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世界の始まり

ここは、俺が作り上げた世界「エルダート」。ここでは、日本中のプレイヤーがゲームを楽しんでいる。そう、MMORPGの世界だ。このゲームは、俺が企画しある会社に作ってもらいできた世界で、ゲーム内の管理は俺が行い、会社側は外部からしかできないシステムを管理している。

基本、俺はゲームを楽しんでいる。それは、この世界になってからもそうだ。


ある日、ゲームをプレイしている時それは起きた。それはちょうどシステムの全アップデートの時だった。俺は、俺たちはこの世界の住人となった。


「よし、アップデートも無事完了っと。…いや、まだ全部でもないか」

エルダートの世界に入り、アップデートが完了するのを誰よりも先に確認した。なぜかって?その理由は簡単。それは、俺がこの世界を管理する者だからだ。

管理する役目として、この世界の管理…いわゆるゲーム内からのシステムのチェックだ。これがないと、もしバグが発生した場合、現実に戻れなくなってしまうかもしれない。そういうことを避けるために俺は、自らゲームの中に入って調査がてらこのゲームを楽しみながら、プレイしている。

その時、メインフロアの中央の魔法陣に現れた巨大な扉-始まりの扉-から続々とプレイヤーたちがこの世界に入り込んできた。

「どうやら、入国も完璧みたいだな。さて、内部のシステムチェックも順番にやっていこうかな」

入国…それは、現実世界からこの世界へ降り立ったことを指している。つまり、彼ら達の意識はここに全て集まっている。そのことを思うと俺は、大変な役職についているのだと常々考える。


「アイテム…、ステータス…OK。うむ、アイテムストレージもステータスにも異常は見られないな。」

簡単に聞こえると思うが、今全プレイヤーのアイテムストレージとステータスにバグ発生が見られないかどうかプログラムを走らせていたのだ。こう見えて、機械関連は強いのだ。元々、このゲームも暇つぶしに作ったものだが、あの会社「イレーヌス」もよくここまで仕上げたものだと感心するばかりだ。


「よし、次はフィールドだな。」

この世界には、敵モンスターが出るフィールドとダンジョンがある。フィールドは比較的低レベルのモンスターが出現するようになっていて、新しい特技の確認や新人プレイヤーの練習場として利用できるような環境設定をしている。ダンジョンは、様々なものがありもちろんレベルも様々だ。そして、様々なアイテムも手に入るように設定してある。

このように敵モンスターが出現するフィールドもあれば、全く出現しないフィールドもある。完全安全エリアである街や村だ。ここでは、武器や防具、回復アイテムなどが売られていたりプレイヤー自身が売り子となりアイテム類を販売する店もある。

ここで、プレイヤー自身が売り子となる…と説明したが、それはプレイヤーそれぞれが持つスキルによって違ってくる。

今述べたように、武器・防具などの装具を作りそれを売るには「鍛冶屋」のスキルが必要になる。他にも攻撃系・防御系・魔法系・回避系・回復系・鍛冶屋などの生産系など様々なスキルがある。…それは、機会があったらまた説明しよう。


「フィールドに人影なし…と。」

辺りに一般プレイヤーがいないのを確認して、システムコンソールにアクセスした。

「管理人コマンド…アクセス」

目の前に様々なウィンドウが姿を現し、そこから機械で作られた声が響く。

「『アクセスを確認…、プレイヤー名「レイク」と認識しました。』」

「周辺に人影がいないのを確認し、その後隔離空間に跳躍を開始」

「『了解。周囲にプレイヤーデータなし、跳躍開始まで…、5…4…3…2…1…』」


ブウン…


降り立った世界、それはゲームを楽しんでいる一般プレイヤーが立ち入ることを禁止されて…いや、そもそも入る事すらかなわない領域だ。この空間には、何もない。どこまでも続く長い回廊の中にいるように思える。この空間にも飽きたな。

