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Room003 部屋を増やして検証です。

◇9/14 ご都合主義すぎると思われる部分を微修正、設定上問題なしなのでこのままいきます。

◇1/7 句読点、誤字脱字修正。

 悲しい事にあれから虫の人ばかりが攻めてきた。何でなんだと学習せずに罠で捕まってた1人に聞いてみると、何でも「御頭の仇打ちに決まっているだろ!」とか。


 あんな気持ち悪い奴の下につくとか気がしれん。しかもダンジョンに挑んだんだから死ぬのなんて日常茶飯事だろうに、なんて困ったやつらなんだ。

 俺が見たいのはお前らではなく他の可愛らしい奴らだ。罪悪感が全くわかないのは長所かも知れないが、短所がでかすぎるんだよお前ら。


 出来れば虫なんて食べたくない。さっきまで二足歩行で喋ってた大きい虫なんて嫌すぎる。しかも種類が豊富とかさらに嫌だ。緑の液体をばら撒くのもやめてほしい。


 オーソドックスなバッタから始まり、カマキリ、トンボ、カミキリムシ、蝉、蟋蟀、他多数。ああ、もうやめてくれ……、巨大な虫なんて気持ち悪さしか感じねえよ。別段虫が嫌いという訳でもなかったが、嫌いになりそうである。


 今侵入してきている虫族の御頭こと死んだ虫リーダーは、確かトノサマバッタだったはずだ。名前があったような気もしたが、死んだ奴を気にかけるほど頭の容量を割く余裕はない。容姿は気持ち悪いから覚えていただけだ。


 ただ仇という割には弱い敵しか入ってこないのが気になる。ダンジョンLvが上がらない限り敵も戦闘技能の行使が出来ないのだから、有難いではあるのだが……、ダンジョンLvが上がったかどうか確認する術を持っていないと危うい。


 という事でお馴染みアリサ先生に質問してみたのだが、最初はダンジョンのステータスは見れないらしい。Lv1に上がればステータス画面で閲覧できるというのだからまだ上がっていないのだろう。


 あれから虫を殺し続けているが、ついに食べきれなくなった虫達の死骸が手作りの小部屋に詰まっている。恐ろしい光景に吐き気を催すが罠の部屋に置くことも出来ないので仕方がない。


 なので今はせっせと掘り進めていたりする。戦闘は主に魔族とアリサにまかせっきりだ。どうせステータスは見れるのだし心配ない。死んでも頑張ってP貯めれば隷属化した今ならいつでも蘇生できるのだから問題ないだろう。


 なんてことが言えるのは、死んで弱くなっている今のアリサなら、然程Pを消費しないで生き返らせる事が可能だと聞いたからだ。実際死なせる気はないし、今のままなら当分死ぬことはないだろう。現段階であの罠突破できる人がいるとも思えないしね。


 さらにはExを使って、アリサの要望でアリサのLvを上げるよりも先に、霊族の骨犬とゾンビを召喚してそいつらを育てている。弱いので微々たる力ではあるが全体的な戦力は向上している。


 今あの狩場(落とし穴)には新たに召喚したインプ(-10P)――2体召喚しようと思ったけれど、Pがもったいないのと、試しの意味を込めてまずは1体――も含め、多数のモンスターで溢れかえりそうになっている。


