Restroom 先生と生徒と。
この場所に来てからというもの、子供達にずっと勉強を教えている気がします。実際子供に物を教えることは楽しいし、パパさんやアリサさんから知識を学ぶのも楽しい。
けれど地上に残したままの母だけが気になってしまう。パパさんに許可を貰って精霊大樹の広場の隅に陣を描いたけれど、やはり結界に阻まれているせいか転移することは出来ない。
結局今出来ることをやるしかないという事なのだろうとは思う、けれど気になるものは気になるのだ。
離れてしまったからこそ殊更強く感じる家族の絆の大切さが、私の心をかき乱していく。
この迷宮に来てからというもの、アリサさんという友達も出来たし、教え子も出来たし、何より少し良いかもしれない、なんて思える人も出来た。
姉以外に好きな人など皆無だった昔の自分と比べれば雲泥の差だ。だけど、だからこそ私は強く求めてしまう。
本物の家族という特別な関係を。
ノリトさんの事をパパさんと呼べど、それは如何な理由があろうとも、所詮は私の穴を埋める為に導き出された代償行為でしかなく、結局の所大した意味は無いのかもしれない。
この迷宮の大黒柱、故にパパさん。とはいえパパさんは私よりも年上ではあるが、どうしようもなく若い。父のような懐の広さのようなものはあまり感じられないし、優しいのか優しくないのか良く分からない。
アリサさんからノイリ嬢を救ったのがパパさんだと聞いた時は、現に自分も救って貰ったというのに、一緒に過ごせば過ごす程信じられない気がするから不思議なものだと思う。何せこの迷宮に入ってきているのは大人ばかりではなく、お金に困った子供も含まれているのだ。それらを特に気にもせず殺す命令を出している。
とはいえ大人の死体みたいに解剖したりはしないが、それでもノイリ嬢を助けたというのならもう少し躊躇しても可笑しくないと思う。
アリサさんが言うにはパパさんは身内にしか甘くないという、でもノイリ嬢を助けたのは仲間にするつもりだったからと言われても、少し信憑性にかけてしまう。何せ私は利用するつもりでいたからこそ生かされていたのだ。でなければ他の者達と同じように殺されている。
アリサさんもそこら辺は疑問に感じてもおかしくない筈なのだけれど、勘がいいからという理由で考えないようにしているらしい。
要するに考えるだけ無駄という事らしい。
そんな不可思議で、知識も豊富で、語るにはこれ以上ないぐらい興味をそそられる相手が側にいると言うに、やっぱり私は母の事を考えてしまう。
「センセー」
「なんですかノイリ嬢?」
「子ブリンが眠ってるよー?」
考えてしまって、ついつい子ブリンから目を離してしまう。本当ならこういう事が起こらないように監視してしかるべきだというのに、全く私は何をしているのか。
《教鞭》を使って数字を子ブリンの頭へと直接打ち込み、脳を揺さぶり起こす。手荒い起こし方ではあるけれど、子ブリンはこうでもしないと眠り続けるのだから仕方がない。
最初は叩いても起きたのだけれど、所詮は女の力、すぐに慣れてしまったのか起きなくなってしまったのだから、こうなってしまったのも自業自得と言えよう。
それにしてもインプもノイリ嬢もマゼンダ嬢も頭が良い、エルフの里の子は血の問題が出ていた者もいたので、比較対処にはならないかもしれないけれど、それでも頭が良いと思える。
特にインプとマゼンダは凄まじいものがある。会話を聞いただけで言語を把握したインプは、魔族の滅びの歴史に興味があるらしく。恐ろしい勢いで暗記している。
マゼンダ嬢はパパさんにノイリ嬢を助けてもらった恩義を感じているせいか、迷宮の運営に役立ちそうなことは何でも吸収し、自分の中で考えわからないことはその都度質問してくる。
ノイリ嬢は頭が良いとは言えないが、持ち前の明るさを発揮して授業を助けてくれる。時折難しいはずの授業を遊びにしてしまう才能には驚きを禁じえない。やはり子供は可愛くて偉大という事のなのだと思う。
