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幽霊少女と青年領主の出会い 1

視界がふわふわと白く淡く光り意識が目覚める。


少女が目覚めて視界に入ったのは、これまで少女が育った部屋よりも広い寝室だった。


その寝室には、天蓋付きのベッドが右側の壁に付けられて置かれている。サイドテーブルには透明なガラスで作られた水差しとシンプルなコップが銀製のお盆に備えられていた。


お盆の横には、小箱が開けられたまま置いてあり中にある指輪が丸見えになっている。


少女は見慣れない部屋に驚き、顔をキョロキョロと動かして目につく情報を頭の中に取り込むがやはりこの場所は初めて見る部屋だった。



「ここ何処?」




誰も居ない部屋は当たり前に少女の疑問に答える人は居らず、言葉は小さなつぶやきとなって部屋に消えてゆく。



目覚めてから立ち尽くし続けていた事に気付いた少女はだんだんと鼓動が強くなる心臓を落ち着けようと、ふかふかな絨毯に座りこむ。


その座りこみ方は、腰が抜けたような座り方だった。


少女は座り込むと両手を絨毯に付き俯いて、今日1日の出来事を思い出そうとしたが、鈴花という名前以外の事を思い出す事ができなかった。


自分自身に起こった出来事さえも思い出せない事に焦りを覚える。


「…何で?何で何も思い出せないの?」


呟いたと同時に、鈴花の黒い瞳から、涙がじわじわと溢れでてくる。



どうして私は此処にいるの?


何も思い出せないのはどうして?



どうしてなの!?




記憶が思い出せない事にショックをうけ、ここが何処なのか確認する事すら忘れて、涙を流し続けた。


嗚咽で揺れる肩から肩より少し長い黒い髪が一房胸に落ちる。



俯いて泣いているため、瞳から溢れた涙は頬をつたい、絨毯に落ちてゆくが涙は絨毯を濡らす事はなく、消えていった。



その異様な光景に気付く事なく暫くすると泣き止んだ鈴花は涙こそでてはいないものの、眉尻は下がったままだった。


部屋の中はカーテンが閉められているが、カーテンの隙間からの光によって部屋はうっすらと明るみがあり、その明るみを見る事で鈴花は落ち着く事ができた。



改めて見た部屋はやっぱり広く棚やテーブル、椅子などの家具には細やかな装飾がされていた。


この部屋の主はお金持ちなんだろうなと思ったのが鈴花の正直な感想だった。


これからどうするべきか考える。

まず、状況が知りたかった。ここに何時までもたたずむ訳にはいかない。


「やっぱり部屋の外に出ないと」



そう思い、ドアに近づきドアノブを回そうと手を伸ばしたがドアノブはガチャリと音を立て先に開いたのだった。



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