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Room015 世界はそんなに甘くない。

 祝お気に入り登録300件突破! とかやる予定だったのに十倍の3000件て何ぞ。

 とにもかくにも、お気に入り登録&評価してくださってありがとうございます。何だかいきなり増えすぎてプレッシャーが凄いのですが出来うる限り頑張りたいと思います。

 これからも勢いで色々書いていくと思いますがよろしくお願い致します。


◇1/12 句読点修正。

 頭脳労働担当であるシアが増えたことで考える事が少なくなって助かる、と思っていた過去がいやに懐かしい。


 思っていた以上に俺の周りは問題が山積みで、余裕が出来た分、その山の向こうの山が見えるようになっただけだった現実が辛い。


 折角『蘇生』という名の凄い魔術が使えるようになったというのに


「蘇生:園山雅」


 蘇生出来ないとはどういう了見だ。最初は俺の時代が来た! と思わず叫んでしまったほどテンションが無駄に上がったというのに、その後ジト目のシアの視線に晒されて気まずい思いまでしたというのに……。


「蘇生が出来るのであれば戦力増強が見込めますが、どうやらまだ何かあるようですね」


 蘇生が使えるようになったので、早速アリサの母である雅さんを蘇生しようと思って何度も試しているわけだが、先ほどから他の魔術同様に言葉に出してみても何の変化もない。駄目元で試したとはいえ落胆は大きい。


「魔術使って変化がない場合って何が考えられるんだ?」


「良い方向に考えるならMP不足ですね。悪い方に考えるのであれば使用条件が細かく設定されていて使えない場合です」


 どちらもありえそうだが今の俺の実力では試しようがない気がする。説明には一応蘇らせる対象の強さに応じてMPを消費するというのだから前者の可能性が高いが、この説明鵜呑みにしてしまっても良いものだろうか。


 ま、どの道Lvを上げないと検証のしようがないので暫くはLvを上げつつ試すといったことの繰り返しなるだろう。もしかしたらこれは最強になれというお膳立てでは? というのはさすがに俺の考えすぎだと思いたい。


「とりあえず蘇生は放っておくとして、職業について教えてくれないか?」


 俺のLv上げは皆が戦っている間にも出来るし、無理に今する必要はない。第一それほどPも貯まっているわけではないので後回しでいいだろう。

 どの道アリサよりもベテランである雅さんを復活させるのは相当MPが必要だろうし、今色々アクションを起こしても何も出来ないのでさっさと思考を切り替えたほうが建設的だといえる。


「職業といいますと?」


「いやな、職業変更できるようになったから聞きたいんだが、たとえばアリサは……」


 アリサ、ノイリ、マゼンダの変更可能な職業名を話しながらステータスを見せていくと、アリサとマゼンダについての職業変更の下りでシアの顔色が悪くなったのが分かった。


「どうかしたのか?」


「狂喰者とは大規模な飢饉が起きた時に何でも、それこそ人さえ食べ続けたという犯罪者を鑑定した時出てきたとされる職業です。その犯罪者は人を食べるという事で少なからず強さを増したようですが、それ以外はほとんど謎に包まれているんです」


 犯罪者……、確かにこの世界の住人からすれば生きている人を食べているわけだから犯罪なのだろう。正直熊美味しいがこの世界の住人からしたら俺達の世界で言うガメリカ人うめーみたいな意味の分からない感覚なんじゃないだろうか。


 大体マゼンダも本来なら小さい虫を食べて少しずつ成長していく感じだと思うわけで、でも実際食べさせてしまったのは大きな虫(虫族)。そのせいでマゼンダにも狂喰者に職業変更出来るのかもしれない。


 とすると熊肉食べた俺も結構危ない人なのかもしれない。何時の間にやら闇に足を突っ込んでたとか怖すぎる。


「俺達には食べ物がないから自ずとこの世界の住人を食べることになる。大体家畜は居るのか? 俺は外の世界を良く知らないしわからんのだが」


「それなら多少なりとも納得できますね、元々犯罪者だったという懸念が消せて何よりです。家畜は居ますが幼い頃に見た限りなので姿形は曖昧なので説明出来ません。ただ家畜と呼ばれるものは大抵考える力を持っていない者たちを指しますので、考える力を持つ人を食べるといった習慣はこの世界には、少なくとも私が知っている限り存在していないと思います」