 粘着沼を足しておかないと敵が引っ掛からなくなりそうだったのでそうしたのだが、無駄な出費が痛かった。


 ちなみに骨犬、ゾンビ、インプのステータスはこんな感じだ。


―――――――――――――――――――

名前:インプ①~②

種族:魔族

職業:ノリトのインプ

Lv:1 NEXTLv:50Ex

HP:500/500

SP:500/500

Ex:0


STR :5

INT :20

DEX :15

DEF :5

MDEF:15

AGI :10

LUK :0


固有能力:未取得

戦闘技能:《淫魔術》

称号:未取得

―――――――――――――――――――


 《淫魔術》…淫魔特有の魔術。[魅了]50MP消費して相手を魅了状態にし、仲違いさせる。[倦怠]10MP消費して達成感を相手に与え、何もしたくないように誘導する。


―――――――――――――――――――

名前:骨犬①~③

種族:霊族

職業:アリサの骨犬

Lv:1 NEXTLv:10Ex

HP:50/50

SP:10/10

Ex:0


STR :5

INT :2

DEX :5

DEF :8

MDEF:2

AGI :6

LUK :2


固有能力:未取得

戦闘技能:《骨強化》

称号:未取得

―――――――――――――――――――


 《骨強化》…骨を強化して物理攻撃に備える。発動時DEF+5


―――――――――――――――――――

名前:ゾンビ①

種族:霊族

職業:アリサのゾンビ

Lv:1 NEXTLv:10Ex

HP:300/300

SP:0

Ex:0


STR :12

INT :1

DEX :10

DEF :20

MDEF:1

AGI :1

LUK :0


固有能力:《蘇り》

戦闘技能:未取得

称号:未取得

―――――――――――――――――――


 《蘇り》…殺されても体が原型をとどめている限り自然に蘇る。


 インプはどうやら魔術特化、それも異常状態にする能力に長けている。物理攻撃には弱いので前衛がいないとすぐ殺されてしまいそうだが、初の後衛は心躍るものがある。


 だって作戦の幅が広がるじゃないか、真正面からやり合っても十分健闘出来るかもしれないのだから胸熱だろ! ……まあ今は蘇生させるPの余裕なんてないし安全第一で進めていくんだけどね。


 気を取り直して骨犬のステータスに目を走らせる。どうやら物理防御に長けているらしい、きっと健康な骨という事だろう。現代人のカサカサした骨とはわけが違う光沢を帯びていたし、まず間違いないな。


 ゾンビに関してだが、《蘇り》はレアな戦闘技能なのだが、とにかく足が遅いおかげで効果は期待出来ない。殺されながら近づいていくんだろうけど、魔法で攻撃されたら終わりだなーといった感じである。


 防御力は骨犬同様高い様なので、育てて行けばタンク(前衛:防御役)として機能するかもしれない。


 もちろん他の選択肢が無いわけではない。我らが先生、アリサが教えてくれたのだが、召喚した霊族の中で成長した個体が進化を遂げる事があると言っていた、絶対ではない様なので試行錯誤はやはり必要なようだ。


 詰る所、頑張って育てて進化させましょうと言う事だね。進化する道も一つではないという事なので、どのような環境で育てるかによって変わってくるのだろう。


 現状フロアの属性とか変える余裕も無いので、成長の変化については後回しではあるが、楽しみが増えたのはいいことだ。


 さて、楽しい考えは置いておくとして、そろそろ真剣に現実に向き合わねばなるまい。今俺は現在最も必要とされている新しい小部屋を作っている訳だが、《加速》があっても手作りだと時間はかかりすぎるのでこれでは間に合わない。この際どんどん虫族が死んでる事だし、フロアを一つ増やすぐらいした方がいいだろう。


 ステータスは変わっていないが罠に粘着液追加-20Pと、敵を3組(5人編成)殺して+300P加算されているのでそれほど問題にならなさそうだ。


 合計570P、最初と比べると大きな前進だ。虫族は嫌いになりつつあるが、Pをくれる事だけは評価してもいいかもしれない。


 ただこれでフロア作ろうと思うと通路20P、フロア小100Pで残り450Pでそれほど問題ないように思えるが、今も虫族の死体が増えているので、これを片付けるとなるとフロア小では全然足りない。せめて2つは必要だ。


 となるとフロア中200Pで作れば片が付く。フロア中の広さはフロア小の4つ分、フロアを作るコストは安いがその分罠を仕掛けるにも、フロアに特性を付けるのにもそれなりのコストがかかる様になってしまう。


 だから今作っても本当に倉庫にしかならず、無駄の極みだ……。でもないと困る、非常に困る。


 もう嫌になりそうだ。決まりで時間を置いて侵入して来るにしても、誰も帰ってこないのだからもうちょっと警戒してもよさそうだが、死にたがりの虫共は後を絶たないので本当に困る。


