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序章
赤い木の実。
くちばしには天空のカケラ。
唄も藁もあるのに。
ねむりは千里の彼方。
旧い北の都の彩やかな光。
雛は澄んだ瞳で。
極光。
エストニアの口承神話。
古の詩は悄然と喪われ。
囀りだけの物語。
断章に満ちたこの世に、幾つかの砂粒をひろい。
宙の砂絵。
いま雛の瞳に一巻の螺旋。
*
美しい妖精のリンドゥ
天空神ウッコの娘
優しい妖精のリンドゥ
天空に永遠の愛をさがす
其れは、導きの北の星。
ソレは、妖しき齢の月。
それは、天道の陽の恒星。
愛は烈しく求め、求められ。
哀しく捌き、捌かれ。
星斗へ還る、空しくて。
美しい妖精のリンドゥ。
天空神ウッコの娘。
優しい妖精のリンドゥ。
天空に永遠の愛をさがす。
それは、彩やかな極光の化身。
赤い糸は手繰られ。
愛は、星のベールに包まれる。
いつか、指輪の約束。
・・・消えた運命の手。
解かれない方程式。
見つからない時計。
愛は訳なく、行方を彷徨い…。