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Room022 進化条件の考察。

◇1/21 ステータス編集。

 あの訳の分からない混乱劇から数時間、俺はやっと骨犬について、真面目に考えられる程度には落ち着きを取り戻した。


 それにしても骨犬の進化、これはまず間違いなくアレ(・・)のせいだろう。


 アレとは何か? ソレはホルン達を迎撃した後に戻ってきた骨犬と、ゾンビの姿に起因するのではないかと予測している。


 正直最初見たときは笑った物だが、今考えてみるとあり得ない。


 骨犬という名前を聞けば思い浮かべるのは骨だけになった犬だろう。でも俺たちの前に現れたそれは、ゾンビの努力によって、様々な骨を使い、新たに構築された骨獣士、骨人、骨の集合体、のようなもの。


 器用とは無縁のゾンビによって築き上げられたそれらを命名するのなら、やはりこの3つの名前が相応しいと思う。


 いやはや、あの時は何度も目を擦って改めて見てたが、犬なんて原型は存在しなかった。辛うじて骨獣士が、再生途中だった為か、骨犬の上に何か乗っていて「ああ、なるほどね」という何ともいえない形を残している。


 手足増えたり減ったりして感覚違うのにどうやって動いてるんだよとか、まさか骨だからなんでもありなのか? とか笑いながら後で直してあげたのだが、きっとあのせいだと俺は確信している。

 何故そう思うのか?


 それはとても簡単なことだ。


 実際進化させてみたら


 『骨獣士』『骨人』『骨玉』という名前になったからだ。


 もうLv20以上だし、そろそろいいだろうと判断して進化させたわけだけれど、なんとも微妙な、いや強くないわけではないんだけど、現状だとどうしても微妙といわざるを得ない陣容に……。


