26:卵生だから……?
屋敷に戻り、湯を浴びるのは後にして着替えだけ済ませることにしました。
レオン様は湯浴みをされるそうですが、女性の準備はどうやっても時間が掛かるので、このあとお仕事に行かれるレオン様を待たせてしまうのは嫌でしたから。
朝食の席に向かいましたら、二羽のコカトリスの卵輸管に卵があったと報告されました。
目玉焼きにして食べるかと聞かれ、少し考え込んでしまいました。
「おや? 奥様が悩まれるのは珍しいですね?」
だって、気になるじゃない?
鶏部分がほとんどだから鶏卵……と言うか、コカトリス卵なのでしょうけど、蛇も卵生よね? 稀に蛇の部分が強く出たものとかが混ざっていたりしないのかしら? コカトリス卵なのなら、蛇の部分にある毒はどうなっているのでしょうか? など、色々と気になります。
辞典などには書かれていませんでしたから。
「目玉焼きは、半熟気味でお願いいたします。食パンにベーコンと一緒に乗せて食べたいです」
「あ、結局召し上がられるんですね」
それはそうでしょう。食べるかと聞いたということは、そもそも食べて大丈夫だからでしょう? 気になったのは、ただの分析や可能性をどうクリアして食用と認識されるようになったのか、という部分ですし。
「ん?」
湯を浴びて髪の毛をしっとりとさせたレオン様が食堂に来られました。何の話をしていたのか聞きたがられたので、ざっくり掻い摘んで説明しました。
「ふむ。どこかでまた見習いたちの実践や、座学などにも参加してみるか?」
レオン様は見習いたちとなら、まぁ大丈夫だろう、と仰ってくださいましたので、「ぜひ」っと前のめりでお願いいたしました。
「いつですか!? 今日? それとも明日ですか?」
「んはは、気が早いな。んー…………明後日以降にはなるが、見習いたちにも伝えスケジュールを組む」
「はいっ! よろしくお願いします」
そんな話をしていましたら、目玉焼きとカリカリベーコンを給仕がもってきました。
焼き立てであろうベーコンからは、ジュワジュワと油がわくような音と匂いが漂ってきます。
「まぁ! 大きい目玉焼き!」
コカトリスの卵で作られた目玉焼きは、普通の鶏の二倍以上ありました。殻はとても硬く、ノミと木槌で叩いて割っているそうです。
それも知りませんでした!
レオン様にほかの魔獣のことを聞きつつ、コカトリスの目玉焼きを頬張りました。





