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シン・ヲタク爆誕!  作者: 大原英一
剛流恵子の苦悩
6/19

【2-2】

 佐須刑事の口から事件──相撲原市死体遺棄のあらましを聞かされた。

 アタシもYapuhニュースでちら見したくらいだが、殺されたのはTAC七郎というタレントで元祖ヲタクとして有名だったらしい。知らんけど。

「死体を遺棄した場所も野原や山中じゃなく、個人宅の玄関先だ。宅配物かっての」

「(死体を)送りつけてきた、と」

「ああ」刑事は苦々しい顔で、「その個人宅で当日、奇妙なパーティが予定されていたんだが。ヲタクのパーティだな」

 ヲタクの被害者に、ヲタクの集まり……。キーワードはそれか。


 そのワードが出るたびアタシの脳裏にある人物が思い浮かぶ。

「あの、佐須刑事。私の知り合いでヲタクに詳しい男性がいるんですが」

「そうか、ぜひ呼んでくれ」

「早っ」

 思わず絶句するとともに刑事の目論見に気づいた。彼は最初からアタシではなくあいつ(・・・)に用があったのだ。


 目黒信二。アタシの大学時代の同級生で、おなじミステリー研究会に所属していた。ミステリー3割に対し「萌え」への興味が7割という変り種だ。

 卒業後はそれほど頻繁に会っているわけではないが、なんじゃかんじゃ年イチくらいのペースで顔を見ている気がする。

 ちなみにアタシはヤツの彼女でもなんでもない。

 最後に目黒と会ったのは……そうだ、半年前に事務所の片づけを手伝ってもらったんだった。

 叔父がニューヨークへ発つ直前で、だから、目黒は叔父とも面識がある。男ふたりでガンダーラ(アニメ)の話で盛り上がっていたっけ。


「ヒドいじゃないですか。叔父と口裏を合わせていたんですね」

 考えてみれば、叔父と親しい佐須刑事がニューヨーク行きの話を知らないはずがない。

 刑事は事前に叔父にメールで事件の相談をしていた。そして叔父は目黒が使えるんじゃないか的なアドバイスをしたんだと思う。

「タッキンは、あれでなかなか人を見る目がある。その知人のかたには期待しているよ」

「私はダシですか。それとも不要?」

「いやいや」刑事は手を振りつつ、「タッキンは姪御さん──あんたのことも頼りにしている。本当だよ。さっきの芝居は謝るけど、オレもあんたの反応が見たかったんだ」


 腹が立つのとはべつに、なんかヘンなやる気みたいなものが(みなぎ)ってきた。

 アタシもそろそろ探偵として独り立ちするべきときかもしれない。まあ今回は目黒に頼るけど。ヲタクの案件だけにね。

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