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Room028 イベント複数鬱のもと。

 今まで聞いた事の無いシアの「お母さん」という言葉を発した思わしき悲鳴、あるいは奇声といっていい声が上げられたことに驚愕したのもつかの間。

 投影で見た侵入者を見て俺は事態を把握した、否、せざるをえなかった。

 先程まで話題に上がっていた人物がやってきたのだ。ありえないとは思わないが、噂をすれば影、とでもいうようにやって来たのは、何か作為的なものを感じてしまう。

 続けて上げられるシアの叫び声のおかげで、侵入者のうち3人の素性がわかったが、いやはや、知らぬ間に尋常ではない事態が進行していたものだ。


 シアファミリーの襲来。


 一体何故家族で迷宮に来たのかさっぱりわけが分からないけれど、エルフの里にいるはずのシアの母が、何故家族の下に居るのかもさっぱりわからない。

 そんな状況下で分かっていることが一つだけある。

 大変面倒くさい状況に陥ったという事だ。


 考えても見て欲しい。

 敵の中に要救助対象がいるのだ、しかもこちらを敵と認識している。

 何らかの要因で、もしかしたらこちらを敵認定していないかもしれない。けれど普通に考えればそれこそありえないだろう。

 つまり敵と足止め、もしくは排除した後に、要救助者の抵抗を無効化し、捕縛する必要があるのだ。

 けれど実戦経験が乏しい上に、ポイントが少ないこちらとしては、直接戦って、尚且つ殺して生き返らせるという行為はしたくない。

 それに今回シアファミリーが抱えている荷物は異常である。まるで夜逃げしているかのような感じといえばいいか、風呂敷に詰め込めるだけ詰め込んできているのだ。

 本格的に攻略してきたと考えるのが妥当、とは思うのだが、それなら何故家族連れなのかわからない。

 いずれにせよ、そんなやる気満々な方々を相手に捕縛するなど、一体どれだけの労力が必要か考えれば、面倒くさいと思うのも仕方ないと言える。

 もういっそ最初の狩場に落ちて欲しい、そう願わずにいられる人間など、果たしてこの場に居るのだろうか。


 そう、願わずにはいられないから、俺はもちろん願ったよもちろん。でも願いなんてものは都合よく叶うわけがないのだ。

 しかし、流石はギルド職員というべきか、難なく扉を開けてしまった。

 そして、さらに流石と言うべきか、他の侵入者が我先に滝を落下してく。これが統率された動きだとするのなら大した物である。

 最初をあっさり抜けたが為に勢いがついたのか、それともギルド職員であるシア姉の作戦なのかはわからないが、先行部隊は早々と鍵開けにとりかかっている。

 様子を見ている限り、コレもそう長くは持たないかもしれない。

 もうこのままシアファミリーを置いて、都合よく全滅して欲しいのだけれど。

 そうすれば後はシアファミリーを強襲するだけで全てが終わるし。


「パパさん!」


 シアが走ってこちらに向かってくるのを見ながら、先程の叫び声もそうだが、ここまで慌てた様子のシアは珍しいな、とのんきな事を考える。

 こうして考えている間にも、先行部隊は早々と鍵開けを成功させ、奥に突入していく。

 ここから先の情報はあまり持っていない為なのかわからないが、無作為に突入していくのはどうなのだろうか。

 もしかしたら仲間割れでもしたんだろうか? それとも様子見の突撃?

 意図がわからないが、ダンジョンに侵攻している雰囲気を微塵も感じさせないどころか、若干うざい空気をかもし出しているシアの両親を見ていれば、焦っているわけでもないというのは良く分かる。

