表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ツッコミどころ満載!

作者: 進藤奈都子

日本の男性は総ゆとり世代かも…

ツッコミどころ満載!


共働きならば家事も夫婦で分担したい。ていうか、そうしないと大概は妻の方がクタクタになってつぶれる。新婚当初のハイテンションな時期はなんとかなっても、二年も過ぎると妻の頭の中は、夫に対する不満であふれている、かもしれない。


私も、当然ながら前夫に家事分担を提案した。

別に難しいことを望んだわけではない。

自分の洗濯ものは自分で片付けるとか、トイレを汚したらその場でさっと掃除しておく、とかそんな感じ。

家事というか、子どものお手伝い?レベルのことだ。


だが前夫は、それすら不満だったようだ。


平日はほとんど掃除まで手が回らない私に、

「女の人ってきれい好きが当然だと思ってたけど、奈都子は掃除しないんだね。」

などと平気でのたまった。


はあ?

いやまずその前提がおかしいんですけど?女の人でも掃除嫌いな人いっぱいいますけど?


とか言っても意味なさそうなので、とりあえず「家事も、時間が必要だからね(怒)!私も、夜しか家にいないから、家事の時間足りないのは当然だよね!」と、イヤミも込めて言ってみたのだが、返ってきた言葉はこれ。

「女の人って、生まれつき家事ができるように遺伝子に組み込まれてるんでしょ?仕事をする能力がない代わりに、家事育児の能力が備わってるのに、時間が足りないってことは、奈都子のやり方に無駄が多いんじゃない?もっと考えて効率化するべきだよ。」

だった。


はあ?

遺伝子レベルの話?

???


そんな学説、聞いたことないわ!


前夫は国立大学の大学院まで卒業している。

偏差値的にはなかなか優秀とみなされるレベルであろう彼が、そんなありえないバカなことを口にしたので、私はショックを受けた。


「時間をやりくりして家事と育児をまわすのが女性の腕の見せどころでしょ?仕事は好きでやってるんだから、そこはこなさなくちゃ。共働きの友達のところ、奥さんみんなやってるよ。」


そんでキレた。私。


そのときは、洗濯は各自行うということでいったん話が落ち着いた。

洗濯は洗濯機がやってくれるからね!簡単だよね!干すだけですから!

…と思ってたのに、前夫は一発目で、いきなりスーツのズボン(ウール100パーセント)を洗濯機で回したらしい。

結果は無残なもので、ぱつんぱつんになってしまった。


いやそれ、家庭科で習ったし、と言ったらキレられた。


おまえが洗濯しろというから、言うこと聞いてやったらこんな有様だ!スーツを弁償しろ!

だいたい嫁のくせに、なんで反抗するんだ!俺の言うことを聞くのが当然だろう!

家事なんて、女がやって当然だろう。男は家事なんかやらないんだ!黙っていれば良い気になってつけあがるな!うちの母親を見習え!


はあー。それが本音かよ。


男性でも、一人暮らしの人は家事をやると思いますけどねー。


高校生ぐらいで、自分の部屋の掃除も洗濯も食事も、家の中のことはたとえ自分のことであっても、完全に母親任せの男の子っているでしょう。学校行ってるだけ!って子。

前夫の生活態度はまったくそんな感じ。稼ぎはないから親の言うことを聞かざるをえない、高校生の方がなんぼかマシかもしれない、というぐらいのものだった。


学生のときは一人暮らしをしていて、それなりに自分のことは自分でやっていた前夫。

どうして結婚しただけでこうなってしまったのか、当時の私には全くわからなかった。

なぜ、家事を分担してくれないのか。なぜ、自分の親の言うことを聞かせようとするのか。なぜ、私の気持ちを考えてくれないのか。


今の自分ならばよくわかる。

前夫は、根強い男尊女卑肯定主義で、どんなに理不尽なことでも、理屈が通らないことでも、嫁は(女は)自分の(男の)言うことをきくのがあたりまえ、と考えていたのだ。自分のやりたいように生活する。女は、特に結婚して自分の妻になった女は、自分が快適に過ごせるようになんでもサポートするのが当然!そこに妻の意思は関係ない…ま、そんなところだろう。


私は、「二人で働かないと経済的に厳しいから、共働きで二人で稼ぎ、家事は二人で協力してやりたい。そうでないと、いろんな意味で結婚生活が成り立たない。」と訴えていたけれど、前夫からすれば、「少ない給料で家計をやりくりするのが妻の義務。夫の給料が足りなければ働きに出て稼ぎ、家計の足しにして夫を支えるのが妻というもの。たとえ仕事があっても、時間をやりくりして家事は完璧に妻がこなすべき。そこを助けてやっている(少しは家事をやっている)のに、文句ばかり言っている。」ぐらいの言い分だったのだろう。


どれだけ話し合っても平行線で当然だ。前夫には「家事は女がやるもの、(例え妻の時間が足りなくても)男は家事をやらないもの」という大前提があったのだ。

私がうるさいから、本来やる必要のない家事労働を手伝ってやっている、ハズレ嫁を引いた自分は運が悪い、夫を支え、夫の言うことを聞くのが妻のはずなのに…。


こういう相手に何を言っても無駄だ。言えば言うほど、女のくせに男に逆らうな!と逆上してしまい、溝は深まるばかり。


当時の私は、自分が良いと思って選んだ夫が、そんな理不尽で時代錯誤な男尊女卑主義だなんて、信じたくなかった。

必死で、自分の言い方が悪いからうまく伝わらないのか、とか、自分がわがままを言い過ぎているのか、とか、とにかく自分が悪いからうまくいかないんじゃないかと本当に悩んだ。そして、いつか相手が変わってくれる、と希望を捨てられなかった。

離婚を決めるまでに三年も時間がかかったのはそのせいだ。


今思えば、自分の目はゆがんでいた。いくら言っても伝わるわけがない。前夫は、夫婦が平等だなんて爪の先ほども思っていなかったのだ。

そこを認めたくなかったから、無駄に三年間もつらい生活を続けてしまった。


私は見る目がなかったけれど、今も同じように悩んでいる友達は多い。

それだけ、前夫のような「稼ぎは少ないけど家庭は昭和でいきたい」という、とにかく楽をしたい、子どものように甘やかされたい男が多いということかもしれない。


ま、はっきり言って、日本の男性って、ほとんど全員ゆとり世代よね(笑)

稼ぎは少ないけど、それは時代だから仕方ない。自分の親たちは、男がえらい!とふんぞりかえって生きてきた。だから、今の女は仕事も家事育児も全部やらなくちゃいけないから大変だよね、でもがんばって!

ただし、俺のお世話もちゃんとやらなくちゃだめだよ。俺は仕事していて偉いんだから!


そんな甘えた声が聞こえてきそうだ。

読んでくださってありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