Restroom ノイリとマゼンダ。
子供の視点って難しい。
表現が単調になりがちで困ってます。まだまだ力不足で申し訳ないです。
◇10/21 ノイリ台詞をひらがな、カタカナ多目(?)に編集。
◇1/11 句読点修正。
ノイリはお母さんとは会ったことが無い。育ててくれる虫の偉いおじちゃんは「お前は特別だ」といってくれるだけであんまり優しくない。
もっとみんなと遊びたいのに、虫のおじちゃん達は怖い目で笑うだけでちっとも遊んでくれない。
本当は遊んでくれるお友達もいたのに、虫のおじちゃん達に連れられてどこかに行ってしまった。
寂しい。誰か一緒に居てほしいのに誰もいない。
ダンジョンっていうのを見つけた虫の偉いおじちゃんは中に入って行って以来帰ってこない。
虫の偉いおじちゃんが、お母さんや他の友達と同じ様になってしまったんだと気づいた時は、不思議と涙が出て来なかった。
お母さんの話を聞いた時も、友達の時も涙が出て止まらなかったのに、偉いおじちゃんの時は何故か出なかった。
どうしてだろう?
おじちゃんが優しくなかったからかもしれない。
でも虫の偉いおじちゃんが居なくなってから、本当にノイリは独りぼっちになってしまった。
傍にだれもいないのは何だか寂しくて泣いてしまった。
1人森に入って何処かに行ってしまったお友達を探したけど結局見つからなくて、森で独りぼっちになってまた泣いた。
泣いて疲れて眠っていたら何かに揺さぶられて起きた。
「だれー?」
ねむさで目をゴシゴシしながら辺りに目を向けても、誰かがいるようには思えない。立って辺りを見回しても、やはり何もなかった。
「あれ?」
不思議に思っていると、足をちょんちょんとつつかれたのでそこに目を向けると綺麗な花が咲いていた。
「うわー、かわいい!」
ちっちゃくて、ゆらゆら揺れてるお花さんが可愛くて思わず手で地面から抜き取ってしまう。
慌てて地面に埋めようとしたけれど、お花さんはいやいやと花を横に振ってきた気がしたのでやめておいた。
「お花さんうまるのいや?」
思わず話しかけてしまっただけなのに、花を器用に縦に振るのを見て嬉しさのあまり飛び跳ねる。
「お花さんすごい!」
ノイリが飛び跳ねるのを真似してお花さんも一緒に飛び跳ねてくれる。それを見てもっと嬉しくなってぴょんぴょん辺りを飛び跳ねる。
飛び跳ね続け、疲れてへたりこんでお花さんを改めて見る。ゆらゆら揺れているお花さんは何処となく楽しそうでノイリも嬉しくてたまらなくなってしまう。
「お花さん名前あるの?」
そう質問した途端にお花さんはしょぼくれてしまい、沈黙を保ってしまう。思わず泣きそうにってしまうがぐっと堪えてお花さんを見つめる。
「無いならお名前付けてあげる!」
何気ない提案に喜んでいるようにゆらゆら揺れるお花さんを見てノイリは相好を崩し、お花さんへと話しかける。
「本当はね。ノイリのお母さんの名前なんだけど、ノイリ知らないからお花さんに使かってほしいの」
言ってる途中でちょっぴり悲しくなってしまい、俯いているとお花さんがゆらゆらと揺れて慰めてくれた気がした。
「ありがとうお花さん。お母さんの名前マゼンダっていうの、お花さんにあげるね!」
お花さん、マゼンダは喜んで器用に飛び回る。
ノイリも嬉しくて飛び回る。
お互いに目が回ってまたへたり込んで笑い声をあげた。
「マゼンダはノイリの友達になってくれる?」
花を縦に振って返事を返してくれるマゼンダを嬉しさのあまり上に放り投げる。そして慌てて受け止める。
「ごめんね、ケガしてる?」
