うん。コーヒーがおいしい所って結構あるけど、紅茶がおいしい所ってあんまりないから嬉しいよね」
こちらもひと息入れつつカップを傾ける遊木がのんびりと応じる。そのまま少し雑談でも、と思ったが、有樹はまだ個人的な話をするのを嫌がっている気配もある。そもそも連れ出したの自体かなり強引だった自覚もあるので、当たり障りない話題を探す。
「そういえば、佐久間さんが作ってるのはどんなキットなの? なんか似たようなパーツ作ってるみたいだけど」
先程有樹が参考にと取り出したパーツは、白いフェルトを数枚重ねたもので、おそらく絞り出した生クリームになるのだろうパーツだった。
「あぁ、ちょっと待ってくださいね」
問われた有樹は鞄から説明書を取り出して遊木に差し出た。
「これ、ですよ」
ほんの少し、いたずらを楽しむような気配をまとわりつかせた笑みに、遊木はいくらか警戒しながら完成写真に目を落とす。
そこに写っていたのは、生クリームのバラが沢山飾られた三段重ねのケーキだった。淡いピンクと白のバランスが絶妙なそれはどう見てもウェディングケーキにしか見えない。
これまで遊木にまとわりついて来てた連中であれば、結婚願望あるんだからね、というアピールだろうと思うだけだが、有樹に限ってそんな事があるはずもない。そうすると、そんな物を作る理由は、本人に結婚の予定があるか、結婚する知り合いにプレゼントするか、どちらかしか思い付かなかった。
しかし、そのどちらなのかを推測できるだけの材料は遊木の手元にない。
「……大作だね?」
「かわいいでしょう?」
結局、無難なコメントをすると、有樹がくすくすと笑いながらどちらとも取れない返事をした。
「佐久間さん、結構意地悪だよね?」
「え? そうですか?」
「だって、好きだって言ってるのに、こんなキット目の前で作るとか結構意味深にしか見えないし?」
「でも、最近作ってるのがこれなんですから、しかたないと思いません?」
正論で返され、遊木は苦笑いで肩をすくめた。
「降参。なんでそれ作ってるのか教えて?」
「カタログで見て一目惚れしました。使うあてもあげる相手もいないのに作ってるだけです」
あっさりと返された斜め上を行く返事に、遊木が、へ? と間の抜けた声をもらした。
「見つけた時に買わないと販売終了しちゃうかもしれないですし、手元に来たら作りたくなっちゃいますよね?」
「……あせらせないでよ」
笑顔での説明に、遊木が大きなため息をつく。
有樹の性格であれば、結婚を意識している相手がいたのなら前回はっきりそう言ったはずだ、と思いながらも内心冷や汗ものだったのだ。
「この前散々慌てさせられたお返しです」
「かわいい顔して意地悪言わないでよ、まったく……」
前回多少やりすぎた自覚があるので強くも言えず、遊木がほおをかく。けれど、変に長引かせたりせずに答えを口にする間合いは遊木好みだ。それに、遊木の言葉に驚いたのか、ほおを赤くして視線をそらす仕草もいい。
からかわれたとわかっても、あまり腹が立たないのはそれでだろう。
「それ、完成したら俺にも見せてくれる? 実物見てみたいや」
「かまいませんよ。どうせ目の前で作り続けるわけですし」
「うん?」
言い回しが微妙に気になって聞き返す遊木に、有樹は小さく首をかしげる。
「……当分、こういう感じで手芸しつつで会うのかと思ってたんですけど……。違いました?」
「え? いや、俺は助かるけど、そんなんでいいの?」
遊木としては、作業を教えてもらえるし、一人でひたすら続けているよりも話しながらの方が楽しいのでありがたい。けれど、女性を誘っておいてひたすら喫茶店で手芸にいそしむ、というのはデートとしてありなのか、非常に難しいところだ。
「私としては下手なレジャー施設に連れて行かれるよりも楽しいですけど?」
「……そう、なの?」
「興味ない映画見せられたり、嫌いなアトラクションに連れまわされたりするのは迷惑ですし。まぁ、水族館とか植物園、興味のある博物館か美術館ならかまいませんけど」
定番のデートコースを一言のもとに切り捨てられ、遊木はぽりぽりと頭をかく。
「……まぁ、佐久間さんがこういう方がいいなら、俺はかまわないけど。食事とか買い物は行かなくていいんだ?」
「お腹が空けば食事はしますし、必要なものが出てくれば買い物にも行きますよ?」
何を当たり前な事を、とでも言いたげに目をまたたいた有樹の返事に、遊木が小さくふき出す。
「……笑われるところですか?」
