52:総員、出発!
レオン様が次々と指示を出されているのを、ジッと見守ります。というか、ガン見しています。
キリッとした表情で、ハキハキと話すレオン様は、物凄く凛々しくて格好良いのです。
「以上! 各自、出発準備に取りかかれ。一時間後に本部前に再集合だ」
「「はいっ」」
指示が終わると、レオン様が厳しいお顔で近付いて来られました。
「クラウディア、約束は覚えているな?」
「はい。後方支援に徹底する。戦闘には参加しない。です」
「ん……弓を担いでいるのは?」
「道中で野生動物や魔獣が出たとき用です」
「ん」
レオン様がこくりと頷くと、私の頭をぽんぽんと撫でてくるりと踵を返されました。
足早に去っていかれるので、本当に時間がないのでしょう。
「準備は整いましたか?」
「「万端です」」
集合時間の三十分前に、見習い騎士たちと演習場に一旦集合しました。
事前に準備をしていたので、装備の最終確認や家族へ連絡する時間にあてていたようです。
騎士団本部の前に向かうと、遠征に向かう歴戦の騎士様たちがズラリと並ばれていました。そこに後方支援の私たちも並びました。
戦闘部隊三十名と後方支援十五名の総勢四五名で、戦地へと赴きます。
全ては、市民の安全とドラゴン肉のために!
「戦闘予定地は――――」
戦闘は山頂付近になるはずだが、どちらの国側になるかはまだわからないとのことでした。移動に要する時間は六時間程度で、行けるところまでは馬車で。休憩は二度ほど挟むそうです。
「――――ついてこれないものは、置いていく。良いな?」
「「はいっ」」
「馬車に乗りしだい出発する!」
レオン様が出発の号令をかけると、皆が一斉に隊列を組んで馬車に乗り込み始めました。
レオン様はラースに乗り、馬車の横を並走されるようです。
アレクには、副団長のケヴィン様が乗られています。
お二人の様子を見ていると、レオン様と視線が合いました。
無言ではあるものの、少しだけ微笑みコクリと頷かれました。
きっと、『また後でな』ということでしょう。
私も微笑み返して、馬車に乗り込みました。
いまは、赤竜を倒すことを最優先としなければなりません。
少しだけ浮かれ気味にはなっていますが。
――――赤竜のお肉。
パシンと両頬を叩き、気合を入れ直します。
人的被害が出ては、美味しいものも美味しくなくなります。
私たち後方支援は、戦闘部隊の皆さまをしっかりサポートする。
「頑張りましょうね」
「はい!」
後方支援部隊は馬車二台です。
戦闘部隊である騎士たちの乗る四台の馬車のあとに続き、出発開始しました。