相変わらず元気そうに揺れるマゼンダを見てほっと息を吐く。
ノイリは立ち上がり、マゼンダに何かを上げようと草むらを探し始める。マゼンダはその後を追ってゆらゆら揺れる。
「マゼンダ虫さんたべる?」
生まれたばかりのマゼンダにとって虫がどういったものなのか良くは分からなかったが、この幼女がくれる物なら喜んで食べたいと花を縦に振る。
何かを差し出したノイリの手からマゼンダはもぐもぐと花を動かして食べていく。
「おおー、マゼンダ可愛いのに凄い!」
ノイリは喜びの踊りをして疲れてつっぷし、また笑う。マゼンダも同じように喜び揺れる。
幾ばくか同じようなやり取りを続け、ノイリはマゼンダに舐められて親友になった。
◇◇◇◇
疲れ切って眠ってしまい、朝起きてマゼンダがいない事に気づき泣き始める。
折角できた親友が何処かに行ってしまって悲しくなるのを抑えられなかった。
「まぜんだぁ゛、まぜんだどこぉ」
慌てて現れたマゼンダを見てすぐさま笑みを浮かべてマゼンダを抱きしめる。力加減に注意して触れたマゼンダはとっても優しい香りがして、サラサラで、とにかく凄かった。
「えへへ、マゼンダー」
意味も無く名前を呼んで幸せに浸る。
名前を呼べば律儀に揺れて反応してくれるマゼンダに甘えていると、不意にくぅーとお腹が鳴り響き、何も食べていない事に気づいた。
「お腹すいちゃった」
照れくさそうにもじもじして、ボロボロの洋服から乾燥したパンを取り出して少し食べる。
「これはね。えらい虫のおじちゃんが忘れていったのをもらったの」
ニコニコしながら食べていると、羨ましそうにマゼンダが揺れる。
「マゼンダもたべたいの?」
パンのかけらを差し出すとゆらゆらと花を横に振るマゼンダ。
「じゃあ虫さんがたべたいの?」
答えに辿り着き、マゼンダがそれを肯定して上下に花を振る。
「ちょっとまってて、マゼンダの虫取ってから一緒にご飯食べよ」
マゼンダがそれにこたえて花を揺らしてノイリの肩に飛び乗る。
擽ったそうに首を縮めた後パンを懐に収めてマゼンダの虫を探し始める。
「虫さんどこですかー」
楽しそうに鼻歌を歌いながら虫を探していく。マゼンダもそれにのって揺れていく。それが嬉しくてさらに上機嫌になって虫を探す。
マゼンダの為に美味しい虫さんをプレゼントしないとと気合を入れて辺りを見回す。
「いた!」
探し当てた虫を捕まえてマゼンダに早速食べさせてあげる。
「ノイリも一緒だよ!」
そういってノイリも懐から改めてパンを出して欠片をつまんで食べ始める。
誰かと一緒に取る食事は美味しくて、思わず泣いてしまった。
それに困ったマゼンダが右往左往してノイリはそれがおかしくて笑い、なんとか場は収まった。
しばらくしたら虫のおじさん達が迎えにやって来た。
マゼンダと離れるのが辛くて泣いているとマゼンダが手の中に飛び込んできた。
何故かおじさんたちが服を取ってしまったので、裸で寒くなってしまったけど、虫のおじさんが怖くて何も言えなかった。
触ろうとしたらマゼンダが思い切り噛んだので、それ以上はおじさん達がノイリに近づいてくることはなくなった。
だけど偉い虫のおじさんが入った、ダンジョンってところに入らされて、奥に行かせられた。
マゼンダはまだノイリの手の中に居るから1人じゃないと自分に言い聞かせ、勇気を振り絞って前に進んでいく。
何もない部屋の奥には小さなボタンが一つあった。
早く押せと急かしてくる虫のおじさん達はなんでか遠くの方に行ってしまった。それを見て、ひとりになっちゃったのに何だか少しほっとしてまう。
やっぱりマゼンダがいるからかな?
