Room007 遅刻はいけません。
◇8/28 Ex&P再把握、これまでの話でEx&P、Lvを一部修正。
◇9/14 誤字修正。
◇9/16 主人公Lvup引き伸ばし理由追加。
◇1/11 句読点修正。
◇報告:ハーレム?タグ追加します。
実際ハーレムにするかどうかは兎も角、現状近づいてきてる気がするので追加しました。
虫族最後の人が来てから既に一週間が過ぎているのだが、一向に侵入者が現れる気配はない。
一体ギルドの人はいつ来るんだろうか、と日々悶々と思っているのは何も俺だけではないはずだ。何せ今食べられる物は薬草しかない。根っこをみじん切りにしてばら撒いても成長する薬草ではあるが、こちらの数に対して圧倒的に少なすぎる。
だからといって皆に空腹で辛い思いをさせているわけではない、その数が少ない事を利用しているおかげである程度皆もやる気に満ちている。なにもネガティブに事を考える必要はないだろうと俺は思うのだ。
とはいっても俺は食欲を他の奴らより抑える事が出来るのでまだいいが、アリサは配給分の薬草の根っこをずっと齧って「根っこって結構甘いんですね」って言ってるあたり危ない気がする。
そろそろ[幻]を使った方がいいのかとも思ったが、それだとあの痛々しい姿をノイリとマゼンダに晒しかねない。それはさすがに俺の良心がとがめてしまう。
第一魔族の奴らはもっと過酷な環境なのだし、甘えさせてばかりでもいけないだろう。
というのも俺の魔族には今ちょっとした試みとして訓練を行っている。
訓練で上位成績を収めた者だけが薬草を食べられるというものなのだが、結構皆食いつきが良くてびっくりだ。
俺の仲間になったのだから食べなくても大丈夫なはずなんだが、食欲はやはり大きい、といってもそれだけではない……。
それは此処で育てている薬草がシャキシャキしてて無駄に美味しいからという理由もあるのだ。ここで育てた薬草と虫族から頂いた薬草を比べると、味の質が全然違っているのが良く分かる。
理由として考えられるのは長期保存していた薬草は味が落ちるという事だ。だってこっちの畑でした事と言えば虫族を肥料代わりに蒔いたことぐらいだ。いや、最近は水もやる様にしているか。
何にせよ美味しいのでみんな頑張っている訳だ。言わずもながらノイリは争わなくても現物支給で幸せそうにしてもらっている。
たまに心配そうに俺の様子を見に来て、一緒に食べようと薬草を分けてくれるのだから、マジ天使と言わざるをえない。俺が食べる事を我慢して元気でいられることはノイリの存在が大きい気がする。
マゼンダに関しては草を食べることは無理だそうだ。植物だから何かしらの抵抗感があるのかもしれない。そんなマゼンダのまともな食事は可哀そうだが今のところほぼ無い。
たまに虫からとった殻をあげているがやはりそれだけでは物足りなさそうだ。早いとこ何とかしてあげたいが、ギルドが遅刻してるのだからどうしようもない。
そこまで考えて早くギルド来てくれーと思いながら最近日課になりつつある訓練を開始する。
魔族を整列させてマゼンダの花があるフロア中の外周を走りこませる。走り終わった後は魔犬、子ブリン、インプそれぞれに別れて模擬戦闘を行う。
子ブリンとインプは好きな武器を与えて戦闘しているので結構危なっかしいが、昨日から見学すると言って聞かないノイリが傍いるおかげで、怪我をしても少し経てば完治してしまう。
おかげで怪我をしたら時間を置いて再開していたのが、今ではかなり時間短縮され、訓練の密度が上がっている。
さらには全てのことに対して一喜一憂するノイリがあまりにも微笑ましくて、皆見栄を張る為に全力を出して頑張ってしまうのも、訓練にいい影響を与えている。もしかしたら食べ物の恩恵狙いで頑張っているのではないかもしれないと、今日は思ってしまうほどに熱があふれている。
正直やる気があるの助かる。戦い方なんて知らない俺には魔族にそれぞれ戦い方を伝授するなんてことはできない。だから同じ魔族同士を戦わせて本質を理解させ、強くしていこうと思っているのだ。といってもあくまでそれは副次的なものでしかないけれど。