 どういうことかはステータスを見てみれば早いと思う。


 まずは骨犬の元ステータス。

―――――――――――――――――――

名前:骨犬①~③

種族:霊族

職業:アリサの骨犬

Lv:24 NEXTLv:240Ex

HP:970/970 ↑920

SP:240/240 ↑230

Ex:160


STR :50(+5)↑45

INT :27(+5)↑25

DEX :50(+5)↑45

DEF :65(+5)↑57

MDEF:27(+5)↑25

AGI :55(+5)↑49

LUK :20(+5)↑18


固有能力:《固定化》

戦闘技能:《骨強化》《加速》《四肢強化》《鉄壁》《脱臼術》

称号:《仰ぎ見る者》《純なる者》

―――――――――――――――――――

 《固定化》…骨を体の一部として固定化する。


 《鉄壁》…一時的にDEFを向上させる。発動時DEF+50

 《脱臼術》…骨を素早く取り外す事が出来る。


 《純なる者》…私利私欲に塗れぬ純なる、心白き者に与えられる称号。ALL+5


 さて、心清き骨の原型がこのステータスなわけだが、続いて連続で骨玉、骨人、骨獣士の順に見てみようか。


 頭が痛いが良く見比べて考察しないといけない。色々派生も有りそうだし……。


―――――――――――――――――――

名前:骨玉

種族:霊族

職業:アリサの骨玉

Lv:1 NEXTLv:100Ex

HP:1670/1670 ↑700

SP:440/440 ↑200

Ex:160


STR :110(+5) ↑60

INT :47(+5) ↑20

DEX :70(+5) ↑30

DEF :115(+25)↑50

MDEF:47(+5) ↑20

AGI :105(+5) ↑50

LUK :30(+5) ↑10


固有能力:《骨吸着》《高速回転》《足場作成》

戦闘技能:《骨強化》《超加速》《四肢強化》《鉄壁》

称号:《仰ぎ見る者》《純なる者》《犬の餌》《犬の遊び道具》

―――――――――――――――――――

 《骨吸着》…周りにある骨を自在に吸着し、自身の体積を増やすことが出来る。

 《高速回転》…その場を動かずに高速回転することが出来る。

 《足場作成》…自分の進む先に足場を作ることが出来る。


 《犬の餌》…骨玉に与えられる特殊称号。DEF+10

 《犬の遊び道具》…骨玉に与えられる特殊称号。DEF+10


―――――――――――――――――――

名前:骨人

種族:霊族

職業:アリサの骨人

Lv:1 NEXTLv:100Ex

HP:1170/1170 ↑200

SP:940/940 ↑700

Ex:160


STR :85(+25)↑35

INT :87(+25)↑60

DEX :75(+5) ↑25

DEF :75(+5) ↑10

MDEF:77(+5) ↑50

AGI :103(+5)↑50

LUK :30(+5) ↑10


固有能力:《固定化》《再構築》《骨刃化》

戦闘技能:《骨強化》《加速》《四肢強化》《鉄壁》《脱臼術》《鎌術》《闇魔術》

称号:《仰ぎ見る者》《純なる者》《死を司る末裔》

―――――――――――――――――――

 《再構築》…自身の骨が散らばった際に、周りの骨を使い、任意で体を再構築する事が出来る。

 《骨刃化》…自身の骨を刃と化す事が出来る。


 《鎌術》…鎌が使いやすくなる。


 《死を司る末裔》…死神と称される者の末裔に与えられる称号。STR+20、INT+20


―――――――――――――――――――

名前:骨獣士

種族:霊族

職業:アリサの骨獣士

Lv:1 NEXTLv:100Ex

HP:1570/1570 ↑600

SP:540/540 ↑300

Ex:160


STR :95(+25)↑50

INT :42(+5) ↑15

DEX :90(+5) ↑40

DEF :135(+5)↑70

MDEF:42(+5) ↑15

AGI :95(+5) ↑40

LUK :30(+5) ↑10


固有能力:《固定化》《再構築》《骨鋭化》

戦闘技能:《骨強化》《超加速》《四肢強化》《鉄壁》《脱臼術》《槍術》《突撃》

称号:《仰ぎ見る者》《純なる者》《気高き忠臣》

―――――――――――――――――――

 《骨鋭化》…骨の先を鋭く尖らせることが出来る。


 《槍術》…槍が使いやすくなる。

 《突撃》…速度を上げ、敵に突撃する。発動時STR+20、AGI+50


 《気高き忠臣》…騎士道精神を胸に抱き、主人に尽くす騎士に与えられる称号。STR+20、DEF+20


 どう見ても骨玉と骨獣士は敵に突っ込んでいく集団戦タイプだと思うんだ。というかだ、こんな狭いダンジョンで《超加速》と併用して加速する技能を駆使して、それこそ駆けながら戦うとか、もう自殺志願者にしか見えないね。


 どう考えても壁にぶち当たって的になってお仕舞いだよね。


 骨玉に至ってはタックルしか攻撃方法がないしな、もしくは敵にひっついて回転攻撃? とてもじゃないが嫌がらせにしか使えない……。


 正に餌兼遊び道具。LV1ずつあげられるけど、少し考えてしまうな。


 他のメンバーと協力させれば使えるかなと思わないでもないけれど、今居るメンバーといえば


 魔狼×5

 子ブリン×2

 インプ×2《1人進化可能》

 骨玉×1

 骨人×1

 骨獣士×1

 ゾンビ×5《1人進化可能》

 ゴースト×2


 このうち魔狼とおーちゃんのコンビ、ゴーストとゾンビ、元骨犬、アリサのコンビが主戦力として、子ブリンはもうちょい勉強して知恵つけないと使い物にならない。


 こうして考えると俺たちって予備戦力が存在しないのな。


 確か食料関係の問題だったり、手作り部屋が不足しがちだったって言うのもあってあれから増やしてなかったんだけど、この際新たに増やすのもありか?


