第1話 突然の解雇通告
「お前はクビだ」
これといった感情も浮かべずに大団長のハイマ―は言った。
書類を読みながら。まるで片手間で。
「え? 俺が?」
急な呼び出しを食らって何事かと思ってハイマ―の執務室にやってきた俺は面食らった。
あまりに唐突だったからだ。
「でも、今『宵闇平原』の攻略中だろう。俺が抜けても大丈夫なのか?」
「大丈夫に決まってるだろう。どれだけ自惚れてるんだ。お前なんか居なくても『赫時の旅団』は回るんだ。にもかかわらず、毎回大した活躍もしないで高い給料ばっかりふんだくっていく。お前みたいなのを厄介者と言うんだ。知らなかったか?」
「はぁ」
そうか、俺は大した活躍をしていなかったのか。ゴブリンの大群を最前線に立って撃退したのも、唐突に街を襲ったベヒーモスを食い止めたのも、大量発生したグールから市民を逃がすために殿を務めたのも全部大した活躍じゃなかったのか。個人的には結構頑張ったつもりだったんだが。まぁ、でも別に全部ひとりでやったわけでもないと言われれば確かにそうか。
ゴブリンと戦った時は同じA級冒険者の仲間たちが一緒だったし、ベヒーモスはラゼンとドロシーと懸命に連携を取り合った。対グールではゲルドとシャーレーが一緒に危険な位置についてくれたし、最後はみんなが救援に来てくれた。
まぁ、確かに俺だけ特別活躍していたかというとそうでもないのか。
しかし、クビにするほどだろうか。一応活躍してたような気がするんだが。
うーん、やはりなにか納得いかないような。
「もしかして、リーゼと良く組むのが影響してるのか?」
「........なんの話だ?」
そういえば、小耳はさんだことがある。ハイマ―を大団長から下ろして第2団長のリーゼを大団長にしようという声があるとかなんとか。
リーゼが実際そんな動きをしているわけでも、周りが動いているわけでもなく、単なる意見の広がりだという話だが。つまり、所詮まだ噂なはずだが。
つまり、それだけハイマ―が嫌われているわけだが。
そして、俺はそんなリーゼにどうやら気に入られているらしく、リーゼは良く俺を使ってくれたわけだが。ハイマ―から見ればリーゼの腹心のように見えるかもだが。
しかし、まさかそんな。まだ噂程度の動きに危機を感じて俺をクビにするなんてそんなはずは。
ハイマ―はかなり汚い手で大団長になって、誰もが認める小心者の卑怯者だがまさかそんなはずは。
「とにかくお前はクビだ。とっとと荷物をまとめて出ていけ」
「拒否権は」
「ないに決まっているだろう。この国の頂点のS級パーティの我々は王家とも繋がっているのを忘れたのか? 私の決定を断ると言うことがどういうことか分かるだろう」
「まぁ、それはそうか」
つまり拒否権なし。
俺が何を言おうが、どう抗おうが効果なしということだ。
もはや仕方ない。
とてつもなく理不尽だが俺はこのパーティから出ていくしかないらしい。




