75:国王からの書簡と要請。
レオン様と少し遅めの朝食を取っていました。
メニューはもちろん、竜ハムをふんだんに使ったサラダ類。
「――――ん。わかった」
執事から留守にしていた間にあったことを聞いていたのですが、国王陛下から緊急用の書簡が昨晩に届いたとのことでした。
就寝時の緊急用は、執事が中身を確認してからレオン様を起こすか決めるそうなのですが、国王陛下からの書簡でも同じ対応をされるとのことです。
そして…………緊急ではなかったので、今報告したとのことでした。
――――緊急とは?
まぁ、内容を聞いた限り、たしかに緊急事態ではありませんでしたが。
「私は王都からここまで五日掛かったのですが、緊急用の書簡はどのくらいで到着するのですか?」
「モノによるが、半日から二日だ」
半日は魔鳥による伝書鳩的なもの。
魔鳥は種類によっては飼い慣らせるそうです。初めて知りました。
人が運ぶ際は二日程度は見ておくそうです。
「竜の討伐が成功したと報告をしていたからな。その返事がこれなのだろう」
陛下からの要請は『得た素材や装飾品を持ち、王城に来るように』とのことでしたが、お肉もでしょうか?
「いや、肉はいらないと言われるが……殿下から祝いでいただいた逆鱗も含まれる」
双方の国で報告書を提出しあうそうで、目録に齟齬が生まれて疑われるのは得策ではないそうです。そして、最悪の場合は搾取されてしまうと。
私としては一向に構わないのですが、もし取り上げられてしまった場合、ゼルファー様のご厚意を無下にするようで、少し心がいたくなると思うのです。
気になることは、それを知られた場合に国同士や、ヴァルネファー領とラングス帝国の関係にヒビが入ったりなどがないのか、ということ。
「心配ない」
レオン様いわく、国同士としては、既に手遅れとのこと。
それは、『心配ない』という言葉で本当にいいのでしょうか?
「ん。まぁ、仕方ないとも言うな?」
――――なるほど?
そこまで愛国心があるわけでもありませんが、レオン様たちの国に対して一歩引いたような感覚は、まだ慣れません。
いつか話していただけると、嬉しいなと思います。
陛下の要請を受け、レオン様は王都には出向く決意を固められました。
本日のお昼から出立するそうです。
お気を付けて、とお見送りするつもりだったのですが、ついてこないのか!? と、いたく驚かれてしまいました。
「へ?」
「社交シーズンも始まっている。王都の友人やお父上に会わなくてもいいのか?」
「あー、んー……あ、そうですね。同行させてください」
そういえば、レオン様との契約の内容は明かされていないので、そこら辺を聞きたいなーとは思っていたのでした。丁度いい機会なので、お父様の藪を突付いてみようと思います。





