Restroom 光が差して闇が深まる。
今日も今日とて受付で明るく笑顔を浮かべ、私は冒険者を死地へと招く。元々ギルドにはその面があるとはいえ意識したことはあまりなかった。けれどこの国に来てからというもの、その事をよくよく思い知らされる。。
ダンジョンを攻略してもらいながら妹を探させる為に、冒険者達へダンジョンの攻略や知識を説明したりと工夫を凝らしてみても、この場所に帰ってこられるのは本当に僅かで……。
でもそれだけでは進歩がない上に救いがなさすぎるから、先輩達に聞いたりして今まで転生迷宮がどの様に攻略されてきたのか学び、実際どの方法で攻略できるのかを考えるようになればなるほど、今の状況に絶望しそうになってしまう。
転生迷宮はあまりにも王の卵が管理するようなダンジョンとは違いすぎる。まず第一にダンジョンを運営している人が殺されに表へ出てきたりする。それは子供だったり老人だったりと様々だけれど、これは現状を理解していないからこその行動だろうと思うのだけれど、正直良く分からない奇行をやったりするのが特徴だったりする。
第二に、全く表に出てこない者達の強さや、ダンジョンの運営の仕方がバラバラすぎる。ギルドに残された絵と、要点のみを書き記した文章を読んでもわかるが、王の卵達が運営するような似たり寄ったりな迷宮ではなく、それぞれの個性がにじみ出ている。攻略するのにも一から対策を考えないといけないのは転生迷宮ぐらいだろう。
その分他の迷宮よりも報酬は高いから挑戦者も後を絶たない、それもわからなくはない。転生迷宮にいる者たちは雑魚が大半だし、運がよければ魂の抜けきった様な、希望が何もないといった輩を殺して高い報酬を得られるのだから。でも今回のように死ぬ気で抵抗してくるもたちは一筋縄ではいかない、王の卵達の迷宮でLvを上げ、迷宮にいる王族付の敵を倒し、装備を奪って売り、己の装備を充実させれば普通に勝てる相手だ。
もちろん転生迷宮であっても最低限他の迷宮同様、召喚された者か、もしくはダンジョンマスターが目撃される。
でもこの転生迷宮には何もいない、罠だけがあるだけでフロア数も少ないのに誰もいない。しかも挑んでいった冒険者達の死体すらない、綺麗で不気味な迷宮。
とはいえこれまでにも何も出てこない罠だけのダンジョンなど、コレまでにもいくつか存在したという資料はある。けれど、どのダンジョンもどういうわけか、動作しない罠が複数仕掛けられていた。だからこそ、そういうダンジョンこそ簡単に攻略できた。
だというのに、敵どころか今まで挑んでいった者達の死体さえ消えてしまう迷宮で、妹を探すなんてそれこそ絶望的ではないだろうか。正直な所、何で私の妹が入る迷宮がこの迷宮なんだと嘆かずにいられない。
王の卵が運営する迷宮は例年通りに攻略が進んでいるというのに、一つの罠を攻略した所で、また新たな罠が出てくる。今は扉を開くと爆発するフロアの前で足踏みしている状態だ。つまりはたった2つのフロアしか攻略できていない。
とはいっても、この難関を突破すれば、フロア数の少ないこのダンジョンにおいて、ダンジョンマスターがすぐそこにいるのではないかという期待感がある、その期待感が否が応にも冒険者達を駆り立てる。
おかげで報酬の吊り上げ目的で、迷宮の捜索が中断されることがないのは有難いのだけれど、今日もまたどうすることも出来ないまま日々を過ごすのかと思うと、どうしてもやるせなくなってしまう。
最近では激務をこなしているはずなのに、時折ぼーっとしてしまう。理由は冒険者達への罪悪感からか、それとも妹を見つけられない自分の無力さゆえかはわからない。
せめて進歩があればと、日々の給金から情報料を渡して求める情報もたいした物は無い。何せ転生迷宮から僅かに帰還した者達に話が大抵決まっていて、巨大な化物に捕まっていただとか、死んでいるのを見たが生憎死体は回収できなかったとか、そんなガセとも分からぬ情報を手振り身振りで説明され続けるばかり。
そんな情報を時折信じてしまいそうになる自分に嫌気がさして、でも何処かでやっぱり本当じゃないかと絶望しそうなのが悔しくてたまらない。
