そしてまた繰り返す
「…っり!伊織!」
はっと目が覚める伊織。
「り、つ?」
「お前眠ったかと思ったらうなされていたぞ」
伊織は再び律の膝の上に頭を乗せていたのだ。
この感触はさっきの時と一緒。
「伊織?」
律は心配して伊織の顔を覗き込む。
そんな律に
「な、なんでもない!」
伊織は今の表情を見られたくないためか顔を律の膝に埋める。
「お前が動揺するなんて珍しい事もあるもんだな」
「そんな事ないよ。動揺なんてしてない」
涙を律に見つからないように拭いながら伊織は強がる。
律を夢の中だけの人だなんて認めたくない。
キミは私の夢の中の人?と聞くのはさすがに憚られた。
「そうかならいいのだが」
律はまた本に視線を戻す。
「何読んでるの?」
「ん?ああ気になるのか?」
「まあ。気にならないって言えば嘘になるね。
そんなに真剣に読んでるからさ」
「今は精神疾患と睡眠というタイトルのものなのだがそれなりに興味深い」
律は伊織の夢の世界の人なのだから
伊織の強い影響を受けて行動してるんだなと
本のタイトルに納得がいった。
「律は私の事好き?」
「好きじゃないわけないだろ」
律はそういうと視線は本のまま伊織の頭を撫でる。
「なーんかその言い方どうな「好きだよ」
律はいつのまにか本を閉じていて視線が合う。
夢だから夢だから…
『夢じゃだめなの?』
心の中で囁く声が聴こえた。気がした。