そんな中でも一番嬉しいことと言えば、やはり子ブリンが成長している事だろう。
戦闘に向かうローテーションの仕組みを理解したのもそうだが、最近物分りが良くなってきている。授業中に寝てしまうのも相変わらずと言えるけれど、それでも算数の掛け算は全て覚えたし、幾人かはパパさんの持っている時計に、多大な興味を示しているのは良い傾向だと思う。
馬鹿なほど可愛いとはよく言ったもので、見た目は醜悪だけれど、私にとっては既に可愛い生徒になっている。
そのうちパパさんの持っているものを借りられないか交渉してみようと思う。もしくは持っているものの仕組みに関して教えてもらい、教科書にしてしまうのもいいかもしれない。
母さんにもこの子達を紹介したい。容姿は関係ないと、この子達を見て学んで欲しいと思う。
けれど、そんな淡い夢も母がこの場にいなくては、実現することなど出来るはずもない。本当は無理難題を吹っかけるから、敵に要求する物をまとめたメモに書いてもいいとパパさんに提案されていた。けれど私はその提案を自ら蹴った。
何故かと問われれば、人質を取っているのに、こちらが母の心配をするなんて許されないことのようにも思われたし、何より私の弱みを見せて何かあったら大変だと思ったのだ。
パパさんは何故か色々と曝け出してもいいといっていたけれど……、一体どんな根拠があってそうしているのか私にはわからない。
やっぱりアリサさんの言うとおり《直感》が働いているのかもしれないけれど、私にはそれを確かめる術もないのだから、無闇に無理難題を書く事は出来なかった。
でもこうして思い返して思い悩むぐらいだったら、いっそ駄目もとでやればスッキリしたのかもと思ってしまう。
「先生、今日は何をするんですか?」
「え、あ、そうですね。今日は歴史のおさらいでもしましょうか」
優等生たるインプの質問のお陰で、思考の海から脱する。何度駄目だと思っても、コレばっかりは感情に振り回されて上手くいかない。
だからといっていつまでもうじうじするわけには行かない。自分には大切な生徒達がいるのだ。授業だけはしっかりしなくてはいけない。
命も心も救われて、少しあこがれていた教職に就く事が出来た。これだけのものを手に入れているのだから、今は耐えて自分のやるべきことをやらなくてはいけない。
自分の心を叱咤して、歴史の教科書を開くよう皆に促す。
「人間の魔法使いである初代世界の主が誕生し、世界に新たな理が生まれてから数年、8つに分かれた子孫の勢力は、はじめ戦争をしながら次代の座を狙いました。その過程で7つの種族が交わりましたが、何故だかわかる人はいますか?」
最初に教えた歴史の内容だけれど、果たして覚えている子はいるだろうかと不安に思いながらも、持ち前の無表情さで顔には出さずに辺りを見回す。
マゼンダとインプの手が上がッたことで、ほっと胸をなでおろし、インプに回答してもらうようにする。
教職を始めてからというもの、子供に物事を教える難しさを思い知り、果たしてこの子達の役に立つかどうか、きちんと覚えてくれるかどうかという不安に常に苛まれている。それでもこうして子供が胸を張り、授業をきちんと聞いているという事を示してくれるだけで、私は教職をこれからも続けようと思える。
「8つの国はそれぞれ敵で、どの勢力も力が均衡していた為、それぞれが人間以外にも戦争に投入出来る力を欲し、7つの部族に呼びかけた結果、それぞれの種族が交わったからです」
「そうですね。その中で人間にとって代わった種族が5つ、魔族と霊族は残念ながら計画が露見し、破滅の道へと進むことになります」
霊族と魔族を取り込もうとした人間の派閥は、純粋に人間だけの力でやり遂げようとする勢力と、ほかを頼ってでも勝ちたい勢力があったけれど、生憎と人間派の方が勢力が大きく、しかも他の種族が人間の派閥をのっとったと耳にし、殊更警戒していた所に横やりを入れられ、魔族、霊族と共倒れになってしまった。