 この世界でも知性ある者を食べるのには忌避感があるのか、とすると無理に食べるやつもまずいないだろうな。それこそ犯罪者ぐらいしか相手を食べるようなマネはしないのだろう。


 それにしても家畜と思われる動物も人方を取っているこの世界で、家畜は一体どんな姿をしているのか興味が湧くのだけれど、シアがわからない以上妄想するしかないのが現実だ。

 興味本位で調べたいが今そんな余裕があるはずもないので、とにかくシアに矢継ぎ早に質問して自分の興味を違う方向へと持っていく。


「俺は職業の事は良く分からんのだけど、出来れば職業をとりあえず変更してみたい。お勧めとかあるか?」


「そうですね。アリサさんは迷宮の主補佐が向いているではありませんか? 元迷宮の主だったわけですし、3年も耐え抜いた実績の持ち主なので職の意味が分からなくとも他よりは適任かと思います。

 ノイリ嬢は巫女、詳細は文献にも載ってはいませんでしたが人族でいう神の声を聞き、人を癒す力が強いものの事を指し示す職業なので、もしかしたら回復力を上げることが出来るかもしれません」


 さすがに狂喰者は勧めてこないか、あれにあまりいい感情を持っていないことはなんとなく分かるが、マゼンダの様に能力が上がるのなら何時か試したいものだ。特徴とか詳しく聞くか調べるかしておかないと痛い目を見そうだから、当分先の話になるだろうが。


「マゼンダ嬢は森の主が良いと思います。正直マゼンダ嬢の存在自体が奇跡のようなものなので今更驚きたくはないですが、森の主といえば中でも力強き者は植物を生成できる力を持ったとされています。

 私も半信半疑ではありますが食料の少ない現状を鑑みるに試してみる価値はあるかと」


 マゼンダ様々とはこのことか、俺の手に噛み付いていたあのマゼンダがそんな凄い存在だとは……、正直希少種だと言われても頭で理解しても然程実感は湧かなかったわけだけど、植物生成とか絶対的な希少価値のある技能を憶えるとかちょっと凄すぎないか? 精霊より狙われても不思議じゃないんだが。


「とはいっても正直眉唾物なので誰も相手にせずに精霊を狙ったわけなので、あまり期待しない方がいいかもしれませんが」


 上げて落とされた。最初にそういう情報を掲示して欲しいものである。どちらにせよ少なくともそういった情報があるのであれば試さない手はない。他の職も魅力的だが後で変えられるのだしどうとでもなるだろう。


 これでアリサ達が始めに就く職業は決まったわけだが肝心な人の情報を見ていない。転移陣があるかわからんし、嫌な現実が待ち受けてそうで見るのを躊躇ってしまう。


 こういう時は勢いにのって見れば楽なのだけれど、蘇生の件が後を引いて不安が募っている。


「聞きたいことは以上ですか? 次は私の情報を見ましょうか、事前にギルドでステータスは確認しましたがどれほど落ちているのか知りたいですし、どの職に就けるのかも確認したいので早く出して下さい」


 シアは結構人の機微に疎いと思うんだ。不安そうな顔をしてシアを見つめているのに、無視して話を進めるあたり絶対そうだと思うんだ。


―――――――――――――――――――

名前:アナスタシア・フォレストア

種族:森族

職業:ノリトの部下

Lv:1 NEXTLv:10

HP:50/50

SP:200/200

Ex:0


STR :5(+15)

INT :25(+50)

DEX :10

DEF :5(+5)

