22:狩りへ行こう!
朝日が登る前に飛び起きました。
早速狩りの準備です。
「ん……まだ………………早いだろ」
少し寝ぼけ気味のレオン様が目を擦りながら起き上がられました。
淑女の準備は時間がかかるのです!と腰の両側に手を当てて言うと、ふにゃりと笑われ、「ん、行っておいで」と言われました。
寝ぼけたレオン様が可愛いです。
諸々準備し終えた頃に、レオン様が衣装部屋に到着したと侍女に言われました。そして、五分もしないうちに準備が終わったとも。
「早っ」
驚きながら廊下に出ましたら、白シャツに焦げ茶のズボン、そしてチェストプレートとマントを着け、腰には剣を下げたレオン様がいました。
シンプルかつスマートな装いです。
「軽装ですね?」
先日まではしっかりと騎士服も各種プレートも着けられていましたが?
「ん。クラウディアは予定外の動きはしないし、予定外の場所にも足を踏み入れないから」
――――あら。
いつの間にか信頼を得ていたようです。嬉しいような? ……普通に嬉しいですね。つまりは護らねばならない存在ではなく、横に立って良い存在なのですよね? それって、凄く格好良くありません?
そう考えると、ニヤニヤが止まりません。
レオン様がキョトンとしていますがスルーです。気にしないで下さい。
今日もレオン様は芦毛のラースに、私は白馬のアレクに乗って、狩り場まで駆足です。
早朝に風を切りながら走るのは少し寒いですが、濃紺の空が徐々に白く染まゆき、日が昇りだす瞬間はとても幻想的で美しいです。
見晴らしのいい場所で少しだけ速度を落とし、レオン様とともに空を見つめました。
「綺麗」
「ん、美しいな」
馬上なので口数は少なくなってしまうものの、同じ空気を吸い、同じ空を見て、同じように思う。とても素敵な瞬間ですね。
あとは、同じお肉を食べて、同じように美味しいと思えると、とても最高の一日になる気がします。
「寒くないか?」
「はい」
「ん」
また駆足に戻します。
日が登りすぎてしまうと、隠れてしまうものもいますから。
初心者用の狩り場手前で馬を木に繋ぎ、目的地に向かいます。
会話はなるべく減らし、音を立てないように山を登る。
心臓がバクバクとします。狩りに来ているという高揚とレオン様と一緒にいられるという高揚、どちらが大きいのでしょうか? じぶんでもよくわかりませんね。
こういうのは気にしたら駄目なやつですね。
眼の前の魔獣に集中しましょう。
ファイアーラットは害獣で討伐対象、コカトリスは普通に美味しいヤーツ!
――――いたっ!