その後、霊族は離散して各地の墓場を徘徊する様になり、魔族は山に逃れて絶滅を免れたけれど、どちらも頂にいたはずの王を失ってしまった為か、種族全体でみるとかなり弱くなってしまった。
歴史で『進化』という特殊現象が散見されるようになったのも、恐らくこの頃からと思われる。面白いのは絶滅に瀕している種族ほど、進化する可能性が大きいという事。
現に虫族や地獣族、天獣族、人族、妖精族、森族、竜族は絶滅に瀕していない為か、進化するのが極稀だ。これは世界のパワーバランスを整える為に神が調整している。もしくは生への本能が強いほど進化できる。などと言われているが本当の所はわかっていない。
「それから数年、各勢力の内情は落ち着きましたが、戦争する余裕はなかったといいます。何故かわかる人はいますか?」
この問いにいつも通り子ブリンを除いた3名が手を上げる。それを見て、先程はインプに答えてもらったからと、ノイリに答えてもらう。
「えっと、ノイリ達が出てきたから!」
正確に把握は出来ていないけれど、十分といえる。
「そうですね。実際はここと同じような転生迷宮が出現し、全ての勢力がココに戦力を投入せざるを得なかった為、と言えます」
そう、始めは転生迷宮などなかったのだ。そもそも迷宮で何年もかけて得体の知れない条件をクリアし、世界の王になるより戦争で相手を潰した方が手っ取り早いと思われていた。
それで人族の迷宮独占が終わってしまったのだから愚かとしか思えないけれど、あの頃はまだ魔法で栄華を極めていた人間達の世代、甘ったるい環境で生きてきた世代なのだ。考えが甘くても仕方がないとも言える。
だからこそ奴隷身分まで落ち、王達が大陸の端へと落ち延びていた多種族を呼び戻し、正当な王族となるために陵辱されたのは、幾ら他種族が悪いと責めようとも自業自得といえよう。
だからといって自分達は兵力を温存し、一族を陵辱し、辱めたと言って転生迷宮の攻略を他種族にまかせっきりなのはどうかと思うけれど、魔法のない人間なんて身体能力が一番低い、最弱の種族なのだからこれも仕方ないのかもしれない。
「人族以外の種族が転生迷宮の攻略に向かったわけですが、攻略は簡単ではありませんでした。何故だかわかりますか?」
今度はマゼンダに答えさせることにして、地面を注視する。
『迷宮の仕組みがわからなかったからです』
「その通り、初代世界の主はまだ若かったそうです。だから皆簡単だと思って手をつけていませんでした。実際初代世界の主だけならば攻略は簡単だったのかもしれませんが、現実はそうではありません。マゼンダ嬢、これもわかりますか?」
『異世界の人が側にいたからです』
「そうです。本当に側に実在していたかどうかは定かではありませんが、今までの常識をひっくり返したかのような仕掛け、そして転生迷宮の奥深くに居た異世界の少女がその説を濃厚にしています」
パパさんとの情報交換して出来た推測では、側に居た異世界人の大切な人が少女だったのではないか。という事になっている。とはいえ今の時代の仕組みが前の時代から続いているものだと断定も出来ない。
何せ世界の主は何人も出ているのだ。その誰かが仕組みを変えたとしても不思議ではない。
「それから幾度も世界の主が生まれましたが、その人達が他の王族のように帰ってくることはありません。それが何故だかわかりますか?」
誰の手も上がらない。ここはまだ教えていない範囲なので上げられない、といったほうが正しいかもしれない。とはいえ予習しているとも限らないで一応は質問しておくことにしている。
「王族が迷宮を攻略された場合、迷宮に潜っていた王族は地上に戻ります。でも世界の主となった場合、世界を維持管理する為に戻ってこれないといわれています」
世界の主が新しくなった時、光の柱が空に上る事がある。アレは力を行使している為といわれているが、世界が変革した場合元々がどうだったか気づける者が極端に少ない為、実際に何が変わっているかなどは記録された書物を見ない限りわからない。