 シアの姉が両親に蹴りを入れて、肉片漂うプールへとダイブさせるのを見ればさらに良く分かる。

 しかし、シアファミリーが孤立している状態で説得する場面を作りたいのだけれど、一々行動が早いのは困ったものだ。


「パパさん!」


 反応しない俺の側で、これでもかと叫ぶシアを一瞥するだけに留め、異常な速度で移り変わる戦局を見るべく、投影している映像に再度視線を向ける。

 丁度シアの姉と思わしき人物が早々と長いロープを作り上げ、荷物にくくりつけた後、プールへ落下していくシーンだった。

 ここまで掛かった時間は然程ない。驚くほどに優秀と言っていい。というよりは、驚くほど正確な情報を持っているといった方が言いのか。

 兎も角、彼女には迷いが感じられない。コレまでにこちらの情報をどれ程掴んだのかは知らないが、パターンまで見抜かれているかもしれない。

 現に今も爆発した場合の事を考えているためか、シアの姉は大きな荷物をその背へ縛りつけ、両親に支ええてもらう為に後続につかせている。

 さらにその後続に続いている侵入者を見るに、コレで通れると考えているのだろう。

 もしかしたら最初の突撃は、情報の少なさゆえにした決死覚悟の様子見か、もしくは爆発を抑える為の役割だったのだろうか? もしそうだとしたら無駄なのだが、それも考慮に入れているとしたら甘いといわざるをえない。

 これだけの工夫なら足をすくわれ、荷物ごと飛ばされるのが落ちだろう。


 最悪死んでしまう可能性もある為、どうしたものかとシアを見ると、懇願するような、潤んだ瞳でこちらを見つめていた。

 元々シアの家族だから助ける気はあったのだが、最悪死んでも仕方ないと考えていた。

 Pはもったいないが、戦いに身を置いていない一般人で、消費Pは最小限で済むうえに、俺は会ったこともない人達だ。

 無視は出来ないが、シア達と同等に思えという方が無理だといえる。

 けれど、声に出さずとも懇願してくるシアを見て、そうも言ってられなくなってきた。

 自他共に認める家族への甘さなれど、後悔するつもりなど毛頭ない。

 懇願されれば即決である。


 決めたからには行動あるのみと、シアファミリー確保の為の手段を頭の中に思い描いていく。

 目下の問題は死なせないようにフロアを通すこと。あのフロアはあまりにも危険すぎる。

 もう然程時間もない、訴求に取り掛かるべく、シアの後ろに続いてきた者達に向かって声を張り上げる。


「おーちゃんは全力で洗濯干し場に向かい、隠し扉を解放後全力で退避! 以後爆発発生後速やかに扉を閉じろ!」


 役に立てるのが嬉しいのか、すぐさま返事をして尻尾を振りながら駆けていくおーちゃん。

 うちで一番足が速いのが彼女なのだから、恐らく間に合う。間に合ってもらわないと困る。


「アリサは部下を引き連れて闇フロアで待機! シアの家族確保を最優先で行動してくれ、ついでに余裕があるなら侵入者も殺してくれ」

「わかりました」


 おーちゃんほど急ぎではないアリサは、これから来る侵入者を意識してか、無駄に優雅さを意識した丁寧なお辞儀をして、その場を去っていった。

 薬草の根っこは置いていけとか思うのだけれど、もうそろそろ諦めるべきなのかもしれない。

 いや駄目だ、諦めてしまっては駄目だと自分に言い聞かせる。

 アリサがこういった態度をする時、大体がふて腐れているのだ。

 ここに来てからというもの、アリサが死んだ話を避けるあまり、思い出話をあまりしていないのも、原因の一端かもしれない。

 アリサとて自分がいなかった3年間、気になることも多いだろう。

 父親がどういう状態になっているかも気になるだろうし、メンバーが増えてきて負担も減るだろうから、話すべきなのかもしれない。

 もしかするとそれで塞ぎこんでしまう可能性もあるが、大丈夫だと思いたい。

 寧ろ塞ぎこまないように、さらに爆食する可能性のほうが大きい気がするし……。

 やっぱり後回しにしようかな……。

 とりあえず、今考えても仕方ない事には違いないと、逃げる様に思考を切り替え、棒立ちになっているシアに指示を出す事にする。

 