本題は戦闘技能の取得なのだ。こればっかりはどうすれば増えるのか今一分からないので手探り状態。戦闘をしていなくても増えているし、それぞれに取得条件があるのかもしれないが俺と同じ方法が魔族に出来るわけも無く、今こうして戦闘を繰り返させている。
見ていると分かるのだがステータスは同じでも個性にばらつきがあり、どんな動きが得意でどんな攻撃が好きというのがよく分かる。
本当によく見ないとわからない些細な個性ではあるが、それぞれを伸ばしていけば、きっと違ったタイプに進化するのではないだろうかと考えている。
進化の条件はLvだけでは無いらしく、これも特定の条件を満たせば進化できるらしい。出来る事なら皆進化させてやりたいけれど今の所そんな兆候は見られない。
アリサ曰く敵と戦ってたら進化します。との事だが敵がいないから出来ないし、敵と戦闘するだけでアリサの霊族と同じく進化すると判断するのは少し危うい気がする。
何にせよ今はとにかく試すしかないだろう。
ステータスに差はあるが今度は魔犬、子ブリン、インプをランダムに戦わせていく。
やはりステータスの関係上インプが優勢ではあるはずなのだが、一匹の魔犬がステータス等お構いなしに全勝してみせるから世の中分からない。
一番期待している奴ではあるのだけれど如何せん強すぎてこいつの訓練にならない。
敵の攻撃の際には完全に間合いを把握してギリギリで避けてカウンターを仕掛けるし、足の速さを生かしたフェイントなども織り交ぜながら攻撃して来るのだからかなり優秀だ。
インプ対策としては淫魔術を避けて、MP切れになった所を背後に回り、反撃されても避けて噛みつくとか意味の分からない事をやってのけている。
そんなことをやってのけるのだから、ステータスが1匹だけ違うのかと言えば全然そういう事はない。実際見てみれば感じである。
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名前:魔犬①~⑤
種族:魔族
職業:ノリトを敬愛する魔犬
Lv:12 NEXTLv:120Ex
HP:380/380 ↑210
SP:230/230 ↑140
Ex:40
STR :30 ↑15
INT :10 ↑5
DEX :25 ↑13
DEF :19 ↑10
MDEF:10 ↑5
AGI :40 ↑20
LUK :6 ↑2
固有能力:《群》
戦闘技能:《吠える》《牙強化》《統率》
称号:《仰ぎ見る者》
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《統率》…己と同じ種族を指揮するとことが出来る。
《仰ぎ見る者》…高みを目指す者に与えられる称号。ステータスの上がり幅上昇。
《統率》はいい戦闘技能だとは思えるが今は俺が指示を出すだけでいいし必要ない。《仰ぎ見る者》に関しては訓練を続けていたら付いていた。元々LvをMAXまで上げていたので痛いが次に楽しみが伸びたと思えば……いややっぱり残念すぎる。
アリサはこのことを知らないでずっと敵と戦っていたというし、もしかしたら俺にもこういった称号付くんじゃないだろうか? Lvそろそろ上げようかと思っていたけれど俺が戦闘に出なくても余裕もあるし、もう少し待ってみるか。
さて、見た感じ魔犬5匹はまだ共通ステータスのままで特に変わりはない。だというのに1匹だけ突出しているのはステータスに出ない強さがあるのかもしれない。
例えば経験とか。魔族召喚なので召喚される前に魔族が何をやっていたかによってもしかしたら強さが違うのかもしれないがそれも推測の域を出ない。
後は職業名が変わったぐらいだが、コレは魔犬の俺に対する見方の様なものらしいのでとりあえず気にしないでおく。魔犬に関してはこんな感じである。
他の魔族もステータスを見れば分かるが決して弱いというわけではない。
ちなみにステータスはこんな感じだ。
―――――――――――――――――――
名前:子ブリン①~②
種族:魔族
職業:ノリトを馬鹿にする子ブリン
Lv:7 NEXTLv:170Ex
HP:700/700 ↑500
SP:110/110 ↑50
Ex:100
STR :45(+5)↑29
INT :12(-5)↑10