MDEF:20

AGI :14

LUK :1


固有能力:《転移陣》

戦闘技能:《斧術》

称号:《知識の宝庫》《知識を渇望せし者》《樵》《変わり者》《子供好き》

―――――――――――――――――――

 《転移陣》…転移陣を移動元と移動先に設置して道を通すことにより、どんな距離でも転移陣で行き来することが出来る。


 《斧術》…斧が使いやすくなる。


 《知識の宝庫》…知識が豊富な者に与えられる称号。INT+20

 《知識を渇望せし者》…知識を貪欲に集める者に与えられる称号。INT+30

 《樵》…木を切って生計を立てていた者に贈られる称号。STR+10

 《変わり者》…エルフの里の変わり者として噂された事で贈られた称号。STR+5

 《子供好き》…子供と遊ぶときだけ可愛くなると噂された事で贈られた称号。DEF+5


 転移陣キタ……っ! これで勝った! 食糧難に勝った! しかもダンジョン引きこもり生活からの脱出出来る! 人生ばら色じゃないか!


 どうしてシアはこうも冷静でいられるんだろうか? もっと喜ばなきゃ駄目だろ。外に出られるんだ、喜ばないでどうする。


 そして何で冷めた目で俺を見るんだよ。おかしいだろ? さっきの蘇生の時みたいにぬか喜びってわけでもないんだからもっと喜ぼうよ!


「転移陣があって嬉しいのは分かりますが落ち着いてください。もういい歳なのですからそういった行動は痛々しいですよ」


「……」


 何だそんなことか、そんなのは周りの視線を気にしなければどうとでもなるじゃないか。だから冷めた目で見るのをやめてくれ、俺が例えテンションが上がり過ぎた為に小躍りしたとしても、その目だけはやめてくださいお願いします。


 もうこれで使えないとか言ったら俺は絶望するね。上げて落とすとはこのことだと心底思うだろうさ、でもその目が無ければ何とか生きていけると思うんだ。だからもっと普通の、いつもの仏頂面でもいいからその目だけはやめて。


「言っておきますが転移陣をきちんと貼れたのは2箇所だけなので外に出られませんよ? ココに既に張ってある転移陣の先は敵が溢れてますし、もう一つは結界に阻まれて道を通すことが出来ません。転移陣を張る練習した時の物もありますが、あれは印をはずされているので通すのはまず不可能でしょうね」


 待て、俺は騙されない。簡単なトリックには引っかからない、転移陣を張るのに印が必要なんて説明には載ってないんだぜ!


「印? 転移陣さえあれば通せるんじゃないか? 説明にもそう書いてあるし」


「空間把握能力が神の如くある方は可能でしょうが印が無ければ私はまず無理です。道を通す先の印をつけないことには道を通す際のイメージが明確に出来ないので失敗してしまいます。第一印があっても失敗する事等ざらにあります」


 昔見たとことん絶望する漫画を思い出す。俺は一体今日何回絶望しているだろうか。あれに比べればましだと思えるが2回も連続で上げて落とされると悲しくて仕方がない。


 何か違うことに目を向けないとやってられない。


 そういうわけで唐突に《職業変更》を行使してアナスタシア・フォレストアを選択する。


―変更可能職業―

・迷宮の主補佐Lv1

・教職Lv1

・学者Lv1

――――――――


 シアって感じの職業だ。可もなく不可もなく、とはいっても正直どういうものなのか良く分からないんだが、教職は教えて学者は研究職のようなものだろうか?


「私は教職になりたいです。どうせパパさんに色々教えるのですからそれに相応しい職業に就くべきかと思います」


 横から覗いてきたシアの視線は教職で固定されている。他の職業に目が全く言っていないのを見ると教職になりたいのかもしれない。


「俺としてはお前を迷宮の主補佐に据えてアリサを暗殺者にした方がいいと思うんだが」


「確かに一理あります。ですが私が教師になれば子ブリンを役立つようにする事だって出来ますよ? 教職の特性としては人に教えるのが上手くなると聞きますし、ノイリ嬢達にもきちんとした知識をつけさせてあげることもできます。それに比べて迷宮は謎だらけですし、私が手探りで始めるよりも、迷宮の主経験者であるアリサさんが適任かと思います」