なので実際どうなっているかというのは、国の情報が集まる王族、もしくはギルドの偉い者にしかわからない。とはいえ迷宮運営を続けているのだから、恐らく何かが変わっているのだろうと推測できる。
どの道王族ではない庶民にとって迷宮は、攻略してお金を貰うための手段でしかないのだから、この世界に生きる大多数にとってはどうでもいい事なのかもしれない。
「世界の大まかな歴史は今日でおしまいです。後は各種族の現在と、算数や市場の仕組みなどについて教えます。それでは今日はコレまでとします」
『「「おつかれさまでしたー」」』
それぞれ思い思いに散っていく生徒を見送りながら、最近パパさんが話してくれた呪いについて思い返す。
曰く、呪いは一つではなく複数存在し、呪われている者達には自覚出来ないのではないか。
曰く、世界の主を目指すわりに、国と国との抗争がなさ過ぎる。
曰く、外の世界への興味が薄すぎる。
私がわかる範囲で世界の現状を教えた際に指摘された点だけれど、確かに言われてみればそうかもしれないと思う。転生迷宮の対処に追われ、戦争はなくなったとされているけれど、現状転生迷宮は然程脅威とは思われていない。否、それどころかただのかませ犬程度の存在で、賞金さえ出しておけば冒険者が攻略してくれる。
ここ数年は手強い連中ばかりが転生迷宮の主になって入るが、その前は初心者でさえ攻略できることが多々あった。
故に戦争できる余裕があったと言えば確かにその通りなのだ。
人族に限って言えばいつでも戦争が出来ると言っても過言ではない。
戦争しない理由を考えればいくつか思い浮かぶけれど、やはり世界の主になれるというメリットを考えればしない手はない。だからパパさんの懸念は尤もだと言えるけれど、答えが出るのはずっと先になるだろう。なら今は考えない方がいいし、考えるだけ無駄だ。
今私が考えるべきは次の授業と子ブリンの個別の勉強内容。少しずつ成長してきている子供たちのためにも頑張らなくてはいけない。
次は『童話:空飛ぶメイドと地を這う王様』の読み聞かせをして、パパさんの国であったという読書感想を発表してもらおう。
子ブリン達にはパパさんから興味を持ちそうな題材を提供して貰えば……いやでも、パパさんも考える事が多いだろうし、最近ホルン以外の捕虜を二人との交渉も忙しいのではないだろうか。
じゃあアリサさんに聞こうかなと思うのだけれど、アリサさんは美しいふるまい方とか、礼儀作法とか、そちらの方面ばかりの知識が多いから、今はまだ教えを乞う場面でもない。
やっぱりパパさんに聞いた方が、でも忙しいだろうし……。
「ノリトお兄ちゃんだ!」
「ノイリにマゼンダ。今日は凄いものを作ってきたぞ、頭蓋骨を割って作ったおままごとの道具だ! 使い方はだな……」
「おおー、すごいすごーい!」
忙しいだろうし……。
「やっぱり女の子はおままごとで遊びたいよな。本当なら犬さんが来るまで待とうと思ったけど、いつになるかわからないからな……」
「ノリトお兄ちゃんも一緒にあそぼ!」
「別に構わないぞ、ただアリサの真似して人は刺すなよ? そういうのはアリサだけで十分だからな」
「わかった! それでどうすればいいの?」
「まずはだな、お母さん役と、お父さん役と……」
「……パパさん、何してるんですか?」
忙しいから質問はもうちょっと落ち着いてからにしようと思ってたのに、本当に何をしているんだか。ノイリとマゼンダが可愛くて仕方ないのはわかるけれど、敵の死骸を弄って遊び道具にするのはどうなのだろう。パパさんがアリサに言っている人道とやらには反さないのだろうか? そもそも最近パパさんはこの殺伐とした日常に慣れ過ぎていないだろうか。人間として最低限の生活を目指しているとアリサさんから聞いたけれど、あれは嘘だったのではないかと疑ってしまう。
「お、シアも一緒にやるか? 俺は三軒隣の太郎さんの役だからシアはノイリとマゼンダの子供だな」
「ちょっと待ってください。ままごととは夫婦の真似ごとなど伝え聞いたことがあります。どうして私がママ役ではなく子供役なのでしょうか、第一パパさんがパパさんでないなどと、それいうのは少しおかしいと思います」
