34:重たい鞄の中身。
復活しますた!!!
レオン様の『俺』はなかなかに破壊力が強く、力いっぱいに赤面してしまいました。
当のレオン様はというと、ニヤリと不敵な笑みを称えられています。なんだか悔しいです。
広大な野原のところどころに大木が猛々しく生えており、なんというか、ピクニックというよりは、狩りができそうな場所でした。
少し奥に行くと、丘の下の方に小さな湖があるのだとか。
「そこの周りはいつも暖かくてね、綺麗な花々も咲いている」
「まぁ! 楽しみですわね」
「さ、行こうか」
スッと手を出され、レオン様の内肘に手を添えようとしましたら、手を引かれて、指を絡めるように握られてしまいました。
「へ?」
「恋人たちや、仲のいい夫婦はこうするんだ」
「っ! はいっ」
レオン様がとても楽しそうに笑いながら歩き出されました。先程からずっとレオン様のペースにのまれている気がします。
「その鞄を」
「あ、重たいので大丈夫です!」
「いや……重たそうだから寄越しなさいと……」
なるほどそういう意味でしたか。
ですが、これは何が何でも私が持つのです。美味しいピクニックランチにするためにも!
湖の側にシートを敷き、そこにランチボックスを開きます。
お皿やコップ、カトラリーを用意していましたら、レオン様がポカーンとされていました。
「皿やコップはわかるが、フライパンと石!? 炭!? 鉄板!?」
「はいっ!」
先ずは平たい場所に鉄板を置きます。
草花が燃えたらどうしようかと思いましたが、湖の側はところどころ開けた砂地みたいなっていたので万々歳です。
鉄板のうえに、拳大の石でフライパンが乗るくらいのサークルを作り、その中心に炭を置きます。
その辺の枯れ草を引きちぎり、丸めた紙の中心に置き火打ち石で着火。
すぐに炭の中にそれを投下。
「――――よし!」
「いや、うん、火は着いたな」
「はい!」
フライパンにバターを引き、厨房で用意していたサンドイッチをそっと並べます。
パンがバターをジュワリと吸っていく様子は、涎が零れ落ちそうになります。我慢です! レオン様の食べ物を汚染するわけにはいけません!
「垂れてる! 垂れてる!」
「おっとすみません。中には落ちてない事を願います」
「いや、うん。良いんだけどな……焼いたパンでそこまで…………」
「なっ!? 焼いただけと侮るべからずです!」
レオン様は分かっていないのですね、ホットサンドという魔の食べ物のことを!