こんな希望の無さそうな毎日も、父が職場でうまくやっているという話だけで乗り越えられてしまうのは、我ながらあきれてしまう。けれどそれも果たして何時まで続くか、この荒くれ者の多い国で、穏やかな父が何処まで立ち回れるかわからない。
早く妹を見つけて帰りたい、そして母を取戻し、説教してから父と共に故郷に帰りたい。
焦ったら駄目だというのは理解しているけれど、掲示板に何年も張り出されているらしい捜索願のように、いつかは絶望に飲み込まれて、全てを諦めてしまうかもしれないと思うと、焦られずに入られなくなってしまう。
死んでてもいいから骨だけは持って帰ってきて欲しいと、悲観的な願いが、既に私の中で少なからず生まれてしまっているのだ。もう誰でもいいから早く私の元に情報を持ってきて欲しい。
少しずつ削れて行く心が限界を迎える前に希望が欲しい、何か確証の持てる希望が欲しいと思うのは傲慢なのだろうか。
そんなささやかな望みさえも叶わないなんて考えたくは無い。
「ようこそギルドへ、ご用件は何でしょうか?」
なんて暗いことを考えつつも決して顔には出さないのは、私がギルドの受付嬢であることを誇りに思っていた妹へのせめてもの気持ち。きっと戻って来てくれると信じているからこそ、私は妹の誇りであり続ける。
「転生迷宮攻略のついでにエルフ捜索を請け負いたい、許可を出してくれ」
受付にやってきたのは天獣族をリーダーとしたPT、装備も充実しているのをみるとそれなりの実力者なのだろう、もしかしたらという希望が生まれるが、決して顔には出してはいけない。
「冒険者カードの掲示をお願いします。チームで参加する場合は順番待ちになっているので今しばらくお待ちください」
掲示された冒険者カードにはA~Eランクの丁度真ん中であるCランクの記載、チーム名は『天の落とし子』、こんな初期の迷宮に来る者たちではないはずだけれど、お金でもすったのだろうか?
実力的に言えば中級者、普通に考えればCランクの冒険者は王の卵たちの迷宮で、騎士を狩っていたほうが稼げると思う。死に戻り出来る王達は頑張ってはいるけれど、死に戻り出来ると理解しているせいか、世界の主になりたいけどそこまで必死と言うわけでも無いし、殺して装備を奪った所で、民の税をつぎ込まれた装備なので然程恨まれることも無い。
もしかしたら私の報酬目当てかもしれないけど、普通の冒険者なら死んでいるかもしれない者をわざわざ探す必要も感じないだろう。
だからついでだと言われれば納得してしまいそうではあるが、では何故こんな場所に来たのか? という疑問が生まれる。
ここに来ることへの旨みを考えて、最近噂されている話を思い出した。
それは誰が言ったのか分からない御伽噺のような話。目に見えぬ精霊達、その精霊が好む木の実がなる樹、そして精霊の秘密。要は苦労せず力を手に入れられるという夢のような話が今冒険者の間で囁かれている。
とはいえ力を簡単に得られるという話が出回ることは珍しい話でもない。そこら辺のゴロツキが奴隷を増やす為、己の収入の為に罠にはめるべく流す話だ。
でも今回に限って言えばそれも無い。本来奴隷目的で流れる噂は場所が迷宮の外というのが第一条件だし、あからさまに喧伝して回る馬鹿が目立つ。初心者がそれに釣られ、帰ってこない光景が見られるというのに今回はそれがない。
迷宮の中にあると思われる樹、そこへ集う見えない精霊、それを利用して強くなるなんてなんて嘘っぽいんだろうと思う。でも嘘にしては話が具体的過ぎる、それに王に仕えるランクAの者達の中の大半が精霊憑きだというのは有名な話だ。
誰もが欲しがるその力を欲するのは当然だとしても、やはり簡単に食いつくのは初心者達で、噂以外これといって情報が無いものに、Cランクの輩がほいほい行くとは思えないのだけれど。
「あんただろ? エルフ探してくれって依頼してるの」
「そうですが何か?」
後ろに控えていた女の人が話しかけてきたと思ったら、ついでに頼まれた私の依頼の話……、もしかしたら脅しだろうか? 生憎とギルドにもAクラスの冒険者がついているので、脅しをしたところで潰されるのは分かってるだろうけど、一体何なんだろうか?