 骨人はそのままアリサチームに組み込むとしてだ、増やす増やさないは別として、骨獣士と骨玉はどうにかしなくちゃいかんだろうな。


 んーー、どうせなら新しいフロアに配置するか? でも骨玉配置した所であんまり期待できないというか……。


 《高速回転》が肝だよな、道作って走るってのは凄そうに思えるけど、狭い室内じゃやっぱり微妙だし。


 回転回転回転で役立つと言ったら……。


 あ……、狩場!


 今回試して人数減った分大変だなと思ったけど、これかなり使えるんじゃないか? 少なくとも一度試してみるだけの価値はある。


 となると後は骨獣士をどう使うか……、いっそ今構想中の新フロア(?)に投入しちゃうかな。一応全力で突き抜けてもらえばソレでよさそうだし。


 使い道は大体決まったかな、ただ量産しても今は使えないか。まあ今はこれでいいだろう。


 使い道は決まったんだし次だ次。最も重要なことを考えなきゃならん。


 もちろん進化条件についてだ。


 今まで魔犬、おーちゃんの進化で考えていた仮説が“一定以上のLv”と“技術”だと思っていた。技能だと思っていた理由は単純で、おーちゃんのイレギュラー進化はステータスに乗っていない、想定以上の“戦闘技術”を考慮したものではないかと考えたからだ。

 そもそも魔犬は訓練が合っていたのか、技術の面――主に速度重視の戦闘において――一番実力が伸びた奴らで、ステータスを含めて考慮すれば、こと戦闘に関しては部下で一番強かったはずだ。

 おーちゃんが目立っていただけで、ただの魔犬達も格上のインプ相手に複数なら十分に戦えていた。


 だからこそが関係していると思っていたのだが、いや、思っていたどころではなく半ば確信していた。実際インプのイレギュラー進化の条件を満たした奴は、心の中に入り込む術、技術を有していた。そして一定Lvの条件も満たしているはずだ。


 ほぼ確信に近いソレを打ち破る要因が骨犬の進化、あれの進化は偶然の産物だが、アリサの言っていたこととも結びつくので信憑性が高い。


 つまり骨犬の進化条件とは“一定のLv”と“骨の造形”、つまりは一定Lvに至った時点でどういった形を作るかが重要となる。


 骨犬の造形をそのまま維持している場合は恐らく進化しないのだろう、それが進化する派生の造形を模していれば恐らく今回のように進化するのではないだろうか。


 だからアリサは戦っている間に勝手に造形が変わったそれらが、気づかぬうちに勝手に進化したとしかわからなかった。


 こうして考えてみるとどちらの進化条件もかなり信憑性があるように思える。


 もしこの仮説をどちらも信じるとするなら、こんな仮説が成り立つことになる。


 ――――種族別に進化条件が存在する。


 混在する進化条件などあまり聴いたことがない。一般的にゲームでいう進化は、一定レベルを上げ、ステータスを上げていれば進化する。

 時折存在する特殊条件などで強力な進化を遂げる場合もあるが、大体似たり寄ったりの条件だ。


 何故そうなるのかは俺にはわからないが、俺が考えうる理由としては単純に手間だからだ。


 一々キャラクター毎、種族毎に進化条件を決めていっては、消費される労力、時間が膨大なものになってしまう。さらにはシステムも複雑化してしまうのではないだろうか。


 素人考えでは在るが、ありえそうな理由ではないかと自負している。


 そして此処で問題になるのが、この“雑”なダンジョンにおいて進化で手間暇をかけているだろうか? という事だ。


 この雑なダンジョンにおいて手間暇かけていると思われる箇所はあまりない、説明も大雑把、システムも大雑把、職業もどういう基準でLvが上がるのかあいまいで、Lvの経験値の代わりになりそうな熟練度といった数値の表示もない。


 なのに進化の条件付けにおいて手間暇かける? 俺にはちょっと信じられない。


 いや、案外適当なのか?


 適当に、思い付きを進化条件にしているのか?