「シアは家族を迎える準備でもしておいてくれ」


 シアは今落ち着きがない。

 故に戦闘で全く役に立たないだろうことは、誰の目にも明らかだ。今も投影された映像を見つめるばかりで、返事すら出来ないでいる。

 であるならば、戦闘ではなく他の事に注力させたほうがいいだろう。

 少なくともここから先は見ていて楽しい事もない。

 爆発に耐えられるかどうかもそうだが、侵入者のはいている物が、その未来の悲惨さを指し示している。

 そんな光景を見せたいとも思わないし、見てもろくな結果にはならない事は明らかだ。ならばシアを極力遠ざけるようにしなければならない。


「ノイリたちも手伝ってもらっていいか?」

「うん!」


 故に騒ぎで集まってきたノイリにシアを任せ、万が一の場合に備え、自分はおーちゃんの下へと向かう。

 道中爆発音がしたが、投影で見る限りシアファミリーは無事の様だ。

 ただ、おーちゃんが爆風で転がっていき、それを止めようと魔狼が群がったと思ったら、手を地面に突き出してムーンサルトを決め、周りを見渡して落ち込んでいた。

 戦闘であまり活躍できていないために、他の方法で褒めてもらう様努力しているのかもしれない、実におーちゃんらしいといえばおーちゃんらしい。

 もう少しかまってやろう。


 何はともあれ、爆発の衝撃を分散したおかげでシアファミリーは無事助かった。

 ある程度侵入者も生き残ってしまったが、そればっかりは仕方がないし、良しとしよう。

 相手が怯んでいるうちに、おーちゃんが扉を閉められたので、大した問題にならなかったのが、上出来といえば上出来である。

 それに加えるなら、大分消耗してくれているおかげで、次のフロアで確実にシアファミリーだけを捕獲できそうなのは大変有難い。


 しかしまあ、ギルド職員とは言っても、コレだけすばやく攻略してくるとは思っていなかった。

 正直爆発する罠で慢心していたと言っていいかもしれない。

 心に余裕が出来る罠を作ることがベストなのだから、余裕を持っている現状は特に間違ってはいないのだろう。

 とはいえ、慢心が過ぎれば痛い目を見てしまうのは確かだ。

 この世界では痛い目=死という事になりかねないのだから、余裕を持つのは最低限にするべきなのだ。

 そうして考えてみれば、完成して間もない迷路は、今のままでは不十分かもしれない。

 いや、寧ろ何で今の状態で大丈夫だと思ったのかと自分に問いたい。

 テストしたから?

 馬鹿じゃないだろうか、テストは小さな部屋で行ったものだ。それがそのまま反映されるわけではないのは十分わかるはずだ。

 それにそれ相応の結果が期待出来る段階のものを、確実に実用化しなければいけないのだ。

 失敗は最低限にしなければいけない、だというのに狭い空間内での実験だけで満足するとは、本当に駄目駄目だ。

 後で木を生成して迷路の天井や壁を全て木製にすれば、狭い空間内での実験結果と同等のものが出るのではないだろうか……、いや、それよりも鉄製にしたほうがより効果が高いのではないだろうか。

 しかし、それだと効果が高すぎて作用しない可能性もあるし、工夫を何処まで加えればいいのか悩みどころである。

 こういう時こそ、実験用の冒険者を1人2人確保しておくと便利かもしれない。いつもその場その場をしのぐだけで、有効活用がまるで出来ていない気がする。

 解剖ももっと時間をかけて、尚且つ一体一体じっくり見ないことには意味がない、というのもわかってきたし、綺麗な検体も新たにいくつか欲しいものである。

 ああ、なんだか自分がダメなうえに、凄くヤバイ人物になってきた気がするが、生きていくうえでは仕方ないはずだ。

 誰も何も言ってこないし、今の環境に居るのならば誰だって当然やる事なのかもしれない。何はともあれ、深く考えたら色々おろそかになってしまいそうだし、考えるべきではないだろう。

