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【10/15 発売】肉食令嬢は、肉のために結婚することにした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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82/87

82:レオンは懇願する。

 



 ✾ ✾ ✾ ✾ ✾




 嫌な予感がして、クラウディアの私室の前で戻りを待っていた。

 いつかは話さなければと思っていたが、もっと違う形で二人きりで話したかった。

 ちゃんと思いを伝えたかった。


「クラウディア、俺とは目を合わせたくない?」


 先程から一切合わない視線は、そういうことなんだろう。

 

「クラウディア」

「馴れ馴れしく呼ばないでください」

「っ、クラウディア……契約結婚の内容を聞いたんだな?」

「はい。離縁してください」


 ――――っ。


 心臓が止まりそうだった。

 いつかはこうなるとは思っていた。だが、大丈夫だとも思っていた。

 確かに始まりは歪だったが、俺たちの間には確かな愛が生まれていたし、互いに想い合っていた。

 だから、クラウディアがそこまで拒否するとは思っていなかった。


「離縁………」

「そういう、契約ですよね?」

「っ……」


 どうしたらいい?

 なにを言ったらいい?

 クラウディアを悲しませてしまった。

 クラウディアを傷付けてしまった。

 クラウディアを苦しませた。


「俺がクラウディアを愛しているのは、伝わらなかった?」

「…………わかんない」


 クラウディアの瞳からボロボロと涙が溢れ出し、それがドレスのスカートを握りしめた手の上に落ちていった。

 泣かせたくないのに、泣かせてしまった。

 

「クラウディア――――」

「触らないで! 名前を呼ばないでっ!」


 悲痛な程に叫ばれてしまった。

 クラウディアの頬に手を伸ばそうとしたが、力の限り払い除けられてしまった。


「っ……すまない。君をこんな風に泣かせたのは何度目だろうな?」


 男として、夫としても不甲斐なさすぎて、自己嫌悪に陥ってしまう。

 愛しい者を傷付けて、何をしているんだろうか、と。


「離縁したくない」

「お父様のもつ権力はそこまで魅力的なのですね」


 何を言っても、違う風に取られる。


「恋も愛も、充分に知りました。もうこれ以上は知りたくないです」

「っ…………では、俺と契約を結び直してくれ」

「へ?」


 クラウディアが逃げられないようにする。

 クラウディアが俺のそばにいるしかない方法を取る。

 どんなに卑怯だろうと、どんなに苦しかろうと、俺はクラウディアを絶対に手放さない。


「君の実力なら、一人でもある程度のところまでは行ける。俺と結婚生活を続ける代わりに、ヴァルネファー領での狩猟生活を保証する。竜のような希少種の討伐も、俺がともにいる場合ではあるが参加を許可する。食べたい肉はいつでも何でもどれだけでも用意する。国民全員が揶揄するほどの狩猟民族だ。約束は違えない。だから、結婚したままでいてくれ。君を名前で呼ばせてくれ。どうか――――」


 ――――どうか、君のそばにいさせてくれ。




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◇◆◇ 10/15発売! ◇◆◇


肉食令嬢は、肉のために結婚することにした。
書籍表紙


表紙&挿絵は『春名ソマリ』先生っ!
お肉お肉なクラウディアと、甘やかし上手なレオンがめちゃくちゃ幸せそうに描かれてるぅ!

そして、どえらくラブラブな挿絵に悶えてけろ!!!!

♣ カクコン10受賞作! ♣
KADOKAWA ビーズログ文庫様より、10/15 発売です。
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

販売店舗一例としてリンクボタンを置いておきます。


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