そんなことを考えつつ、ボタンを押したら、突然床が抜けたのにはビックリした。ビックリしすぎてその後しばらく口が開かなかった。
やっと口が動かせるようになったのは、目が優しいけど、虫のおじさん達を殺した人間のおじさんが近づいてきてから。
ノイリも怖くて震えていると手の中のマゼンダが外に出ようとしてるのが分かった。
でも親友を今外に出してはダメだと分かったので出すことはしなかった。
「大丈夫、君を殺すつもりは無いよ」
あまりにも優しい言葉と優しい微笑で思わずビックリしてしまう。こんなにノイリに優しくしてくれたのはマゼンダのほかに初めて見たのだ。
人間のおじさんが近寄ってきて、頭を撫でてくれるとなんだかほわーっとなって、体が浮かんだように気持ち良くてつい体を預けてしまった。
人間のおじさんが微笑んで離れていく時、何だか嫌で追いかけようと思ったら、足についたねばねばで追いかけられなくて、気づいたら胸にぽっかり穴が開いてしまった。
余り痛くなくて、逆に黒い球を撃ってきた人の方が泣きそうでノイリは悲しくなった。
何か言いたいけど口が動かなくて、周りが暗くなっていってとっても不安になった。
おじさんがぽかぽかをノイリに与えてくれたおかげで、暗いのが無くなって口が動くようになって、そして足についてたねばねばも取れてしまった。
おじさんにお礼をいようと思っておじさんって呼びかけると、少し悲しそうな顔をされて慌てて名前を教えてもらった。
昔の友達に名前にお兄ちゃんを付けて呼ばないといけない人がいたけど、多分人間のおじちゃんもその人と同じなんだと思った。
だから名前を教えてもらってノリトお兄ちゃんって言ったらとっても喜んでくれた。虫のおじさん達は怖い目でしか見て来なかったのに、ノリトお兄ちゃんはとっても優しくて嬉しくなってしまう。
思わずマゼンダをノリトお兄ちゃんにあげてしまった。
後でノリトお兄ちゃんから親友はあげたりできないよって教えてもらって反省したり、アリサお姉ちゃんを叱ってノイリと仲良くさせられた。その時のノリトお兄ちゃんは優しいけど厳しくて何だかぽかぽかした。
そんなノリトお兄ちゃんをマゼンダも気に入ったみたいで優しく揺れて噛んでいた。ノリトお兄ちゃんの事マゼンダも好きになって良かった。
なんだかノリトお兄ちゃんには優しくしてほしくて変な事を言ってしまう。マゼンダもノイリが育てたんじゃなくて一緒に居て貰っただけだったのに、でもマゼンダは花を揺らさなくてノイリはちょっと後悔した。
それなのにお兄ちゃんから偉いって褒められて、新しい服を貰って何だか恥ずかしくてもじもじしてしまう。
ノリトお兄ちゃんにもっと構ってほしくて話しかけようと思ったら後ろを向いてしまった。
どうしたんだろうと思ったらアリサお姉ちゃんがノリトお兄ちゃんにちくちくしていた。
ノリトお兄ちゃんとアリサお姉ちゃんに何しているのか聞いたら喧嘩してしまった。喧嘩は駄目だよとノイリがちゃんと教えたら、ノリトお兄ちゃんもアリサお姉ちゃんもやめてくれた。
その後一緒に遊ぼうと言ったのだけど、アリサお姉ちゃんは用事があるってどこかに行っちゃって、ノリトお兄ちゃんはマゼンダの事について聞いてきた。
マゼンダの事を話すのは楽しくて、色々話してたら偉いよって褒められて思わずもじもじしてしまった。
なんだかノリトお兄ちゃんと話してると体がぽかぽかして熱くてもじもじしてしまう。
でもそれは嫌じゃなくて温かくて、一緒に居たい。マゼンダとおんなじ感じがした。
暫くノリトお兄ちゃんとマゼンダの事についてお話してたら、アリサお姉ちゃんにノリトお兄ちゃんがマゼンダを渡してしまった。