「いや、ごめんね。なんていうか、佐久間さんの考え方が新鮮で嬉しいというか。悪い意味じゃないから」
説明になっているようないないような返事を返されたものの、遊木は言葉通り単純に面白がっているだけのようだった。
嫌な気配はないからまぁいっか。
追求しても答えはないだろうとふんだ有樹はそんな風に結論して頭を切り替える。
「そんな訳で、そろそろ作業に入りますか?」
「あぁ、そうだね。……これ、縫い直そうかな。やっぱりもう少し細かく縫ってある方が好きっぽい」
有樹から返された自分の縫ったフェルトを見て、遊木がそうつぶやくと、有樹が、ほどく必要ないですよ、と声をかける。
「せっかく縫ったんですし、そこから目を細かくすればいいと思いますよ」
「でも、そうするとここまでの範囲だけすかすかで目立たないかな?」
「もう縫ってある部分は、一周してきてから間を埋める感じでもう一度縫えば大丈夫ですよ。ほどくとフェルトが毛羽立っちゃいますし、その方がきれいにできるかと」
「あ、そっか。どうせまわり一周するんだもんなぁ」
やはり言われてみれば単純な解決策に、遊木は納得する。
「やっぱ、佐久間さんに頼って正解だったな。至れり尽くせりだ」
「まぁ私にわかる範囲の事であればいくらでも。別に秘匿する必要もない情報ですからね」
感心する遊木を受け流して、有樹も自分の裁縫道具を広げ始める。
そこからはお互い、自分の作業に没頭した。
「お二方、とうにランチタイムですよ」
どこか笑いを含んだ声に、並んで座ってそれぞれの作業に集中していたらしい二人が顔を上げた。
二人の側に立ったマスターの顔を見上げ、遊木が目をまたたかせる。
「あっれ? もうそんな時間?」
「ええ。ほらこの通り」
言葉と同時にさし出された懐中時計は、十二時五十七分をさしている。
「二時間たってるとか……」
「夢中になると時間を忘れますからねぇ」
「お昼考えないとなぁ」
時間を確認してしまうと、とたんに空腹な事に気付かされた遊木が腹をなでる。
普段であれば、どこかそれなりの店に、となるのだがこれまでの有樹の様子を見る限り、嫌がるかもしれない。
「どっかレストラン入るのと、公園の反対側にホットドッグの屋台があるからそこに行くの、それと駅前で何か買ってくるのどれがいい?」
迷って結局三択にすると、有樹が首をかしげた。
「……ここで食べる、はないんですか?」
「だってここ、食事らしきメニューにないからね」
「……え?」
「その代わり、メニューにない食べ物の持ち込みは自由ですよ」
「と、いう訳なんだよね。食事して切り上げでもいいし、どうしたい?」
遊木の確認に、有樹は少し考えてから、買ってきてここで食べたいです、と答えた。
「他の飲み物も飲んでみたいし、ここ、すごく気持ちいいから。もう少しいたいなぁ、とか思ったんですけど、いいですか?」
男二人をうかがいなからの返事だが、言いたい事ははっきりというのが有樹らしいところなのかもしれない。
「じゃあお昼買い出しに行こうか。マスター、テーブルこのままでいい?」
「貴重品を持って行ってくださればかまいませんよ。あと、風に飛ばされそうな物は片付けてください」
マスターの言葉にうなずくと、二人はそれぞれ道具類をある程度片付け、軽くなった鞄を手に席を立った。
昼食にはホットドッグを買う事に決め、散歩がてらゆっくりめのペースで園内を歩く。
「丁度気持ちいいくらいの天気ですね」
「だね。暑くも寒くもなく、散歩にはもってこいだ」
中身の大半を店に置いて来たからか、軽くなった鞄を肩にかけた有樹はどこか楽しげに歩いている。あちらこちらに目をやっては時折口元をほころばせるのは、何かを見つけるからか。遊木には見慣れた風景でしかないが、初めて来る有樹は興味をひかれるものがあるのだろう。
「何か面白いものでもあった?」
「面白いというか、あちこちに花が咲いてるからつい、視線がいっちゃうんです」
ほらあそこも、と有樹が指した先の地面には、小さな花が咲いていた。濃いピンクだが、いかんせん花自体が小さいのでさほど目立たない。
「本当だ。何の花だろ?」
「私もわからないんですけど、でも、かわいいですよね。普通の公園って、ああいう、雑草、っていわれちゃうようなのは抜いちゃうところが多いんですけど、ここは違うみたいで色々咲いてて楽しいです」
声もどこかしら楽しげなのがほほえましい。
「そういえば、さっきも植物園なら、とか言ってたけど、佐久間さん植物好きなの?」
「詳しい訳じゃないですけど、嫌いでもないです。なんていうか、遊園地とかにぎやかな所が苦手なんですよ」