「私らね、あんたの依頼に興味があるんだ。エルフを探すなんてどんな物好きかと思ってね」
確かにエルフをわざわざ探し出そうなんてのは物好き、もしくは容姿目当ての者だけだろう。とてもではないがギルドの受付嬢を勤めている者が出すような依頼ではない。とはいえその理由を簡単に話してあげる義理も無い。
「詮索は許されていないはずですが?」
「いやね、アンタが悲しい顔しながら依頼書をじーっとみてるからさ」
そんな、私はちゃんと毅然としていたはずだ。でももしボーっとしている時に依頼書を見ていたのだとしたら? 受付に立っている時にそんなことしていたら目も当てられない、受付嬢として駄目すぎる。妹の誇りとしては落第点だ……。
「なんてね、でもその反応見るとやっぱり訳ありなんだね」
これは釣られたという事だろうか、思わず怒鳴りそうになってしまった。受付嬢たる者動じるべきではなかったのに、怒りを抑える為に顔が強張っているのが分かる、コレは流石に言い逃れ出来ない。
「はぁ……、もういいです。後で落ち合いましょう、その時にお話します」
転生迷宮へ入れるのはもっと後になるだろうから話す時間もある。先輩に噂を聞いて、ブラックリストを確認したがそれほど悪い相手でも無い、Bランクの警備の人に同行してもらえばいいと考え、後で落ち合うことにした。
◇◇◇◇
「眠いから帰りたい」
「ホルンいい加減にしな、こっちから頼んだんだからこっちが合わせるのが筋ってもんだろ」
どうやら姉妹らしい2人が口論している。それを男2人はいつものことだからというように全く興味を持っていないかのように見える。何せ地獣族と天獣族のハーフだと思われるリーダーは爪をいじっているし、カエルにいたっては鞭にヤスリをかけている。
冒険者って何でこうも、ランクが高くなるほど個性的になっていくのだろうと、時折不思議に思ってしまう。
「っお、どうやら来たようだ」
「ちょいとミゲロ! あんた鞭弄るんじゃないよ、相手が気分害したらどうするんだい」
「コレはミィの魂なんだケロ、おばさんにはわからんだろうケロな」
「あんたふざけんじゃないよ! ジゼが必要だっていうからおいてるけどね。本当なら殺してやるところだよ!」
「おばさんは短気でいけないケロ。ジゼの恋人名乗るならもっとゆとりがあった方がいいケロ?」
「……zzZZ」
目に見える位置まで来たのにこの寸劇は何時になったら終わるのだろうか、出来るなら早く話を済ませて家にご飯を作りに生きたのだけれど。
「アクネラ、いう事はもっともだが熱くなりすぎだ。ホルン、お前は寝るんじゃねえ。ミゲロはどうでもいいから道具片付けろ」
リーダーが爪を切り終わらないと終了しなかったのかな、この寸劇。などと考えるとため息がつきたくなった。どうしてこんな連中がCランクなんだろう。いや、Aランクはもっと可笑しな連中だというのは有名だけど……。
「それじゃあアンタの事情話してもらっていいかい?」
元々諦めていたことではあるし、そろそろ何処かで吐露しないと私が駄目になるのは感じていた。だから私は抵抗することもなく、依頼を出すに至った経緯を、出来るだけ感動する様に、泣ける様に、同情してくれるように、美化して話した。
「ほお、アクネラの言ったとおり結構訳有りだったな」
とはいえ私の演技も然程心に響いた様子は無く、聞く体勢は静かだったけれど聞き終わればまた仲間内で喋り始めた。
「だから言ったじゃない。私もホルンと離れていた時はあんな感じだったからすぐわかるわ」
「俺は気づかなかったが」
