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私の部屋

作者: 小川大河
掲載日:2026/07/17

 「新しい企画だけど、君に任せるよ。これがその企画書だ。」

 社長が私に言った。ラッキーだ。私はその企画にとても興味があり、やってみたかった。社長の指名があれば確実だ。私は企画書を手に取った。

 「広告の広告。より効率的な営業をするために。」

 企画書の表紙にはそう書かれていた。これは広告業界に革新をもたらす企画なのだ。この企画ではいかにしてよりよい広告を作るかが目的になっている。企業全体を左右しかねない内容だ。企画を進めるには、著書間に行ったり、先人にインタビューするなど情報収集が欠かせない。情報収集によって、だんだんと自分の意見を形作り、最後にまとめたいと思う。とにかく、これは大仕事になりそうだ。

 「じゃあ君頼めるかな。君はこれから、この企画に専念してくれてかまわない。時間は好きに使ってくれ。出社してもしなくてもかまわん。必要なものは事務に連絡してくれ。満額で経費が出る。というわけだ。あと、会いたい人がいたら言ってくれ。できる限りは協力する。」

 ここはとてもいい職場だ。社長は部下の仕事にとても協力的だ。他の部署の人も優しい。今回は、社長の肝いりの企画なのでいつもよりもさらに待遇が良い。何としてもやってやるぞ。

 「ありがとうございます。そうしたら、私はこれからの計画を立てるので、家に変えることにします。そっちのほうが静かではかどると思うので。」

 というわけで、私は昼前に帰宅した。さあ、これから仕事だ。何をしようか。まず、それを考えよう。なんだかとても自由な気分だ。とりあえず、帰る前にランチを食べよう。腹が減っては戦はできぬ。せっかくだし、前から気になっていたカフェに行こう。でも混んでるか。まあいい。ゆっくりしよう。今日はお昼休みの時間を気にすることもない。

 そのカフェは少し並んでいた。若い女の子たちがたくさんいる。近くの学生だろうか。学生たちは昼休みの時間をあまり気にしなくてもいいもんな。普段こんな所並んだら絶対に昼休みには帰ってこれない。そうだ、並んでいる間にこれからやることを整理しよう。こんなところでも仕事が進められるなんて感動だ。

 シャキシャキのサラダが出てきた。とても新鮮な野菜はみずみずしくて、食べると元気になる。コーヒーのいい香りがする。ハンバーグは肉の旨味が口の中であふれている。とても美味しい。並んだ甲斐があった全身に栄養がいきわたっている。胃が喜んでいるのが分かる。ゆっくりと味わって食べよう。

 お店を出ると、地元の小学生が家に変える時間と重なっていた。ランドセル姿の子どもたちが道に広がっている。少しゆっくりしすぎたか。お腹いっぱいになったし、うちに帰って仕事、仕事。その前に、スーパーで買い物をしていこう。後でまた来るよりも楽だ。

 タワーマンションに着いたのは、私がいつも仕事を終えて会社を出る時間だった。すっかりゆっくりしてしまった。まあ、ウチでなら夜になっても仕事はできる。それに今日は計画を立てるだけだ。なにか実際にするわけじゃない。私は自分の部屋に入ると明かりをつけた。冷蔵庫からビールを取り出し一口飲んだ。いけない、いつものクセでお酒を飲んでしまった。これから仕事をするというのに。まあ、いいか。誰か見ているわけにもないし。なにかおつまみも欲しいな。私はパソコンを起動している間に、冷蔵庫を物色する。

 ずいぶんとお酒を飲んだ。少し眠くなってきた。私はソファに寝転んだ。いけない、まだ何も仕事をしていない。その日、私がしたことは、パソコンの電源ボタンを押しただけだった。

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