 今もまた1組潰したのか100P追加された。早くしなければそのうち落とし穴も死体で埋もれてしまう。


 こうなったら他の利用法とか無視して倉庫としか考えない様にしよう。死体処理は後々考えるとして早急に実行しなければ俺たちの命が危ういのだから。


 とりあえず最初のフロアではなく、手作りの隠しフロアに通路を新しく掘ってその先にフロア中を設置する。


 最初のフロアに続けるのも考えたが落とし穴から引きずり上げるのが手間だし、何より危険なので即却下だ。


 新しく出来たただ広いだけの四角い空間を見ていると感慨深いものがある。あのフロア小から遂にここまで来たかなんて思ってしまうのだ。と言ってもフロアの大きさは小、中、大なんかで終わりではないので小さな一歩でしかないんだけどね。


 とりあえず1組討伐終わったばかりなので、新しい組がくるのはもうしばらく後だろう。他の種族が攻めてくる可能性もあるので、アリサとその配下は残しておいて、魔族の面々には死体運びを手伝ってもらう。


 死体が腐るかどうかは分からないが、10P消費して木製の扉を付ける。腐臭のする部屋とか嫌過ぎるし、賢い選択をしたと思いたい。


 問題はそんな事ではなく、死体が置いてあった隠し部屋が緑色に染まっているという事だ。


 これは酷い、酷過ぎる。俺の苦労をなんだと思っているんだ……、とぐちぐち言いながら穴を掘ってそこに緑色の液体を流し込んでいく。


 作業中はずっとトランクス一丁である。服が汚れてしまったら変えが無いので仕方がないのだ、決して俺が変態なわけではない。


 作業が一通り終わり、緑の液体を入れた穴を埋める。この隠しフロア死体置き場と狩場(落とし穴)の通路になっているのでまた汚れそうだが、汚いままでいるよりはましだろう。


 これで応急処置は終わったので、魔族には狩場に戻って貰い、俺は俺で今ある460Pを駆使してこれからどうするかを考える。


 アリサとしてはPを畑作りに投入するのは反対らしく、少し困っているが俺としては断固として畑は作るべきだと思っている。


 ただ《迷宮創造》では植物を作れない、そこが一番の問題なのだ。光を当てないといけないというのは少し考えがある、成功するかどうかは別だが。


 まず考えられるのはダンジョンの外に植物を取りに行くという手段だがこれは無理だ。なぜなら敵は転移陣を使って侵入してくるが、それは一方通行のものでしかない。


 アリサの時は一方通行ではなかったらしいが、何が起こるかわからなかった為にアリサは外に出なかったらしい。それは分からないでもないが、というより、俺も外は危険だから出ようなんて思わない。しかしだ、だからと言ってやって来た者を食べるとかどんだけ覚悟決めてるんだ。


 どちらにせよ食べ物に関して考えが無いわけではない。虫族の方はダンジョンを攻略するにあたって持ってきた物が今回のカギだ。


 なので嫌だけれど食事の為に虫族の死体を漁り始める。鎧、もとい甲虫類の殻を外して解体していく。


 弄りまくったかいもあって殻の内側にあったアイテム袋を見つけることが出来た。ここに目当てのものがあればうれしいのだが果たしてあるだろうか……。


 ――――あった。


 これがここに有る理由としては、ここが出来たばかりのダンジョンだという事が最も大きい。回復薬などはもちろんダンジョンに合わせた物になるだろう。


 ここまで考えれば誰にでもわかるではないだろうか? そう、薬草である。薬草は枯れなければ効力があると事前にアリサから聞いている。


 ダンジョンでも長持ちする薬草は大変生命力が高い。例え刈り取られても何十日も枯れない程だという。これだけ凄いから薬草の生命力を取り込むことでHPの回復も出来るのだろう。


 俺は異世界物語を読んでいてたまにこう思う事があった。薬草をちゃんと栽培せずにどうして山や森から摘んでくるだけで需要と供給が成り立つんだと。


 この異世界でもその違和感があり、尚且つ俺の仮説が正しければ畑の有用性はアリサにも納得できるものになるだろう。


 そしてその仮説は確信になりつつある。目の前の未だに青々としている複数の薬草を見て思わず笑みを深める。


 後は畑を作って試すだけだが、アリサがいない今が絶好のチャンスだ。急ぎ隠しフロアにもう一つ通路を作ってフロア小100Pを作り上げていく、これはもう俺の中で決定事項なので躊躇なんてしない。