「それはアンタが鈍感なだけでしょ」
この2人は夫婦みたいな会話をするんだなと、珍しげに見ていると妹らしき子がまた居眠りを始めるのが目に入った。
お姉さんの方は結構しっかりしているようだが、どうにもこの子は怠けることが好きなようだ。こんな子がチームにいて大丈夫なのだろうかと不安にもなるけれど、他人の事情に口を挟んでもいい事なんて無い。というのは受付嬢であるなら時間と共に学ぶことでもある。
この人達はどうやら珍しい、それも本当に珍しい物好きな冒険者らしく、感動したわけでは無いけれど、私の話を聞いて共感を覚え、こちらの事情に首を突っ込む気満々なようだ。
もちろん精霊の噂の真偽だとか、ほとんど攻略の進んでいない迷宮にも少なからず興味があるのだろう。とはいえ人の事情に首を突っ込むのはやはりどうなのだろうと思ってしまう。
私としては助かるから別にそれでいいとしても、この人達では失敗してしまいそうな気もする、ここまでお人好しで良く生きていられるものだと関心していたら、何故か寒気がした。
寒気がした原因は特に喋ることのなかったカエルの視線のせいだろう、舐める様な、それでいて見定めるように冷たい視線が私を射抜いている。恐らくこのチームが今まで生きてこれたのはこのカエルの尽力が大きいのだろう。
とはいえ舐めるような視線が混じっているという事は、見せしめとして行われる行為は単純な拷問ではなく、カエルが個人的に楽しみながら処分するのだろう。それぐらいは長く受付嬢をやっていれば容易に見抜ける。
いや、受付嬢ではなくとも、仲間であるはずの女性陣から冷たい視線を浴びているという事と、持っている道具の数々を見れば見抜けることかもしれない。
なにはともあれ中々にバランスの取れたチームだ。Cランクだというのであれば、Dランクの連中に話を持ちかければメンバーも増えて、ある程度有利に攻略を進められるだろう。
こちらに何か危害を加えてくる場合も想定していたけれど、お人よしであれば構わない、とことん利用すればいい。
たとえ最低なことをしているとしても、私は妹に帰ってきて欲しい、帰って来てくれるのなら最低なことにだって手を染めよう。
本当はここまで執着することもない……なんてたまに考えちゃったりもするけど、やっぱり妹はこの世にひとりしかいないのだから、この胸にあいた穴を埋めてくれるのは妹しかいないのだから、執着して当たり前なのだと私は思う。
「まあいい、アンタの話は理解した。ついでだが敵に会ったら聞き出してやる」
「……ありがとうございます」
「別にいいんだよ、私も覚えがあるからね」
本当に人のよさそうな笑みを浮かべながら、ホルンと呼ばれた少女へと視線を向ける姿を見て、胸がチクリと痛む。けれど私はあえてその痛みを無視した。
こんな痛み、妹を失った日を思えばどうって事無い。そう自分に言い聞かせ、このお人好し達が無事に帰って来てくれるように願いながら、私は彼らと臨時募集のメンバーを見送った。
◇◇◇◇
字が書けるまでに成長する者が少ないこの世の中で、Cランクにまで上り詰めれば、最低限の読み書きが出来るようにならねばならない。
何故ならそういった条件の依頼が含まれるようになるからというのが、理由の一つにあげられる。Cランクになればある程度実力を認められたことになるのだから、ある程度重要な依頼も任される様になる。その中に読み書きを必須条件とするものが当然の様に出てくるのだ。