どちらかと言うと比較の問題ですね、と無難な返事をするが、あちこちに咲く小さな花を見付けては嬉しそうにする気配からして、好きなのには間違いないだろう。
素直にそう言わないのが何のためなのかまではわからないが、そこまで踏み込むにはまだ知り合ってからの日が浅すぎた。
「まぁ、確かにテーマパーク系は好き嫌いが別れるからね。佐久間さんはインドアな方?」
「ですね。休みは一日家にこもってますし」
さらりと答えてから、有樹が遊木の顔に視線をむける。
「遊木さんは普段、休みの日はどうしてるんですか?」
「俺? う~ん、大体は甥っ子姪っ子の相手してるかな? 昔は隆――久本とあちこち遊び行ったりしてたけど、最近はあんまり」
少し考えながらの返事を聞いた有樹が小さく笑う。
「子供好きなんですね」
「子供全般は苦手だよ。でも、甥と姪は別。なんていうか、やたらかわいくてさ。つい甘やかすから兄貴に怒られる」
柔らかな笑みでそう答えた遊木の様子に、有樹の表情も和らぐ。
「私はまだ甥も姪もいないんでわからないですけど、かわいいものですか?」
「かわいいよ。なんていうかね、遺伝子に騙されてるんだとしてもかまわないから、って思えちゃうくらい。何かもう、やたらとかわいい」
見事な叔父馬鹿っぷりを発揮して見せる遊木に、有樹は少しばかりからかうような色をのぞかせる。
「つい、まったく興味なかった手芸にてを出しちゃう位に、ですか?」
「うん、そのくらいやってあげたくなるね。佐久間さんもこの立場になればわかるよ」
さらりとかわしてから、遊木がにやりと笑う。
「ま、俺の場合、そのおかげで佐久間さんと知り合えたんだからいくら感謝しても足りないんだけど」
「ちょっ?!」
「そんなに驚く事かな?」
「……ですから、だいぶ感性が腐ってるかと……」
「どうしてそんなに自己評価が低いのかが気になるんだけどなぁ。佐久間さんはすごく魅力的だと思うけど」
「だから、誘いを受けたら心臓に悪いことは言わないって約束じゃないんですかっ?!」
「え? 俺ちゃんと、今日は言わない、って言ったはずだよ?」
しれっと流され、有樹の表情が歪む。やだもうなんなのこの人、とでも思っているのだろう事がばればれの態度だが、そんな表情をむけられた当人は気にした風もなく笑うばかりだ。
「わかりました。何度もそういう事を言うなら、次の誘いは断りますから」
本気なのか違うのか、ついとそっぽをむいた有樹が言葉以上にすねているように感じられて、こらえるまもなく遊木がふき出す。
これまで遊木の周りにいた連中であれば、ここぞとばかり食事や高価なプレゼントをねだってくる間合いなのだ。まさかそこで、次の誘いを断る、という条件が来るとは思いもしなかった。
また、それが遊木には有効だと有樹に思われているのも、事実だけにおかしい。
「うん、俺、佐久間さんの発想好きだなぁ」
「どうせ子供っぽいですよっ」
完全にすねている有樹に、ごめんごめん、と謝る声はまだ笑い混じりである。
「俺、佐久間さんに会わないって言われるのすごく堪える。極力言わないように気を付けるから許して?」
「……本当に言わないでくださいよ?」
「充分気を付けます」
眉間にしわをよせたままの確認に、遊木は真剣な表情で約束する。ころころと表情が変わる有樹を見ていたい気もするが、嫌われてしまっては本末転倒もはなはだしい。
引くべき時はしっかり引かなければ、本当に会ってもらえなくなるだけだ。
「ならいいです。……本当、その腐った感性何とかしてくださいね?」
「佐久間さんの前では表に出さないよう努力するよ」
しつこくこだわる有樹にもう一度約束すると、ようやく気がすんだらしく、視線を進行方向に投げた有樹が、あ、と声をあげる。
「あそこですか?」
言われた遊木が彼女の示す方向を見ると、公園の出入り口付近に移動販売車が見える。
「あぁ、あれだよ。俺が好きなのはチリソースのだけど本気で辛いんだ。だから最初はプレーンか野菜増量系のがお勧めかな。サイドメニューはポテトとチキンとサラダ、あと飲み物が少し」
「……う、辛いの実は苦手です」
「あはは、じゃあチリ系はやめた方がいいよ」
「そうします」
遊木の忠告にうなずいた有樹は、ついさっきまで見せていた不機嫌さをうかがわせず、遊木自身もつられるように少しばかり浮かれた気分になっていた。
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