 子ブリンが使えるようになるというのは魅力的だ。あれが使えるだけで現状魔狼とインプぐらいしか使えるやつがいない現状では大変ありがたい。


 骨犬もゾンビももっと訓練しないと使い物にならないからな……。教職というと戦闘に関しても教えられるようになるのだろうか? 書物に載っていた戦闘の情報を分かりやすく教えてもらえるのなら断然教師にした方が良くなるが。


 果たして迷宮補佐にアリサが適任かどうかはおいといて、まずは試してみないことには何とも言えない。出来ればノイリ達にもきちんとした教育を施してやりたい。

 親馬鹿ではないはずなのでノイリ達の教育という点が一番大きな理由ではない……はずだと自分に言い聞かせながらこれが今のベストだと納得する。


「わかった、とりあえず職業はこんなもんでいいだろう」


「転移陣はどうするんですか? 考えがあったのでしょう?」


 的確に傷を抉って来るじゃないか、と脳内で瀕死の重傷を負った自分を想像しながら平然と聞いてくるシアに慄く。


「とりあえず活用法はいくつか思いつくが、ダンジョンのフロア数が少なすぎてまだ活用できる段階じゃない。後で考えをまとめて草案を出してそれをシミュレートしてみないことにはわからん」


「そうですか。別に構わないのですが、私転移陣を持ってるから仲間にされたというのに、何だか無くても然程困らない感じですね」


 だから的確に傷を抉ってこないで欲しい。鬼かお前はと心の中で毒づく。


「気にするな。それよりも皆を呼んで職業変更してみようか」


「逃げましたね。別にいいですがもうすぐ敵が来る時間では?」


「それもそうか、じゃあ敵を駆逐した後で」


「わかりました。とりあえず私は先に教職にして下さい。ちょっと試してみますので」


「了解」


 シアの職業を教職へと変更する。特に見た目も変わらないので何が変化したのか良く分からない。


「子ブリン1人借りますね」


「ああ」


 早速試すみたいだ。子ブリンのいるフロアへと向かうシアの足取りは心なしか軽そうでウキウキいている様に見える。


 さすが子供好き、子ブリンでも可愛いと思えるのかもしれない。


 さて、俺は俺で最強への道筋を考えなくてはいけないのだが、草案はあるのだが実際やるとなると結構なPを消費しないといけないので今のままでは厳しい。Pを使わなくても戦える方法を模索しないと最強なんて目指せないだろう。


 一体どうしたものか……。




◇◇◇◇




 あれから敵さんがやってきたが今回はほとんど生かしておいて貰った。各種族それぞれ俺が手にかけようと思っているからだ。


 本当なら部下にやらせて経験値取得させたい所なのだ、俺以外に出来そうな者がいないので仕方がない。唯一役立ちそうなシアは子ブリンとノイリたちに付きっきりなので俺一人でやらないといけない。


 目の前に様々な種族の敵が転がっているわけだが、今回はこいつらの急所を研究しようと思っている。何をするかといえば拷問紛いの実験である。


 急所を探すのだから殴る蹴るは当たり前、他にも死角の見極め、各部位での痛みの感じ方の違い、何を嫌がるのかを色々と試していった。


 考えた全ての工程を終える前にほとんどの者が死んでしまった。他は精神的に壊れて使えなくなってしまったので殺した。


 余り抵抗を感じないといってもこういった作業は流石に嫌になる。殺すだけであれば何の感慨も抱かないが地味にじわじわといたぶって殺していくのは俺の趣味ではない。


 罠はそんなのばっかりな気もするが、俺は決してそんな趣味ではない……はずだ。


 今回急所を調べてみたが同じ種族でも結構違ったりするので困った。急所を的確について相手を倒すというのは道理だが思ったよりもずっと難しい。


 彼らの犠牲は尊かったが急所を付くのは諦めて、急所でなくとも致命傷を負わせることを考えた方がいいのかもしれない。


 となるとSTRの付いた称号を増やすことを考えた方がいいだろうか? いや、そう都合よく増えてくれるとも思えないから却下だな。


 要はダメージを食らわないで攻撃できるようになればいいわけだが、今ならまだ魔術で完封も不可能じゃないと思うけれど、複数相手だとそれも難しい。さらに強い敵が来るようになればなおさら無理ではなかろうか。


 ダメージを食らわない……。


 ?


