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「同居生活…だと!?」衝撃の新学期スタート!

【公式発表】藤尾高校・特別告知


『少子化問題に対応する全国的な取り組みの一環として、藤尾高校は“ユースカップル・イニシアチブ”のモデル校に選ばれました。


選ばれた男女各3名、計6名の生徒は、監督付きの寮にて1年間共同生活を送ります。


目的は、情緒的な絆の形成、責任感の育成、そして深い社会的理解の促進です。


卒業時、生徒たちは互いの絆を正式に認め合う“結びの式”に参加する選択が可能です。


なお、ペアリングはランダムで行われ、プライバシーは住居決定時まで完全に保護されます。


対象生徒は、今週末からの同居生活に参加してください。』


その瞬間、教室内は爆発的な反応に包まれた。


「えっ……!? 一緒に住む? 女子と!?」

和泉がペンを落としかける。


「神よ……17年の独り身生活のご褒美がこれか……」

天音は天を仰いで両手を掲げた。


そんな中、静かにネクタイを直していたのは、鎌戸ユウタ。

V字型の引き締まった身体、鮮やかな青い瞳、そして知性と規律を纏ったその姿。

――しかし、内面ではいまだに根っこに残る“陰キャ”がそっとざわついていた。


(俺は……ただ勉強して静かに過ごしたかっただけなのに……)


そのとき、教室の後ろから誰かが囁いた。


「まさか……ランダムってことは……エリカ先輩と同居の可能性も?」


別の女子も息をのむ。


「えっ……もしユウタくんと同じ家になったらどうしよう……!?」


「最近静かで頭良くて……」「先週のテスト、学年2位だって」「2-Bの“影の王子”だよね……」


女子たちはヒソヒソと視線をユウタに送りながら盛り上がっていた。


昼休み

「おいユウタ、今日の舞の視線に気づいたか? あれは確実に“狙ってる”ぞ!」

和泉が笑顔で隣に腰を下ろす。


「エリカも朝の出席確認でずっとお前の方見てたしな」

天音もニヤニヤしながら言った。


ユウタは首の後ろをかきながら小さく答える。


「いや……気づかなかった。まだ自分の気持ちも、よく分かんないし……」


和泉は弁当をつつきながらニヤリと笑う。


「まだユキのこと考えてるんだろ?」


……その名に、ユウタは何も言わなかった。

今日のユキも、いつもより静かだった。

でも目が合ったあの瞬間、いつもより少しだけ――長く、視線が交差していた。


週末・同居ペア発表

その日の朝、寮の掲示板に一枚の紙が貼り出された。


【同居メンバー】

鎌戸ユウタ

白銀アマネ

秋広イズミ

春川マイ

桐生エリカ

西村ユキ


「ちょ……えっ!? 俺ら全員!?」

天音が絶叫する。


「まじで……? 冗談だろ……」

和泉も震える声でつぶやく。


ユウタは、掲示をただ見つめていた。


(舞、エリカ……ユキまで……みんな、同じ家……?)


引っ越し当日・午前

キャリーケースを引きながら、6人は新たな住まいにたどり着いた。

その名も――「星空ヴィラ」。

三階建てのモダンな和風建築。広々としたリビング、二つの洗面所、庭園、男女別の居住エリア。


玄関は静かだったが、空気には緊張と好奇心、そしてほんの少しの期待が混ざっていた。


コツコツと木の床を歩きながら、ユウタは中を見渡す。


そして思い出す――政府の公式ガイドライン。


男女3人ずつの共同生活

各フロアに男女別の部屋

女子部屋は指紋認証ロック

自分のエリア以外は立ち入り不可

家事はすべて学生たちが自分で行う

安全と成長評価のため、すべての行動は非公開で記録される


(俺たちはただのルームメイトじゃない……

国家レベルの“社会実験”の被験者なんだ)


舞は明るく笑いながら、エリカと腕を組んで2階へ向かっていた。

ユキはその後ろを静かに歩き、眼鏡を押し上げながら一瞬だけユウタと目を合わせ――すぐに視線を逸らした。


一方、和泉はキッチンを開けまくって大興奮。


「やばっ……ここ、マスターシェフのアリーナかよ!」


天音はソファでくつろぎながらテレビを見ていた。


「ははっ……NHKもNetflixもあるし、この空気感……完全に“恋愛実験室”じゃん。神よ、我を見守れ……」


ユウタは階段の前でバッグを下ろし、静かに息を吐いた。


(これが――始まりか)


親友と、その“好きな人たち”と……

そして“もしかしたら自分の好きな人”とも――

一つ屋根の下で始まる、共同生活の幕が上がった。




作者コメント:

こうして始まった、6つの心の物語。

でも――誰が誰と結ばれるかは、まだ誰にも分からない。


あなたの推しカップルは?

大胆な予想も、コメントで待ってます!


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