 出来上がったフロアに土属性を100P消費して付ける。これでこのフロアで俺が土属性を操ってフロアを編集できるようになる。


 簡単に言えば壁の土を使って椅子や机など自在に作れるという事だ。元は土だから見た目は不格好なんだけどね。


 これに火属性を付け、土を焼き上げて煉瓦状にして行けばもっと見栄えなどは良くなるだろうけど、それには追加で200P、他にも追加するならこれの倍は消費されるので今はこれだけで十分だ、というより限界か。正直今は食事だけがちゃんとしてくれればいい。


 そろそろ作業に移るとしよう。フロア小の床を盛り上げていき、凹凸を作り出してから床と切り離す。これで畑は出来たわけだ。


 次は光だがこれは光球を利用しようと思っている。あの偽物の扉が壁判定になった事を今使えないかと考えたのだ。


 何回か下に穴をあけてその中に光球を入れて練習を繰り返し、本番に移る。フロア天井を少しへこませてその中にすっぽり収まる様光球を留まらせ、それを覆う様に土壁を移動させ中央に小さく穴を残したまま編集を終了し、次に魔犬を呼んで光球の入った穴に飛び掛かってもらう。


 考えていた通り光球は消えることなく、魔犬はただ光球を殴って地面に着地した。


 どうやら光球を壁と認識させる事に成功したようだ。失敗して再編集をするとなるとまたPが必要になるので1回で成功して良かった。


 今回の実験で俺が重要視したのは前と同じ状況になるべく近くするというものだ。光球を土壁で覆い、小さな穴しか残さなかったのは土壁に埋め込まれていると認識してほしかったからだ。


 何故そんな事をしたのかと言えば、扉が壁化した理由が、単純に壁に埋め込まれた物は、壁の一部となるのではないか? と考察したからだ。本来壁は傷つけることが出来ないのだから、埋め込まれているものも壁なのだ。


 俺が意識して壁を壊して作り上げたフロアは、相手が認識できなかった様にそれは本来あってはならない、つまりはシステムの裏側。


 しかし普通意識して自分のダンジョンを壊そうとは思わないだろうに、破壊できると知っていたアリサはいったい何をやらかしたのか……。


 何で知っているのかは怖くて聞けないが俺に罪はないはずだ。


 今回の実験で心配だったのは光球が壁化せずに消える可能性だ。なるべく前回と同じ様な状況に近づけたが、触れていないという点が大きく違っている。


 俺の光球に土壁が触れると攻撃を受けたと判定して光球が消え去るのだ。これは事前の練習でも何回か消えてしまったしまず間違いない。


 思いのほか簡単に出来てしまったが本当なら成功確率の方がうんと低かったのだ。


 今回の成功は偏に俺の食に対する飽くなき追求と、元々説明すら雑な、このダンジョンの粗雑さが起こした奇跡ではないかと思う。


 光球などの魔術は効果を発揮しないと、つまり光球の場合攻撃魔術なので何かを攻撃しないと消える事はないので、かなり省エネな代物となっている。


 ここまで上手く成功しているが本題は薬草である。これが成功するかどうかで俺の食生活が劇的に変わってしまうので成功してほしい。


 薬草の色つやを見る限り問題はないように思うが数日は放置しないといけないだろうし、なかなか落ち着かない。


 どうか成功してくれと切実に願いながら薬草を一本一本丁寧に畑へ植えていく。


 作業を終えて人心地尽いた後、最後の作業へと移る。つまり狩場に留まっているアリサの元へ攻撃されに行くのだ。


 逝ってきますと1人見えない空に向かって敬礼し、その場を後にした。






◇◇◇◇






 ちなみにアリサの前にトランクス一丁で出てしまい、畑の件との相乗効果でいつもより激しい責め苦にあったのは秘密である。


 残存P:260

アリサ「なんで畑なんて作ったんですか!」

ノリト「お前は一度食事風景を鏡で見た方がいいぞ」

アリサ「ノリト兄さんは鏡で自分の顔を見て下さい!」

ノリト「ぇえ!? それって暗に俺の顔が酷いって言ってるのか? 普通だと思うぞ? そうだよね? そうだと言って!」

アリサ「畑を作った人なんて知りません」

ノリト「アリサーーーーーーーー!!!」


簡易MAP

[入口フロア][のぞき穴]

  |     |

[落とし穴]―[隠し部屋]―[死体置き場]

        |

        [畑]

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