12/21
卒業式
短いですが、今年度中に。
「……っ、ぐすっ」
「ったく、いい加減にしろ」
体育館の隅、放送機器の傍らで感極まる楓雅を俺は呆れ半分窘めた。
こちとら仕事中だ。いくら自分が受け持ったことのある代だからって、これはないだろう。
向こうに置いてきた教え子を想う。やはり今日、卒業する筈だ。
こちらに戻らなければ担任として卒業させていただろう連中には、電報を送ってある。だが楓雅程、あいつらに対する思い入れはない。本人は冷めているつもりでいるが、結局こいつは情が深いんだ。
「川端先生!」
見送りに外に並ぶと、子ども等が次から次へとやってくる。泣いている楓雅をからかう者、一緒になって泣き出す者、笑顔で礼を述べていく者。保護者の訪れもひっきりなしだ。
此処ではまだ、そういう関わりを持たない俺は、一応の見送りが済むと早々に職員室に引き返した。この後だってまだ、仕事は残っている。そう……成績処理とか。最終の〆切は今日だ。
――まさか、家に帰ったら教え子たちから寄せ書きが届いていて、うっかりそれに泣かされるだなんて――ましてやその様子を楓雅に見られるなんて、思いもしない俺だった。




