表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/86

6:健康的な人の朝食?

 



 ◇◇◇◇◇




 『狩猟民族』こと、辺境伯家に来て四日目。

 ただいま私は朝食を目の前に固まっております。


「どうした? 食べないのか?」

「い、いただきます」


 目の前には、少量のスクランブルエッグ、リーフサラダ、バターロールが二個、コーンスープが並んでいます。

 昨日もでしたが、少なすぎませんかね?

 

 ――――それに、お肉は!?


 こんな少量かつ肉類も取らずに、どうやってお昼まで過ごせと?

 チラリと見たレオン様は、特に不平も不足も感じていなさそうで、私に軽く微笑み掛けながらパンを食べられています。

 ニコッと笑い返すと、更にニコッと笑い返されました。

 何でしょうかコレ。


「足りないようだったら、給仕に欲しい物を伝えるといい」

「……はい。ありがとう存じます」


 どうやら、まだ私の食事量が掴めていないので、とりあえずレオン様に合わせていたようです。

 昨日は狩りの訓練に参加させていただけるという興奮から、朝食は気もそぞろで食べていたので、空腹はそこまで感じませんでした。

 もし、これが毎日続くのなら、私は餓死してしまうかもしれません。

 そもそも、レオン様はこの量で足りているのですか?

 燃費が良すぎませんかね?


「っ、くくくっ」


 急にレオン様が笑いだされました。

 どうしたのかと聞くと、私が百面相しているのが面白かったのだとか。私、そんなに顔に出ていましたかね?

 ちょっと恥ずかしいです。


「気にせず食べなさい。私は朝はあまり食べないんだ」


 あら。レオン様って結構優しいんですのね。

 お父様だったら『クラウディアちゃん!? ちょ、朝からそんなに食べたら乙女としてどうかと…………あ、はい、ごめんなさい』とかグダグダになる流れですのに。


 壁際に控えていた給仕を呼び、追加を頼みました。


「パリッパリに焼いたウインナーを八本……あ、皮は割れてもいいので、パリッパリに。あと、薄切りのベーコンを少しクタッとさせた感じで焼いたものは五枚くださいます? 味付けは何もしなくて構いませんわ」

「っ――――え? あ、はいっ、直ぐに」

 

 給仕が挙動不審になりながらも礼をして厨房に向かいました。

 レオン様と、その斜め後ろにいる執事と侍女が、ぽかんとした顔で私を見つめてきます。

 やっぱり()()()()食べ過ぎなのかしら?


 頼んでいたウインナーとベーコンは、十分ほどで来ました。

 焼き立てで、表面からは湯気が立ち上っています。


 お礼を言いつつ、ウインナーをフォークでブスリ!

 油が小さく弾けているようなジュワワワという音が損なわれないうちにガブリと噛り付くと、ウインナーの皮がパキッと弾けました。

 口の中でスパイスがしっかりと利いたお肉が踊っています。


「んんっ! おいひい!」


 ハフハフしつつ、お肉を咀嚼していて気付きました。

 ここのウインナーは赤身の割合が多いようで、しっかりとした歯ごたえがありました。


 ウインナーは、豚の赤身、脂肪、塩、胡椒が主な材料で、スパイスは領地や家庭によっても変わってきます。

 我が領地は『赤身3:脂肪1』ですが、ここは『赤身6』くらいありそうです。


「こひらのウインナーは、どきょからか仕入れられているのでふか?」


 はしたないと分かっていつつも、美味しいので咀嚼をやめられませんし、気になるから早く聞きたい、確認したい。

 ついつい食べながら話しかけてしまいました。

 レオン様が苦笑いしながらも、料理長の手作りだったはずだと教えてくださいました。


 こちらの料理長、とてつもなく優秀な人材の香りがします!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◇◆◇ 書籍化情報 ◇◆◇


「お前を愛することはない」と言われたので「そうなの?私もよ」と言い返しておきました。 〜氷の貴公子様と紡ぐ溺愛結婚生活〜
書籍表紙


美麗すぎてヨダレものの表紙絵を描いてくださったのは、『シラノ』様っ!
脳内妄想だった氷たちが、こんなにも美しく再現されるとか、運使い果たしたかもしれない……

あ! この作品も、もりもりに加筆しています。(笛路比)
おデートとか諸々ね。ラブなストーリーを主に。コミックシーモア様は限定SSもあるよ☆
ぜひぜひ、お手元に迎えていただけると幸いです。

各種電子書籍サイトで販売されていますので、一例としてリンクボタンも置いておきます。


▷▶▷ コミックシーモア

▷▶▷ honto

▷▶▷ Amazon

▷▶▷ BOOK☆WALKER

― 新着の感想 ―
[気になる点] 肉の量以前に塩分摂取量が気になる… 薬液漬けの日本の大手メーカーのソーセージやベーコンと違って、ちゃんと手作りしてる本物はしょっぱいですよ!そこにさらに塩とか死ぬ もっと付け合わせ野…
[良い点] 肉食令嬢の語路に笑いましたw 狩りをしてる以上、荒事で怪我を負う可能性もあるのに...綺麗っぽそうですし、目茶苦茶有能なのでは? [一言] 朝から重たい肉が食べれるの羨ましいですねー(遠い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