砂の楽園
砂漠を見下ろす星たちが瞬き、囁き、歌う。
兄弟月の聖夜、あおい惑星へ道ができるよ。
甘い水と滴る緑にたどり着く奇跡。
王子は痩せた駱駝と砂の地に立ち、奇跡を待つ。
視線の先に青い水の楽園。
星の奇跡が波打ち近づいて、長い階段になった。
彼の場所とあおい惑星をつなぐ道。
寄せた波が熱砂に沁みて、小さな楽園を撒いた。
伸ばした指の先、渇きを潤す充分な水があって、ひとは笑顔で暮らしている。
王子は目を閉じ、腕を下ろした。
けれど、ぼくはここで生きるよ。
星の輝きを映して時折光る砂粒。大切な人はここにいる。
この場所を、楽園にしたいんだ。
砂漠を見下ろす星たちが瞬き、囁き、微笑んだ。
これから進む王子の道に、恵みの陽が昇るから。