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【10/15 発売】肉食令嬢は、肉のために結婚することにした。  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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61/87

61:念願の…………

 



 ハラハラしたり、胃がキリキリしたり、どうにも落ち着きませんが、何度も深呼吸を続けます。

 支援部隊として来たのです。職務は全うしなければ――――。


「殿下! ヴァルネファー軍レオン様が赤竜の両足の腱を斬りました」

「うむ。……ヤツなら次は腕をやるな。総員に伝達! レオンの援護を各隊交代で行え!」

「ハッ!」


 レオン様が、戦っている。

 それだけで胸と目頭が熱くなります。

 胃がギュルッといったのは気のせいだと思いたいです。なぜこんな時にまで、私のお腹は反応するのでしょうか?


「私たちは私たちの仕事を全うしますよ」

「「はい!」」


 耳をつんざく悲鳴のような、赤竜の咆哮が何度も聞こえました。そのたびに背筋がぞわりとします。

 レオン様は、強い。

 それはわかっています。

 でも?

 もしかしたら?

 そんな不安を抱えながら、遠くに見える赤竜と騎士たちの戦いを見つめました。

 



 何時間、経ったのでしょうか。

 支援部隊の面々も交代で休憩しつつ、凍える手指に息を吹きかけたり、焚き火で少し暖めたりしながら、戦闘の行方を見守りました。


 辺りが薄暗くなり、チラチラと雪が舞い落ち始めた時でした。

 またもや炎が、ファイアブレスが吐き出されました。

 ただ、今度は咆哮と同時に天に向かって。


「なんだあれ……」

「まだあんなブレス吐けるのかよ」


 休憩していた面々がゆっくりと立ち上がり、赤竜の方を見つめます。

 レオン様は二度ほど休憩に戻られましたが、どちらも五分ほど。あまり怪我等の確認が出来ませんでした。

 

 ――――レオン様。


 胸の前で指を組み、寒さから来るのか不安から来るのか、よく分からない震えを誤魔化しながら、赤竜のいる方向を見つめました。

 ワーワーと甲高い歓声が上がっています。

 何かが起こったのだけしかわかりません。

 今すぐレオン様の元へ、走って向かいたいです。

 でも、我慢。

 私はここの責任者ですから。

 体の横でグッと拳を握りしめた時でした。


「――――ウディア! クラウディア!」


 遠くからレオン様が私を呼ぶ声が聞こえました。

 支援部隊員たちに「行ってください!」と言われ、近くに置いていた弓を担ぎ、なりふり構わず大股でレオン様の元へと駆け寄りました。


「馳せ参じました!」

「ブフッ。ん、ほら」


 要塞のように大きかった赤竜が地に伏っし、いたるところから血を流して絶命していました。

 近寄ると、未だに赤竜の体温を感じます。


 ――――いけない。


 赤竜自身の熱で、お肉が傷んでしまいます。

 早く解体作業に入らねばなりません。支援部隊の面々をここに呼ばねばならないのに、足が動きません。


「いま、ラングス軍が魔石と素材の収集をしている。その後に全隊員で解体作業に入る」

「……はい」

「クラウディア、竜種の肉だ。しかも、特上だぞ?」


 レオン様が、なんとなく不安そうな表情で、私の顔を覗き込んできます。

 それもそうでしょう。念願の竜種のお肉が目の前にあるのに、私はちょっと泣きそうな顔になっているはずですから。


「無事で、良かったです」

「クラウディア…………あー、いかんっ!」


 急にベチンと聞こえたので、何事かとレオン様をみれば、右手で目元を押さえ、天を仰いでいました。




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◇◆◇ 10/15発売! ◇◆◇


肉食令嬢は、肉のために結婚することにした。
書籍表紙


表紙&挿絵は『春名ソマリ』先生っ!
お肉お肉なクラウディアと、甘やかし上手なレオンがめちゃくちゃ幸せそうに描かれてるぅ!

そして、どえらくラブラブな挿絵に悶えてけろ!!!!

♣ カクコン10受賞作! ♣
KADOKAWA ビーズログ文庫様より、10/15 発売です。
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

販売店舗一例としてリンクボタンを置いておきます。


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― 新着の感想 ―
[一言] クラウディアが竜肉より気になる事があるですって?! クラウディア大人になって( ・ ・̥ )感涙 次回「俺は竜肉の前にクラウディアが食べ…」
[良い点] 互いに身も心も慈しみ合い、胃袋まで掴み合う相思相愛って最強だと思います♪ [一言] 更新感謝です^^ さあ!精肉だ(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!
[一言] クラウディアはまさか肉より優先するものが出来るとは思っていなかった 次回! 上手に焼けました! Coming soon!
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