マゼンダはアリサお姉ちゃんがノイリを攻撃? したことをまだ怒ってて好きじゃないみたい。
でもノイリは好きだよって言ったらふらふらした後に喜んでくれた。ノイリも嬉しくて一緒に喜んだ。
ノリトお兄ちゃんがマゼンダを連れて行っちゃったので、アリサお姉ちゃんにじゃんけんぽんって遊びを教えてもらって、一緒に遊んで、楽しくて嬉しくてはしゃぎまわってしまった。
一生懸命じゃんけんぽんをしていたらノリトお兄ちゃんがやってきて、マゼンダが居る場所に案内してくれた。
何でか知らないけれどマゼンダはおっきくなって、もっと可愛くなって、ノイリは嬉しくてマゼンダの周りを飛び跳ねた。
マゼンダの姿が変わっていて、凄すぎて、思わずぎゅって抱き着いてしまった。
でもアリサお姉ちゃんが近づくとマゼンダは怒って花の中に行ってしまう。
アリサお姉ちゃんが可哀そうだと言ってもマゼンダは首を縦に振ってくれなかった。
少し悲しくなったけど、アリサお姉ちゃんはマゼンダの事が好きみたいでマゼンダの事を聞いてきた。
嬉しくなって色々教えたらアリサお姉ちゃんは飛び出して行ってしまった。
その後ノリトお兄ちゃんとマゼンダと一緒にあっち向いてほいをやって楽しく遊んだ。どんどん楽しくなっていって、胸がいっぱいになって、気が付いたらノイリは眠っていた。
◇◇◇◇
ノリトお兄ちゃんとアリサお姉ちゃんが忙しそうにしている時、たまにワンちゃんや小さな小人さんや空飛ぶ悪魔さんが遊びに来てくれる。
そしたらマゼンダが喜んでノイリとワンちゃんと小人さん、悪魔さんにはちみつリンゴをプレゼントしてくれる。
ワンちゃんと小人さんと一緒になって、マゼンダの周りを踊って、回って、騒いで、疲れ果てて、寝っころがって笑いあった。
ワンちゃんと小人さんはマゼンダの事が好きになったみたいで、暇なときはたまに来るようになった。
お兄ちゃんが何かしているというので、アリサお姉ちゃんについて様子を見に行ったら水がボジャーってなってて凄かった。
いっぱい遊んでマゼンダに凄いってことを教えてあげたら、マゼンダが花から出てきて凄かった。
思わずマゼンダに抱き着いて頬ずりしてしまった。
慌てて離れて恥ずかしくてもじもじしてたらマゼンダは笑って許してくれた。
その後は一緒にプールって呼ばれてる所に行って水遊びをいっぱいして楽しんだ。
ノリトお兄ちゃんは忙しそうで一緒に遊べなくて残念だったけど楽しかった。
今度は一緒に遊びたいなと思ってマゼンダの花の所に行ったら、ワンちゃんと小人さんと悪魔さんが集まっていてマゼンダと一緒にその中に飛び込んで遊んだ。
その後疲れて寝ちゃったんだけど、楽しすぎてなんだかそれも嬉しかった。
もっともっと楽しい日がきてくれないかなって思うけど、我慢しなくちゃって思う。
ノリトお兄ちゃんとアリサお姉ちゃんが頑張ってるからノイリ達が遊べるって、ノイリも分かってるから。
いつかノリトお兄ちゃんとアリサお姉ちゃんの事手伝えたらって思う。
今はまだ小っちゃくて早いって言われるけど、早く成長して立派になって一緒に頑張りたい。マゼンダと一緒に頑張りたい。
そんな事考えてたからかもしれないけど、夢に出てきたノイリはちょっと大人になってて嬉しかった。
ノイリ「ノイリ大きくなったらノリト兄ちゃんのお手伝いする!」
ノリト「お嫁さんにはなってくれないの?」
ノイリ「お嫁さんってなーに?」
ノリト「うーん、一番仲がいい人って事かな」
ノイリ「マゼンダと一緒で言いならお嫁さんになる!」
アリサ「ノリト兄さんちょっと来てもらえますか?」
ノリト「ハハハ……、冗談ですって」
アリサ「早く来てください」
ノリト「いぃやぁぁぁあああああああ」