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世界にたったひとつだけ  作者: 猫依颯
蛇足たち
20/21

うんどーかい 01

「……お」

 進行係の職員が配布した運動会の資料。係分担の表を見て、汀は目を丸くした。

(楓雅と一緒、か……やりやすいような、やりにくいような)

 大規模とは云えない職場、ひとつの係の職員は二人乃至三人だ。今年度汀と楓雅に割り振られたのは、前者。

「久瀬」

 資料を手にした楓雅が近づいてきた。

「おう、宜しくな。これ、去年お前が担当してた係か?」

「いや、違う」

「……え」

 ちょっと待て俺もこの仕事はこの職場では初めてだぞ、と云う汀に、楓雅の顔色がちょっと悪くなる。

「……俺、この係自体初めてだ」

「積んだか……?」

 それなら前任者に訊くか、と昨年度の資料を引っ張り出してみると、昨年度の担当は間の悪いことに全員異動または退職してしまっていた。

「このノートと、前の職場での俺の記憶頼みってことか……」

 幸い、かなり詳細に記された記録ノートが残されている。これならなんとかなるだろう、と汀と楓雅は胸を撫で下ろした。


 帰宅後、汀と楓雅は記録ノートを開いてみた。

「この辺の児童に配ったりなんだりのプリントのデータは、職員室のパソコンに保存されてたのを確認済みだ」

「お、サンキュ。そしたら、この役割分担と仕事説明のプリント、日付を今年のに直すところから始めりゃいいか」

「それと、用具が何処にあるか、今年もそのまま使える状態かを確認しておいた方が良いだろうな。

 ――お前、来週は出張やらケース会議やらで忙しくなるだろう。明日のうちに片付けないか?」

「ん、了解。それじゃ……」

 楓雅が印刷して持って帰ってきていた昨年度の配布プリントに、今年度の資料を見ながら赤ペンで担当者の氏名や日付の訂正をしていく。

「あと、こっちの……当日使う記録用紙なんかは、俺が見た感じこのままでいいと思う。前にやったときも似たようなの使ってたし。

 ただ、審判係の担当に四位以下の並べ方は確認取っといた方がいいかも知れないな。順位で並べんのか、色別に並べんのか」

 汀の言葉に、ああと楓雅が頷く。

「一昨年までは三色でやってたから、色別に並べてた気がする。去年は順位で並べた。担当だったから覚えてる。……子どもにとってはどっちが楽なんだろう」

「あとこっちのフォローのしやすさとな」

 ああでもない、こうでもないと意見を出し合いながら、夜は更けていく。

 お互い、家庭にまで仕事を持ち込むのは本意ではないが、そうも云っていられない。職場では目の前の子どもたちに向き合うことが第一で、放課後の時間は会議や保護者対応や出張で埋まる。重量のある採点は職場でこなすが、プリント類は持ち帰り仕事になることも多い。……そのまま手つかずで翌日出勤することもあるけれど。

すいません暫く続きます。その間は連載中表記となっとります。

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