追究と説明
まばゆい光が全身を包み込み、辺りが淡白くなったかと思うと先程までいた管理者エリアが視界から消え建物の内部全てが赤い装飾を施された大広間が視界にあらわれた。そこには、プレイヤーがこちらに来る際に通り抜ける始まりの扉があり、普段はそこに集まる事のないプレイヤーたちが集結していた。
俺がそこに降り立つと一斉に視線が集まり、不安や怒りといった感情を乗せこちらを見ていた。システムウィンドウを展開し、外部と連絡する為の回線を大広間の天井部位に映し出し説明を聞くすべての人々に聞こえるようにした。
「全プレイヤーそして、外部で聞いている人々よ私は、ここエルダートを治める者なり。諸君も知っての通りシステムウィンドウからログアウトの表示が消失している。ログアウトボタン以外こちらの世界から
抜け出すことは不可能である為現在、私を含め外部のスタッフともども全力で復旧活動をしています。」
一度そこで言葉を切ると、プレイヤーの中から控えめな声が聞こえた。
「し、質問があるんですけどよろしいでしょうか?」
質問したのは、女性プレイヤーのようで小さい女の子のような声だった。
「質問を許可しよう」
「あ、あのあの…、この世界でヒットポイントが0-ゼロ-になると、現実世界だとどうなるんですか?」
「現在、それも含めて調査を続けています。なので、確認が取れるまでこの街全域と転落防止柵で防止している転落エリアへの進入をバリアで一時的に封鎖します。」
「分かったら、…あのまたこんな風に説明してくれるんですか?」
「勿論、その時には皆さんに御連絡いたします。」
最初この説明をしたとき、大きなどよめきがプレイヤー集団の中から聞こえていたが説明を終えると同時にそれも聞こえなくなり、俺の声を聴こうとしていた。
「現在、判明していることをお知らせいたします。このバグは、外部で起きたのもありますがこのエルダート内部でも起きています。つまり、外部でいくら修正プログラムを走らせても事態は収拾することがありません。先程も質問を受けましたが、ヒットポイントの問題が判明次第、私も含め内部にいるスタッフがそのバグに対しなんらかの対抗策を練りたいと思います。」
「質問いいかな?」
今度声をあげたのは、若い男性の声だった。
「どうぞ」
「何らかの対抗策というのは、例えば敵モンスターとの戦闘とかですか?」
「そうなりますね。」
「それならば、管理者権限でどうにかならないのですか?」
「残念ながら、試しに実行した結果エラーを認めました。最低限の管理者権限は行使可能ですが、バグ事態にアクセスは無理と断定いたしました。」
「なるほど。では、そのモンスターを倒しバグを修正していくと考えて宜しいのでしょうか?」
「そういうことになる。まぁ、モンスターを倒すだけがバグ修正に繋がるとは思いませんが…。」
「では、俺に手伝わせてくれませんか?」
「それは、もしこのゲーム自体がデスゲームに変貌していたとしてもですか?」
「はい」
俺が「デスゲーム」と称したとき周りから空気を吞む人々がいたが、すぐに俺とこの男性プレイヤーの会話に耳を傾けていた。
「そうか、他にも希望者がいるとは思うがすぐに決めろとは言いません。ですが、協力を求めたいのも事実。もし、危険を冒してまでも協力をしてくれる者がいれば管理者宛にメッセージを入れてもらえると幸いです。それでは、これより先程質問を受けた事について調査したいと思うので少々お待ちください。それでは、今回のバグについての説明を一時終了したいと思います。」
一呼吸置き、プレイヤーから質問がないのを見届けると俺は転位エフェクトをを発生させながら大広間を後にした…。