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管理者エリア(3)

これで俺たちの目的はハッキリした。

第一に、バグが発生し自我を持ってしまったモンスターを戦闘で駆逐し自我を一時的に飛ばしシステム上から削除できるようにすること。

第二に、バグを持っているのはモンスターだけではなくNPCたちもバグの影響を受けている。NPCたちは戦闘状態に持ち込むことができない、だからエルのように何か望み事を叶えてあげるとよい。これは、一般プレイヤーたちにクエストとして発注するのがいいだろう。

第三に、アップデートで新しく作成された新マップや新モンスターたちの修正だ。モンスターは、一つ目の問題と同じく戦闘で完膚なきまでに叩きのめした後管理者によりデータの削除そして、外部から新たなプログラムを打ち込んでもらう。マップのバグは、管理者自身がそこに入り込み新たにデータをその場で作成しなければならないため一般プレイヤーの力を借りなければいけない。


「それが、俺とハルの二人ってわけだよな?」

この管理者エリアで説明してくれたことを復唱し、俺たちの目的をはっきりさせた後レイク-管理者-に確認した。

「そうなる。これから、このバグが治るまでよろしく頼むよ。」

「よろしくな。」

俺とレイクは、握手を交わした…

「あれ、私は私は?…ねぇ、わ・た・し・は?」

ハルがまた俺の胸ぐらを掴んで、俺の足は地面と「さよなら」をし身体が宙に浮いた。…アレ、デジャブ…かな…。

「ハルさん、カルム…白目剥いてるからそろそろ下してあげて…。」

「え?…あっ、またやってしもうたゴメンな~。」

俺の命は、レイクさんによって助けられたのであった…。




☆レイク視点

「『エルダートオンライン全スキャニング開始します…、終了しました。異常部位、出力します。』」

「異常部位は、やはり新たなに設置したプログラムに大量に発生してるな…。」

ここには、一般プレイヤーが近づけないようにバリアを張っておこう。これも告知しておくか…。にしても、ゲームの中でもデスクワークですか…。大変ではあるが、こんな作業をゲームでできるから凄い時代になったもんだよな…。

彼ら-カルムとハル-に帰ってもらってから、俺は俺の仕事である問題発生の場所の特定と対抗策を練っていた。バグが発生してから二日は経った今でもそれは増え続けている。このままでは、このゲーム内がバグに浸食されるだろう。幸い、それぞれの拠点となる街にはバグが発生しないよう俺と外部でゲーム全体を管理している会社で防壁を成している。

「レイクさん、外部のイレーヌス責任者の竹本さんから通信です」

「定期連絡かな…、繋いでくれ」

竹本さんというのは、外部にいる管理会社の責任者で俺の友人でもある。齢20歳にして責任者とは、世の中も変わりつつある…というより、彼が凄すぎるのか…。

「こちらイレーヌス責任者の竹本だ。レイク、聞こえているか?そして見えているか?」

「こちらエルダートのレイクです。音声・映像共に良好です。」

「そっちの進捗状況は?」

「一般プレイヤー二名をこの管理者エリアに召喚し、今回のバグへの対抗策を共に解消する協力を求めました。」

「しかしなぜ、『管理者』ということを明かしたんだい?」

「いくつか理由はありますが、特に大事なのはシステム上の問題です。バグが発生した種類によっては、すぐに訂正しなければいけないこともあります。そのことに関して一人でもいいので一般プレイヤーの協力を仰がなければいけないと考えてからです。」

先程カムルにも伝えたが、その場で行わなければいけないシステム管理がいくつか存在する。エルに頼むのも一つの手だが、エル自身もバグから生まれた産物。念のためにということもある。

「なるほど、少々危険だが仕方ないか…。こちらも外部から潰せるバグは削除している、その他にも手伝えることはあるかな?」

「そうですね、いろいろやってもらいたいことがあります。バグを完全消滅させるには一度システムからら切り離さなければいけません。なので、そちらから新たにデータを打ち込んでもらいたいのです。こちらからもできるのですが、外部からの入力の方が安全だと思うのですが…。」

「それは、いいがゲームシステムに介入するわけだから管理者エリア以外はダウンするぞ?」

「はい、それは考えています。」

「まぁ、君のそういうのであれば君から連絡を受け次第システムから消されたプログラムの清掃をし新たに打ち込んでいく作業をするしかないよな。…それなら、ログアウトというシステム自体を切り離すことはできないのか?」

「それは、無理です。そもそも、管理者からもログアウトに関するプログラムにアクセスできないのです。」

「それでは、仕方ないな…。」

「こちらからの報告は以上になります。」

「うん、こっちからもないな。」

「では、次の定期連絡かプログラム挿入に関しての連絡のときに繋ぎますね。」

「了解した。」

そこで、外部との連絡を切った。竹本さんたちイレーヌスの社員たちは、エルダートに閉じ込められているプレイヤーたちの生身の体の保護とゲームプログラムにいる俺たちのデータ管理そして、ゲーム自体を外から支えてくれている大事な人たちだ。みんな必死で頑張ってくれているからこそ、ここにいるプレイヤーたちはここにいることができる。

メインコンピューターの時計を見ると、午前2時になったところだった。明日…いや今日は、カムルたちと三人でバグをもつモンスターに接触する約束を立てていた。プログラムといっても睡眠は大事だよな。

「エル、俺は一度寝る。システムをロックしたあとお前も少しは休んでくれ、午前8時になったら起こしてくれよ。」

「分かりました。システムロックします。」

各種のパソコンが光を失い、最後にメインコンピューターもその動きを最小限動ける範囲内まで出力を落とした。そして、俺は仮想世界で眠りについた…。


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