始まりは小さなギルドから
現在獣人族は200ほどしかおらず絶滅危惧種として認識されている、しかしそれもその筈、迫害、実験、強制労働とこれらを全て帝国に強いられ逆らえずにいるのである。
表沙汰ではないが、獣人売買や、強制徴兵など現在以上に卑劣な扱いを受けていた時期もあった。そのため現在獣人の数がこれほどまでに激減しているといえるであろう。
「…それ本気で言ってるのかよ!やっぱり帝国の人間は他の人間とは種族が違うんじゃないかといつも思うぜ!」
持ち出された話を聞き苛立ちを隠せないでいる獣人の青年は、猫のような耳、髭、尻尾をピンとたて怒っている。
「我らの住む森の水を7割帝国に譲渡しろとのことだ、本当に帝国が何を考えているのか私にはわからない」
雄々しいたてがみそして長いヒゲを撫でながら中年の獣人は頭を重そうにしながら俯く
「こうなったら玉砕覚悟で最後を迎える方がよっぽどましだぜライノス、ここまでいいように使われて最後にサヨナラなんて目に見えてる」
「しかしシナムよ、まだ時ではない」
するとその話を聞いていた下半身は馬、上半身は筋骨隆々のケンタウロスが呆れ気味の声でライノスに対して言葉を投げかける
「獣人最強を欲しいままにしてきたライノスともあろう獣人がそんな弱音を吐くなんてな、獣人最強も落ちたもんだぜ」
「レアドの言う通りだぜライノス、時が来て女神様が俺たちの前に降りてきたってお釣りどころか借金を叩きつける羽目になるだろうよ」
打開策が中々見つからない最中3人の獣人の鼻に普段はあまり嗅ぐことのないものの焼ける匂いが入ってくる、そしてそれとほぼ同じタイミングで悲鳴が耳に入ってくる
「敵襲ー!敵襲ー!数200です!全て川の方面から歩兵です」
3人が話している部屋の扉にぶつかり、ぶち破った勢いで転がり込んでくる犬の少年
「こんな時に敵襲かよ!おいレアド準備はいいか!」
「当たり前だシナム、この時のために俺は鍛えているのだから」
そういって2人は一目散に川の方面に向かっていった
「私もそろそろ動かねばならない、しかしそれより先に」
体力を使い切った犬の少年を抱きかかえ村の方に向かって走り出す
これ以上獣人が屈辱を受けるわけにはいかない、このまま黙って滅ぼされる気はない、そういった決意が伺える顔つきにライノスはなっていた