 Lvが大きく、強い奴魔族が進化する。


 Lvが大きく、見栄えのいい霊族が進化する。


 まるで子供の考えだ。


 強い奴は格好いい! だから進化する。


 見栄えが良くて格好いい! だから進化する。


 でもまさか子供であるはずもない、子供が世界の王であったのならば、この残酷な世界は子供の無邪気さでとっくに滅びているだろうし、もし滅びなかったとしても此処までの整合性は取れない、混沌としたものになっているだろう。いや、天才児であれば可能性はあるか。


 ここまで考えてみて思い浮かぶ世界の主像というと、子供の思考を残した大人、もしくはかなりの天才児ということになるのだろうか。もうちょっと整理してみよう。


 ダンジョンの雑さや、知識の豊富さを考えるに、面倒くさがりで、飽きっぽく、確かめることをしない。けれど世界を運営するだけの頭脳があり、職業を考え出す、あるいはダンジョンに用いるだけの知識があり、行動に移せるだけの実行力がある、というのが世界の主。


 雑にまとめてもやっぱりおかしい。面倒くさがりで飽きっぽい、確かめることをしないやつがそれほどの知識を持ち合わせているだろうか? 仮に天才だったとしてもその性格なら無理じゃないだろうか?


 とするならだ。仮に世界の主という存在が、世界の知識を好きに吸収出来るというのならあるいは可能か? 知識はあっても使うだけの頭の良さが無ければソレも無理だけれど。


 世界の主になった者が馬鹿であるはずもないだろう。


 となると、改めて世界の主像をまとめるとこうなる。


 頭が良くて知識が豊富だけど、気分屋で大雑把な性格が玉に傷、ダンジョンのシステム、シアの話を参考にすると他人を顧みない、快楽主義者のきらいがある。いや、様々な種族にかけられているダンジョンの情報に関する呪いではなく、仮説ではあるが、すべての種族にかけられたもう一つの呪い(・・・・・・・)が実在するとすれば、それはより確実なものとなる。


 思いっきり関わりたくないタイプだな。関わってるのが嘆かわしい限りだけど。


 しかし、前の世界に居た頃から必要に駆られて、特定の個人を嵌める時プロファイリングしてたけど、今回の推察はあまり精度が高いとは言えないか。

 もっと情報がないと、嵌める際の参考に出来る程のプロファイルにはなりえないな。出来れば好きなもの、嫌いなもの、出身地、趣味等の個人情報が欲しいかな。


 って俺は何で今こんな事を考えているんだか。


 世界の主なんて気にしてたらキリがないだろうに、未だ生き残っているかどうかも分からないし、そんな相手に出会う確率なんて果たしてどれほどあるだろうか。

 例え備えるにしても、頭の隅っこで時折考える程度に押しとどめておいた方がいいだろう、熟考するならまずは進化の条件だ、何せ自分達の戦力強化に努めなくちゃいけない時期だからな。


 戦力増加は最強に至る、最強に魅せるためには必要不可欠な要素だからな。やっぱり最強って言うと最強の軍団率いているのが分かりやすいし。


 こんなに強い奴ら率いてるんだぜーとか言ってやったら、俺SUGEEEEEEEEEとなる寸法だな。単純だからこそ効果がある。


 ま、捻くれてるやつは大将は弱いとか思いそうなものだけどね。


 とりあえず思考を切り替えようか。


 進化条件の仮説はある程度たったわけだけれど、証明するために他の奴らも進化させたほうがいいだろうな。魔族はそいつらに合った戦術を考えて教えないといけなくなるけど、それで進化して強くなるっていうのならその方がいい。


 その前にゾンビ①を進化させて他の奴は色々切り張りしてみるか。


 むむ、創作意欲が刺激される。『俺のゾンビがガン○ム化するはずがない!』なんて書籍を出してもいいかもしれない……、ないか。


 っと、またくだらない考えにそれてしまった。また変な考えが浮かぶ前にさっさと試すか。




◇◇◇◇




 「ファー」


 この鳴き声を聞いた人間は一体何を思い浮かべるだろうか?


 変人? 奇人? はたまた自分?