母さんの事とか、世界の事とか、転生迷宮の事とか、子供たちの事とか、色々考えるべきことは多いけれど、人間だれしも目の前の事をまず解決しなくてはいけない。だから私は断固としてこの戦いに勝利することを心に誓った。
「いや、あのな、ノイリ達が主役の方がな……」
「主役、ままごとにおいての主役とは子供のはずです。夫婦とは子供を中心としているのが理想なのですから、子供であるべきなのです。だから両親役は必然的に私とパパさんという事になり、ここに何ら反論の余地はないわけですが、まだ何かあるんですか?」
少し自分らしからぬ熱さを前面に押し出してしまったけれど、この勝負勝たなくてはいけないのだから仕方がない。
「え、ああ、うん……まあいいか」
パパさんが少し後ずさったのが目に入り、少し冷静さを取り戻す。
全く私は何をやっているのだか、家族がらみの話題になると過剰反応してしまうのも、そのうち治ってほしい。
「ノイリ子供? ノリトお兄ちゃんがパパで、シアお姉ちゃんがママ?」
「マゼンダ嬢もノイリ嬢と同じ子供役なので、いっぱいワガママ言ってくださいね。私の理想の母とはわがままを笑いながら受け止めますから、父と共に」
あんな母であったからこそ、私は優しい母でありたいと思う。いつかそんな母に成れたらと思う。
「仕方ない。ノイリの願いなら何でも聞いてやるぞ」
「やったー! パパ結婚してー!」
成り行きを見守ろうとしたらいきなり家庭が崩壊してしまうとは、ままごとは本当に難しい。こういった子供に対応する時親はどうするのだろうと首をかしげてしまう。
姉が確かパパのお嫁さんになると口に出していた時期があったけれど、あの時父は笑顔で受け流していただけだから、あまり参考にはならない。どんな答えが正解なのか。
「私を倒してからにして貰おうか!」
私が悩んでいる間にいつのまにかアリサさんまで来てしまった。これはもうどうしようもないと諦めを覚える。
いつものメンバーが集まってしまえば、全てが混沌とするのがお約束だというパパさんの言葉を、私も理解しつつあるのは果たしていいことなのだろうか。
どちらにせよ、私たちは悩んでも笑ってもこの形になるのだろう。なら、今はこの形を楽しもうと思う事にしよう。
「何でアリサがいきなり出てくるんだよ。お前は俺を刺すから駄目だ」
「ノリト兄さん、私は隣の家の不倫相手である花子さんを演じるので、後で……」
「だからそれは駄目だと」
「ノリトお兄ちゃん! マゼンダも結婚してほしいって!」
「パパさん、全てを受け止めるのがパパの度量というものですよ」
「お前ら、少し落ち着け。ちょ、待て、押すな、刺すな! いやほんと俺仲間がほしいわ、男手がほしい!」
「ファー」
「お前も男だけどさ!」
みんなで笑いながら初のおままごとは騒がしく進んでいく。
夫婦水入らずの中に浮気相手が乱入して来たり。
新しい子供がファーしか喋れなかったり。
隣に越してきたインプが魔法使いだったりと、アリサさんから聞いたままごとでも、外の世界で聞いたままごとでもない、全く新しいままごとだったけれど、私は今が幸せだと感じる。
アラームが鳴ってままごとが終わりを告げ、戦闘に向かった子ブリンを除いた私と子供たちは眠りに入る。
悩むことも必要だけれど、今はこの幸せな気持ちに浸って眠る事を許してほしい。
起きたらまた頑張るから。
母さん、おやすみなさい。
アリサ「ノイリちゃん、ノリト兄さんが浮気したら刺さないと駄目」
ノイリ「浮気?」
アリサ「えっとね、浮気っていうのは心に決めた女の人以外と……」
ノリト「やめんか!」
◇真・あとがき◇
お待たせしてしまって大変申し訳ないです。無事更新できました。
ちなみにこの話同様、これからもハーレム要素が徐々に出てきます。
急激に落ちていく恋ってのも嫌いじゃありませんが、まだまだ続く予定ですし、気長にいきたいなと思っておりますので、そこらへんはご了承お願いします。