 とりあえず己の慢心に関して注意を払い、他にに関しての考察は保留しておくことにしよう。


 っと、考えている間にアリサがあっさり捕まえてしまっている。

 さすがステータスは微妙なのに、技術面が卓越しているだけはある。無駄飯食らいでないのが何よりだ。

 本当に。


 始まりは唐突で、終わりも結構あっさりしたものだったが、今回は寿命が何年か縮まった思いである。

 出来る事なら想定外の事態というのは、もっとこう、間を開けて欲しいものである。

 何せ犬さん達のイレギュラーに加え、外への転移陣確保とシアファミリー襲来。いくらなんでも濃いイベントが短時間のうちに起こりすぎている。

 これからの事を考えると、頭が痛い。


 外への道は戦力が乏しすぎて侵攻するのも無理があるし、こっそり作戦を行うにはエルフの里は目立ちすぎる。

 せめてもっと人気のない場所だったらありがたいのだけれど、贅沢もいってられないの現状。

 もしかすると、逆に向こう側から侵攻されそうで怖いし、あまり期待しないでおく。


 犬さんたちのイレギュラーもとい、食い扶持が大幅に増えたのはかなり痛い。けれど食料の種類と量が増えるのだから、どっこいどっこいと言った所だろうか?

 いや、実際の収穫量と、育つ早さを比較すれば明らかにマイナスではないだろうか?

 迷宮内で作物は思ったよりも早く育つという推測は、現段階では薬草しか試していないので、これからに期待といった所だし、やはりコレもあまり期待せずに行くべきだろう。

 あの混じりエルフっ子たちも隷属化したのだから、空腹で死ぬという最悪の事態は回避されるわけだし、気楽にいっても問題ないと思いたい。

 いや、子供だからこそ、空腹が我慢できないという事は、十分に考えられるのではないだろうか?

 そしてそれを許容できないシアが暴れる、という事も十二分に考えられる。

 つまりだ。大人組みはシアを除いた全員が空腹に喘いでもらい、子供に供給しなければならない。

 でなければ特別扱いされているノイリ達がはぶられかねないし、そんな事をされれば大人気なく人形化してしまうかもしれない。

 それは既に仲良くなってしまっているノイリが望まないだろう。

 もうこれはマゼンダに期待するしかない。うん、森の主たるマゼンダ様様な結果を期待する。

 アリサと話し合うことも踏まえれば、それもう大いに期待するしかない。

 本当に、切実に、食料関係で余裕を持ちたいものだ。


 ……さて、ここまで考えて前途多難すぎるのだけれど、これからシアファミリーの対応をしなくてはいけないのだ。

 シア達が歓迎会の準備はしているものの、敵対している相手を口説き落とすのは何かと骨が折れる。

 今回はシアがいるので多少楽できると思いたいが、ギルド職員自ら侵攻してきた理由を考えれば、説得意外にも厄介ごとが待っているのは目に見えている。

 やっぱりイベントというのは間をあけて行うべきなのだ。

 でないと俺が死んでしまいそうだ。


「ノリト兄さん、連れてきましたよ」


 明らかに疲弊しているシアの姉と思わしき人物と、捕まっているというのに明らかに元気すぎる両親達を見て、何故か気分が重くなる。

 もしかしなくても面倒くさそうな人達だ。


「シアを呼んで来るからちょっと待ってて」


 これはもう、許容量をオーバーしたと言っても許されるレベルだと思う。

 だから俺はシアなら説得できると全てなすりつけ、もとい、気を利かせて始めは家族だけで話し合うよう取り計らった後、早々とその場を後にした。

 そもそも俺は考えることは多すぎる、そろそろ少しは報われてもいいんじゃないかと思う。

 だからせめて少し休みたい。

 いやもう勝手に休んでやる。

 シアファミリーの到着で騒がしいうちに、早々と精霊大樹に登り、見えない位置を探り当ててすぐさま目蓋を閉じる。

 決して現実逃避ではないと律儀に心の中で明言し、俺は邪魔されないうちに眠りについた。




◇◇◇◇




 おかしい。

 おかしすぎる。

 休む為に眠ったはずなのに、夢の中でも面倒くさいことになるとは、コレいかに。


「マスターマスター、私思うんですけど、マスターの世界の服ってこう、エロいものが多くありませんか?

 このメイド服も胸が異様に強調されてる気がしますしって、これもしかしてマスターの趣味だ立ったり?