 大多数の人間は何か動物が鳴いているのだと思うのではなかろうか?


 実際その考えは間違いではないと思う、人間でも動物の範疇に入るのだから……。


 でもフランケンシュタインって動物の範疇に入るのかな? 命もってるのかな?


 「ファー」


 穴の中に入ってたゾンビは相手の武器とか、鎧とか、お肉をくっつけていたわけだけど、まあそれが進化の造形に近かったんだろうね。


 見事にフランケンシュタインへと進化を遂げてしまったわけだ。


 厳つい顔でツギハギだらけだけど、腐っているゾンビよりは人に近い所までは一般的だと思うけど、剣が頭に刺さっているのはどうなんだろうか。

 しかも抜き差し出来て、武器として使えるみたいで、さっきからフランケンシュタインが剣を抜き差ししている。


 とてもシュールな光景が目の前に広がっているわけだが、俺は一体どんな反応をすればいいのだろうか。演技をしても反応してくれなさそうな相手に、俺は一体どうすれば……。


 もういいや、とりあえずステータス見てどう使うか考えよう、その後に……他のゾンビの事考えよう。きっと気にしたら負けな類なんだコレ。ツッコミ役でも対処しきれないソレを俺が対処できるはずもないだろう?


 だからステータス見るのが逃げってわけじゃないはずだ、きっと。


「ファー」


 ええい、煩い、逃げじゃないんだよ。


―――――――――――――――――――

名前:ゾンビ①

種族:霊族

職業:アリサのゾンビ

Lv:19 NEXTLv:290Ex

HP:2010/2010 ↑1340

SP:90/90  ↑60

Ex:60


STR :95 ↑65

INT :30 ↑24

DEX :105 ↑75

DEF :125 ↑105

MDEF:30 ↑24

AGI :30 ↑24

LUK :14 ↑14


固有能力:《蘇り》《再生》

戦闘技能:《噛付き》《加速》《抱きつき》

称号:《身代わり》《仰ぎ見る者》《待ち人》

―――――――――――――――――――

 《抱きつき》…相手に抱きつき、離さない。技発動時STR+30、DEF+10


 《待ち人》…何かを待ち続ける者に与えられる称号。


 本当はもっと育てたかったのに訓練が合わなかったのか、称号やらなにやら全く増えなかったんだよな。コレ見るたびに色々訓練法考え出すんだけど、未だに上手くいってない……、成功したといえば落とし穴待機の作戦か、あれで《待ち人》ついてるのでちょっと嬉しかったりする。


 残りのゾンビにはもっと色々試すことにしよう。


 っとまあ、Beforがこんな感じなわけだ。そしてAfterが……。


―――――――――――――――――――

名前:フランケンシュタイン

種族:霊族

職業:アリサのフランケンシュタイン

Lv:1 NEXTLv:200Ex

HP:3610/3610 ↑1600

SP:390/390  ↑300

Ex:60


STR :135 ↑40

INT :45  ↑15

DEX :150 ↑45

DEF :175 ↑50

MDEF:45  ↑15

AGI :45  ↑15

LUK :24  ↑10


固有能力:《蘇り》《再生》《発電》《帯電》《放電》

戦闘技能:《噛付き》《加速》《抱きつき》《大剣術》

称号:《身代わり》《仰ぎ見る者》《待ち人》《怪物》

―――――――――――――――――――

 《発電》…体内で電気を発生させることが出来る。

 《帯電》…体に電気をとどめる事が出来る。

 《放電》…体から電気を放出することが出来る。


 《大剣術》…大剣が使いやすくなる。


 《怪物》…容姿は人間に近いが、それゆえに醜い化け物として忌み嫌われ、贈られた称号。初対面時、相手を威圧する。


 これって発電機……ゲフンゲフン、そうじゃなくて立派な前衛だな。


 こいつ前面に押し出してれば、今来ている侵入者大体押しとどめられるんじゃないだろうか。魔法使われたら駄目だから無理かな?