「アクセス…」

「『システムコマンドを確認しました。』」

「このエリアの背景を秋葉原に変更」

「『了解』」

すると、そこに現れたのはアキバの街。オタクの聖地とも言われる世界が広がった。

「上出来上出来。…よし、やるか。」

俺の役職は、管理人。であるから、一般プレイヤーからは一つのスキルしか持ち合わせてないように見えるこのキャラクターは、全てのスキルを持ち合わせている。

攻撃系のスキルでは、攻撃能力を…、防御系スキルでは防御能力を…、魔法系では魔法、回避では回避、回復なら回復、生産系であるなら生産成功確率などの確認を行う。

全てのスキルチェックを行うとしたら、誰にも見られないこの空間が最適だろう。


「全データの確認チェック終了だな。」

システムチェックの結果、今まで調べた項目には異常は見られなかった。

「さて、元の世界に戻ろう。…アクセス」

「『システムコマンドを確認しました。』」

「元の世界に戻る。こちらに跳躍する前のエリア周辺に一般プレイヤーいないかスキャニングし、確認されない場合、跳躍開始」

「『了解。周辺エリアスキャニング開始…終了。跳躍開始まで…5…4…3…2…1…』」


ブウン…


「『跳躍完了しました。』」

「OK.システムロック」

「『了解』」

すぐさま、時間を確認する。PM7:00、確かメンテナンスが終了してこちらに入ったのはPM1:00頃だったな。一応システムの確認はしたが、この時間になると一般プレイヤーから管理人宛に問い合わせが来るかもしれない。いや、もしかしたらもうあるのかも…。こちらに入った時、システムチェックに専念したいから、アラームを切っていた気がする。そんな気がして、システムをチェックする。

「あぁ、やっぱり…」

やはり、アラームを切っていた。すぐさま、アラームの設定を行うと数秒とかからずに数件の問い合わせが届いた。

「やっぱり、一人であーだこーだと確認しても足りなかったかな…?」

届いた数件のメールをチェックする。確認したが、どれも同じ内容のものだった。

それは…

『メンテナンス終了直後にメニュー画面を開いた時にあったログアウトボタンが消失しています。』

というものだった。

そんな馬鹿なと思い、自らのメニュー画面を操作するとそこにあるはずのログアウトのコマンドがなくなっていた。


「ログアウト…できない…?」

すぐに、外部との連絡を図った。

「こちら、エルダート内部、管理人のレイクです。」

「あぁ、レイクさん。こちらからは連絡できない状況だったので心配しました。」

「どもです。まぁ、それはそれとして今一般プレイヤーから問い合わせがあり、ログアウトボタンが消失するというバグが発生したようなので確認したところ私のメニューからも消失していました。そちらの方で不具合などありましたか?」

「はい、結構あります。ところどころにバクだらけです。今、全力で対処しています。」

「それで、改善の目処はたっているのですか?」

「今は、まだ何とも言えません。」

「では、こちらからは管理人専用のアバターを使い全プレイヤーに異常発生の告知を行います。そちらは、プレイヤーの所在を確認し保護してください。」

「分かりました。では、早速行動に移ります。それとですね、どうやらこのバグは外部から消せるものとそうでないものがあるらしくこちらからアクセスしようとすると拒否される個所もいくつか見られました。」

「分かった。ゲーム内部からもバグがないか確認してみるとしよう。今回のアップデートで追加されたシステムに異常が発生したかもしれない。」

「そちらは、お願いします。こちらはこちらで全力で対処いたします。」

「そっちは、任せました。それでは。」

「はい。」

プツン…

外部との交信が切れ、状況を再度確認する。

現在、外部及び内部において多量のバグが発生したのが原因で、全プレイヤーがログアウトできない状態だということ。しかし、一つ分からないことがある。こちらの世界でもHPヒットポイントがなくなれば、「魂の故郷」というエリアで蘇生されるというのがこの世界のルールであった。バグが発生したため、どうなるか分からない。これも言った方がいいよな。


暇つぶしで作ったゲームが、まさか自分の牢獄となってしまうことなど当時の自分が知るわけもなかった。

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