DEX :31 ↑16
DEF :35 ↑20
MDEF:12 ↑9
AGI :17 ↑10
LUK :13 ↑6
固有能力:《皮膚硬化》
戦闘技能:《若き力》《痛恨の一撃》
称号:《単純馬鹿》《仰ぎ見る者》
―――――――――――――――――――
《皮膚硬化》…外皮を強化してある一定の強さの攻撃を弾き返す。
《単純馬鹿》…力頼みの戦闘法しか行わない者。STR+5、INT-5
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名前:インプ①~②
種族:魔族
職業:ノリトを観察するインプ
Lv:4 NEXTLv:250Ex
HP:650/650 ↑150
SP:800/800 ↑300
Ex:150
STR :20 ↑15
INT :65 ↑45
DEX :40 ↑25
DEF :20 ↑15
MDEF:45 ↑30
AGI :25 ↑15
LUK :5 ↑5
固有能力:《夢》
戦闘技能:《淫魔術》
称号:《仰ぎ見る者》
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《夢》…眠っている人に好きな夢を見せることが出来る。
《夢》はアリサ対策として使う予定だ、これで無様な寝姿をさらしたらさすがに困ってしまうが幻を使うよりもましだろう。
初めてインプのLvを上げたときにはその上がり幅に狂喜乱舞したものだったが、今は少しLv上げが辛い。2体目も召喚できたが、インプにはこれといって変化が無く、特に言及することがない。
魔犬はLv1上がるごとに10Ex加算されLVupに必要なExが上がる。子ブリンは20Ex、インプは50Exといった具合だ。現段階で敵から得られるExを考えればかなり厳しいLv上げなのだ。もちろん救いはある。
魔犬が5人敵を倒したら、その分のPが他の魔族にも同じ様に配られるという画期的なシステムが存在するのだ。別に分けているわけではなく、本当に同じだけExが分配されるのだから嬉しい限り。
これは最近発見したので近々また魔族を召喚しようかとも思っている。なんて勿体無い事をしてたんだって思わないでもないけど場所がないからね……。結局わかってても同じだったのでこれは気にしない、何せアリサもそう思って教えなかったみたいだし。
そんなことよりも職業名がちょっと酷くはないだろうか。後で子ブリンどもはボコボコにして俺が主だということを刻み込むのは確定事項だ。インプとかが調子にのったら同じことをしようと思う。
さて、ここまで見たステータスでは明らかにインプに勝てそうにない。そして子ブリンにも大してアドバンテージがあるわけじゃない。
そりゃ子ブリンは馬鹿な子ばっかりだから、与えた武器を落として自分の足に刺したり、《皮膚硬化》を使って壁に頭突きしてたり、無駄に胸張って後ろに倒れたりするようなやつらだけど、簡単に負けたりはしない……はず。
インプにしても《淫魔術》を駆使すれば攻撃を避けるどころか、戦闘すらまともに出来なくなりそうなものなのにと謎は深まるばかり。まず見えない魔術を避けられる時点で何もかもが違うとしか言いようがないけどね。
まるでチートじゃんかとか思うけれど、アリサには負けるのだからチートではないはずだ。アリサはまだLv1だがその経験から闇魔術の使い勝手がもの凄く上手い、その技術のおかげでLvをものともせずに魔族を瀕死にさせていく様は見事しか言いようがない。
あまりにも見事なので訓練参加禁止を申し渡し、2日に1つ薬草を支給しているほどだ。景品が全てアリサのものになったらしょうもないしね。
魔犬1匹も近々そうなってしまいそうだけど、そこらへんはマゼンダに相手をさせてみようかと思う。相手するだけで薬草1日1つ配給するという好条件でだ。
何せ一度アリサと戯れ程度に戦っていたが、闇球を悉く打ち落としていたし、それでも手加減しているみたいだったからね。マゼンダも空腹で辛いだろうけど、ギルドが来て計画が成功すれば贅沢させてやろうと思う。
もちろんアリサにもこの美味しい提案をした事はあるのだが、お腹がすくから無理と拒否され、薬草片手に隅っこで葉っぱをもしゃもしゃ齧り始めてしまったのだ。