 補助魔法とかあればなー、俺がMDEFもとい、魔法防御力を上げてやるのに……。白魔術あんまり使えないんだよな。


 蘇生も未だ反応なしだし、困ったものだ。


「ファー」


 反応に困るから思考をわざと逸らしたのに、なかなかに自己主張の激しい奴だ。


「主ー」


 なんてこった。他の鳴き方があるとは、フランケンシュタインの癖にレパートリー豊富で生意気じゃないか。もっとウゴーとか、ウガーとかそれっぽい鳴き声でもいいと思うんだけど、主って鳴き声もまあ……ありかな、いやなしだ。


「あーるーじー」


「なしだ!」


「なな、何がなしなんだ。まさか主に声をかけたのがまずかったのか? でもそんな……、私は主に嫌われていたのか? 嘘だ。きっと聞き間違いだ」


「やっぱ主はないよなー」


「え!? 呼び方、呼び方が気に入らないのか!? でもそんな、爺様と婆様はこれが主に対する呼び方だと……、私は嘘を教えられていたのか? いやでも、そんな、嘘だ……」


「呼び方? いや鳴き方の話だろ」


「鳴き方?」


「おーちゃん、お前突然やってきて一体何の話をしてるんだ?」


「え? え? いや別に、主探していただけ……って違う! たまたま通りかかったら主がいたから様子を見に来ただけなのだ!」


 勝手に一喜一憂していたのは面白かったけど、別段用事があったわけでもなかったのか。だったらもうちょっと弄ってても良かったかなー……。


 でもなー、おーちゃん落ち込みすぎると帰ってくるのに時間がかかるからな、何か喜べる要素を準備してないとそこまで弄れないんだよな。


 落として上げるが基本方針だし、弄るのはまた今度にしよう。


「……というわけで、今度敵が来たら今度こそ私たちだけで相手したいのですが」


「え? 何?」


「主、やっぱり私が嫌いなんじゃ」


「どちらかと言えば好きだぞ」


「え? ほ、本当ですか? 本当に? 本当だったらとっても嬉しいぞ!」


 言いつくろうのを忘れるほど嬉しいのか、此処まで喜んでもらえると照れると言うか……。ま、何にせよ機嫌が直ったのなら良かった。


「ふふふーん、わったしっは主のじ・ま・んーの愛犬さー」


 機嫌が良くなり過ぎて尻尾フリフリしつつ、変な歌を歌いつつ、足取り軽くどこかに行ってしまった。あれ見た人がどう思うのかは想像に難くないが、面白そうだから止めないでおこう。


 おーちゃんの要求は多分戦わせろって事だろうし、いつもとかわらんだろうから、また今度考えるかな。こうして後回しにしてやってないんだけど、戦えるフロアを作らない事には無理だからな。

 今事実を伝えてもしょぼくれるだけだろうし、そんな真正面から戦うフロアを作ること自体が微妙だから、作るとしてももうちょう後になるんだけどな……言ったら絶対拗ねるよな。


 ん? こうして考えてみると、俺はそれを考慮して無視しているのであって、いじけてる姿が可愛いからやっているわけじゃないな。うん、俺性格悪くない。


 「ファー」


 煩いわ。

おーちゃん「主のー、一番ー、好きなー、私ー」

シア「狼少女は何を歌っているんですか?」

おーちゃん「でたな! エロフ!」

シア「……」

おーちゃん「な、なんだ。アリサ殿から教えてもらったぞ! エロフって種族がいるって!」

シア「……」

おーちゃん「そんなに睨んでも怖くないぞ! え、え、エロフ!」

シア「ッフ」

おーちゃん「っっっっ!? 何か今負けた気に……」

シア「もっと歌が上手くなってから出直してください」


 おーちゃんがその後、orzよりも深い絶望の淵に沈んだのは言うまでもない。


シア「アーリーサーさーん!」


 コレもまた言うまでもないが、ふざけて教えたアリサも、後で《教鞭》を用いた教育的指導を受けた。

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