37:実はモテモテ?
ドライソーセージやドライフルーツを食べながらおしゃべり。
「王女殿下はどんな邪魔をして来られていたのですか?」
「ん……まとまりかけている婚約相手に、この領地は魔獣が襲ってきたら、女子供も戦いに駆り出されるとかな」
「え? それだけで婚約者になる予定の人は逃げるのですか?」
「いや、うん。クラウディアはそうなんだけどな。うん……」
なぜか言葉を濁されてしまいました。
それにしても、レオン様モテモテじゃありません? 気のせいです? 私、婚約者とかいたことありませんが?
「クラウディアは……うん……うん。置いておこうな…………なっ!」
先程より酷く言葉を濁されましたが、濁せていませんよ?
「いえ、狩りをしていることがネックなのは、分かっているんですけどね。きつね狩りのような、遊戯以外の狩りを馬鹿にする風潮には、納得がいきません」
「確かにな。貴族たちには『賤しい』と思われているものな」
悲しいことですね。
狩り、酪農、農業、漁業、その他にも様々な職業の人たちに支えられて生きていますのに。どうして上下を決めてしまうのでしょう。
レオン様たちがしてくださっている、魔獣討伐もそうです。討伐や駆除をしていただけているから、都会で安全に暮らせていますのに。
まぁ、私もこちらに来るまで知りませんでしたが。
王都付近の山にばかり行っていたせいでしょうね。
社交も極力避けていましたし。
「なぜ避けていたんだ?」
「あまり楽しいとも思えなかったのと、ずっと遠巻きに見られるのですよね。男性方に」
うんうんと唸っていましたら、レオン様から、「あー………………男性陣の気持ちはわからなくはない」と言われてしまいました。
その気持ちが知りたいのですが、後ろで苦笑いをするばかりです。
「教えてくださらないのですか?」
「んあ……言い辛いんだ…………」
「私たち、夫婦ですよね?」
「あー……」
レオン様がおずおずと話し出した内容にポカンとしてしまいました。
「部下いわく、だからな?」
「はい」
「クラウディアは、恐ろしいほどに美人だろ?」
「まぁ、はぁ」
それは、ずっと言われ続けていますし、整った顔立ちだと認識していますが、『恐ろしい』かは、ちょっと分かりかねます。
「ドレスの上からでもわかる、スタイルの良さと、姿勢の美しさ。そして、明らかに育て上げている腕の筋肉」
「……まぁ、他のご令嬢よりは鍛えていますね」
「………………令息よりもな……」
――――あら?
「まぁ、つまりは、自身の身体へのコンプレックスで相手が勝手に遠巻きになっているというだけだ。クラウディアは気にしなくていいが……その、仲良くしたい者がいるのなら、自ら声を掛けにいかないと厳しいかもな」
「なるほど……狩りをしているから、の他にもそんな理由が…………では、気になる方には次からお声掛けしてみます」
「……………………それは男では無いよな?」
またお腹の前に回されている腕に力が入りました。
おやつが出てしまいますので、緩めてほしいです。