 ッハ!? 私としたことがそういった事を口に出してしまうなんて、気遣いを怠るなど何たる不覚か!」


 眠りに入ったはずなのにさっきからサラが煩くてかなわない。

 誰だよこんな何キャラかわからんような、変なサキュバスに進化させたの。

 俺だよ馬鹿やろう。


「でもそうすると私がマスターの性の対象という事に、そりゃ嫌じゃありませんけど、私達もプライドというものがありますから、隣の若奥様ぐらいの役で勘弁して欲しいといいますか、その……」


 勝手に喋り続けて勝手に思い込んで、さらには勝手に気まずくなって、さらには何気に罵倒してくるこやつをどうすればいいのか。

 しかし、声音は好感度MAXで嫌じゃないけど、でも心の準備が出来てない。そんな二次元乙女のようだというのに、目の前に居るサラはいたって真顔である。確実にこちらを馬鹿にしている。

 演技がどうたらとか言っていた覚えがあるので、声音だけ演技しているのだろうが、とてつもなくエゲツナイ輩である。


「いえ、私頑張らないとダメですよね。

 マスターの為に覚悟決めました!

 三軒隣の不倫相手の田中さんの役ぐらいはやってあげましょう」


 もうサラの脳内で、俺がどういう立ち位置にいるのか良く分からない。

 俺が不倫したりする性格だとでも思っているのだろうか? そもそも家族は大切にしているが、恋愛とか、そういった類の話にはとんと縁のない俺である。

 第一に、恋というものがよくわからん。些細なことで重い軽いといった、現代の恋愛感など特に良くわからない。

 結婚するということは家族になるという事だ。家族が些細なことを気にするというのは然程可笑しいことではない。

 娘が夜遅くに帰ってくるのが心配だとか、どこもそんな事あるのではないだろうか? だというのに、現代では重いとか軽いとか言ったりするのだから、本当に良くわからない世の中である。

 存外俺の彼女って重いとかいってるのは、ある種のノロケ、なのかもしれないし、気にするだけ無駄なのだとは思う。

 恋愛って理屈じゃないのよね。なんて言葉もあるし、考えること事態が間違いなのかもしれない。

 何れにせよ、これが現代の風潮だというのだから、俺の方がおかしいのかもしれない。


 つまりだ。結局俺はやっぱり良くわからないのだ。

 故に不倫はしない!


「はぁ、マスター考えすぎだから何も考えないように馬鹿してるんですよ? なのに真面目に考えちゃって、馬鹿じゃないんですか?

 あれ? 馬鹿になってるから成功なんでしょうか?

 まあ、本当はどうでもいいんですけどね。

 ええ、マスターに気遣いなんて不要です。

 マスターで遊ぶのが生甲斐です。

 そしてマスターのハーレムを作るのが夢です」


 こちらを思ってくれてるのか、思っていないのか良くわからない言葉だな、と一瞬思ったけれど、確実に思っていない事は確かだろう。

 とはいえ、確かにあのまま眠っても夢の中でも考え続けていそうな俺だ。こうして馬鹿やってる方が気分転換になるかもしれない。

 だがしかし、俺で遊ぶのは許さない。


「ぶらあああああああああああ」

「きゃあああああ、変態で痴漢も奴隷も大好きなマスターが怒った! 触った! 触診した!」


 少し馬鹿に付き合ってあげようと思ったのだが、マスターに対してこの仕打ちである。

 まるで俺が何かしでかしているような声は上げないで貰いたい、夢の中だからいいものの、現実だったら冷たい視線を浴びてしまう事間違いなしだ。

 ん、変なやり取りをしたらなんだか急に視界がぼやけてきた気がする。

 全く休んだ気がしないのだけれど、まさか目が覚めてしまうんだろうか?

 気分転換にはなったけれど、休んだ気がしないので複雑である。

 どんどん気分が遠のいていくのを感じつつ、これに抗うのも何だか嫌なので、そのまま身をゆだねることにする。


「ふふ。おやすみなさい、マスター」


 微かな意識の中で優しい声音が聞こえた気がした。

 これ書き始めてもう1年も経つんですねぇ……。

 はやっ!

 って思ったのは私だけじゃないはず。

 1年で25万文字とか、一体いつ完結するのやら。

 完結は遠いですが、これからものんびり出来る範囲で頑張ります。

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