 そうか、あの手があったか、でもそうすると移動中が問題か。《超加速》があるから今の敵になら捕まらない、もしくは攻撃をよける自信はあるけれど果たしてそう上手くいくだろうか……。


 でもいざとなればあの手を使えばいいわけだから……。懸案事項はあるもののこの手が一番最強に近い。


 とにかく試してみよう。




◇◇◇◇




 皆で集まって職業変更する時になって、俺は初めて自分が最強へ至る道がいかに険しかを思い知った。


「何で爪先立ちしてるんですか? 少し気味が悪いです」


 最強になれといったシアさんから有難くない罵倒を受け取ってしまった。実際他のメンバーも奇妙なものを見るような目で俺を見てくる。


「ノリト兄さんまた変なこと始めたんですか?」


 何故だろう、アリサに変だと言われると辛いものがある。


「ノイリもやる!」


「ノイリ、これは過酷で残酷な修行なんだ。ノイリはもっと楽しいことをしてくれると俺は嬉しい」


 足がピクピクして今にも攣りそうなのだ。それでも攣らないのはダンジョンの仕様なのかどうかは分からないが、この特訓がとてもマゾいという事に変わりはない。


「んーー」


 首を傾げて悩むノイリを見ていれば苦痛なんて簡単に吹き飛んでしまう。ああ、本当ノイリにはきちんとした教育を受けてもらって立派な淑女になって欲しい。


 淑女なノイリもいいけれど今のまま成長した元気なノイリも捨てがたい。悩ましい。


「わかった。ノイリ、ノリトお兄ちゃんと遊ぶのが楽しいから一緒に遊んで!」


「天才が光臨したぞ!」


「何言ってるんですかノリト兄さん。天才は元々ここにいるじゃないですか」


 アリサは放って置いて俺はノイリの頭をぐりぐり撫でてやる。ついでに物欲しそうに指をくわえてこちらを見ていたマゼンダの頭も一緒に撫でてやる。


「えへへー」


 気持ちよさそうに目を細める二人を目にして俺は新たに決意を固める。


 たとえ気持ち悪がられようが変なものを見るような目にさらされようが、俺は最強の道を歩みとおしてやる!


「いい加減職業変更してください。パパさん、貴方が思っているよりも私は暇じゃないんです」


 熱い決意を固めた所で冷や水を浴びせられた俺は粛々と職業変更に移る。


 子供だけじゃなくて俺にも優しくなって欲しいと思う今日この頃、どうにかならんものか。


「アリサは迷宮補佐、ノイリは巫女、マゼンダは森の主になってもらう予定だけど何か他に希望あるか?」


「マゼンダもノイリも良くわかんないからノリトお兄ちゃんが決めていいよ?」


「ノリト兄さんの補佐……、やっと私にもチャンスが」


 何かぶつぶつ言っているアリサは放って置いて、反対意見が出なかったようなのでそのままシアと打ち合わせした職業に皆を変えていく。


 やはり何も変わった気がしない。もうちょっと職にあわせたコスチュームとかあっていいのではないだろうかと思う俺は傲慢なのだろうか。


「とりあえず各自自分の職業を意識しつつ生活してみてくれ」


「わかりました」


「わかった!」


「ノリト兄さんの補佐……ふふふ」


 各自の返事を聞き届けた後は誰の目も届かない闇フロア小へと歩みを進めた。

ノイリ「ふんっ~~~」

アリサ「ノイリちゃん何してるの?」

ノイリ「ちゅまさきだち!」

アリサ「……っ!?」

ノイリ「あれ? つまきだち!」

アリサ「!?!?」

ノイリ「つつまだち!」

アリサ「……」

アリサ(ノリト兄さんなら死んでいるでしょうが、同性である私には効きません。せいぜい鼻血を出しただけです)

ノイリ「あ! つまさきだち!」

アリサ「良く言えましたね」

ノイリ「えへへー」

アリサ(バタリ)

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