後は字を使った情報交換の重要性をCランクで学ぶというものが、ダンジョン攻略組みにおいて最も重要といえるかもしれない。Cランクになるまで、数多の有象無象とダンジョン攻略の為に絵やジェスチャーを使う不便さ、そういったものを経験を通して、Cランクの者達は経済的に余裕が出来た段階で、ダンジョン攻略の為に自ずと読み書きを学び始める。
まぁ、普通ならその前のランクで気づきそうな物だが、ランクの低いうちは生きるのに必死でそこまで気が回らない。気が回ったとしても資金不足でどの道字を学ぶことは出来なかったりする。
そういうわけで、だいぶ前に転生迷宮に入っていった彼らも、当然読み書きが出来たみたいなのだけれど。
『ダンジョンは深くて先が見えない上に罠だらけだ、だが逃げるエルフは確かに見た』
何だろうこの意味深な情報は。
帰ってきた直後に大きな音を立てて受付を叩いた時、警備兵が出張ってくるほどに憤っていた。そして何故か私を恐ろしい形相でにらみつけてきた。
別にこういった経験がないわけではない、けれど冒険者になった以上全てが自己責任だ。恨まれる筋合いは無いといいたい、でも何故か彼らの事が気になる。
特に気になるのは仲の良かった妹が死んだわりには、泣いていなかったという事だろうか。気が強いのは分かるがあれほど妹を愛していたのだ、泣かない方が可笑しい。
なら何故、彼らは怒るだけでないていなかったのか? 別に私の依頼のせいだと逆恨みしてもよさそうだが、彼らはまれに見るお人好しだ。そんな彼らが果たして逆恨みなどするだろうか? 確かに助けようと思わせるために話を盛りはしたけれど……。
それに帰り際に見ていた血で書かれたようなメモが気になる。必死すぎる表情で見つめていたその紙は、出回っている羊皮紙に比べて上等すぎた。
とてもではないが低レベルの迷宮から出土されるようなものではない。特に転生迷宮ではまずありえない。
恐らく彼らは何かを目の当たりにしたのだ。罠では無い何かに、ギルドという致命的な場所で、怒りの中に怯えを微かに見せてしまう程度には、何か得体の知れない物を見たのだと思う。
でもそれなら何故情報を公開しないのだろう。復讐を考えるのなら真っ先にダンジョンマスターを殺そうとするはずなのに、可笑しすぎる。
絶対に何かあるとしか思えない、次あった時に聞き出すとして何を報酬にすればいいだろうか? でもあの目を向けられている理由を理解しないことには、交渉すら出来なさそうだ。
でも何故私があんな目を向けられるんだろう? その答えが何処かに隠されているとしたら、やはり手渡されたこの紙だろうか?
それにしても深くて先が見えないなんて、曖昧な言葉をわざわざ使うのには理由があるんだろうか。まさか巨大なフロアが存在していて、そこに妹がいるんだろうか? そこで隷属化された妹でも見たのか? いやでも、それなら哀れみの視線は受けるとしてもあんな怒りをぶつけられるようなことは無いはずだ。
駄目だ、考えれば考えるほど深みにはまっていく。
何か底の無い闇のようなものを覗いている気さえしてくる。
やっと一歩進んだと思える情報を手に入れてたというのに、私は晴れぬ闇をも抱えてしまったようだ。
姉「お父さん、今日は大丈夫だった?」
父「いやぁ、心配性すぎるよ。今日も私はお客さんを見事に諌めて、ビールを奢って貰ったよ」
姉「嘘はいいから」
父「はは、手厳しいけど事実なんだよね、何でもエルフの里に出入りしてた商人らしくて、小さい頃から見てきたエルフが一人いなくなったらしくて、愚痴を聞いてやったらね」
姉「本当かな?」
父「本当だとも、母さんの情報も仕入れてきたんだから」
姉「じゃあ聞かせて」
父「もちろんだとも」