確かにアリサがマゼンダと戦うと相当長引くから無理はない。
色々と考えているうちに戦闘が終わっていたらしく、各々休憩に入ってマゼンダの近くで寝入っている。
本当なら俺も訓練に参加したいのだけれど、俺にはダメージは通らない。おかげで訓練に参加してもさほど緊張感が得られない。
避けることを重点的に考えても、当たったかどうかも分からない時があるのでどうしようもない。唯一出来そうなのが武器の使用だが、これは素人過ぎて全く当たらない。
つまり俺は自主練習中しか出来ない。
この事実に気づかされたとき悲しみのあまりフロアを複数建設してしまった。
655Pあったのが今では240Pしかない。火属性フロア小と闇属性フロア小を二つ作り、プールに設置したナンバーロック付き扉を付けたらそうなってしまったのだ。
火属性のフロアには他にも色々細工をしたが闇属性のところは未だ手付かず。本当ならアリサ主導の下色々仕掛けたかったのだが、今根っこ齧ってるからと拒否られたのだ。
仕方なしに最近は風呂作りにいそしんでいる。
働いた後の水浴びも最高だが風呂はもっといい、日本人なら誰しも望む風呂。これを作らないで何を作れというのだろうか、というぐらい作るのが当たり前な代物なわけだけど。
風呂を作る部屋が生憎と無かった。なので畑フロアに土壁を追加して区切り、風呂を建設中。出た後土で少なからず汚れてしまうので泣きたい。でもこのダンジョンフローリングとか大理石の床とかあるわけでもないし、結局土だしって事で畑にしたのだ。
製作にはかなり時間がかかっている。何せ畑フロアで土を増やして粘着液と混ぜ、レンガ状に固めてから火属性のフロアに行って乾すという作業をしているのだ。粘着液は粘着沼のを使用している。使用したところで前追加した分が多すぎたので何も問題は無い。
でも本当ならレンガではなく木の風呂にしようと思ったのだが、何せPが少ない。もうこれ以上は無駄には出来ないのでこれだけ苦労しているわけだ。
今まで風呂が完成しても泥が風呂に混ざったりで悲惨だったが、今回は風呂ごと火属性の部屋で乾かして固めて持ってきたので、泥が水に溶ける心配もあまり無い。
後は火属性の部屋から高温の土を運び、レンガ風呂の下に敷き詰めるだけでいい。前回試したときはさすがに風呂の底が熱くなりすぎるので、木の扉を10P消費して作って分解して風呂の下に敷いている。
さて今回はどうだろうかと試しに水を運んで入れてみる。一切レンガが崩れることも無く、もれることも無く水が貯まっていく。
嬉しさのあまり飛び跳ねていたらノイリに見られて真似されてしまった。とても嬉しそうだったのでこちらとしても恥ずかしさはあれど、負の感情を抱かなくて良かったといえる。
落ち着いたところで高温の土を運んで下に敷き詰めていき、温まったところで何もかも脱ぎ捨てて風呂につかる。
「あ゛あ゛~~、いい湯だ」
途中で風呂が熱くなりすぎて困ったが結構満足である。
どうやって温度調整をしようか考えるが、現状火属性のフロアで土の温度自体を調整するしか思い浮かばない。
でもそうすると小細工が通じないので当分は水を継ぎ足しすることで補おうと思う。使用後の水はプールで処分しておけば問題ないだろう。
とりあえず完成した風呂を皆順番で堪能していく。唯一マゼンダは熱すぎる水がお気に召さなかったらしく、風呂上りにノイリとプールで遊んでいた。
もうちょっと温いと大丈夫だとノイリが言っていたので、温度調節が出来るようになったらお好みの温度にしてあげようと思う。
マゼンダには迷惑をかけっぱなしだがギルドが来ないと仕方ない。
ああ、本当に遅刻はいけないよ君。
アリサ「いい湯ね~」
ノイリ「すごい! あったかいよ!」
アリサ「本当です。ノリト兄さんにしては気が利いてます」
ノイリ「でもマゼンダあんまり入りたくないって……、
だからノイリ後で遊んであげるの」
アリサ「ノリト兄さんは本当に気が利きませんね」
ノイリ「悪くいっちゃだめ! ノイリは嬉しいよ!」
アリサ「ノイリちゃんの言うとおりですね。
私もノイリと一緒にお風呂に入れて嬉しいです」
ノイリ「えへへー」