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シン・ヲタク爆誕!  作者: 大原英一
三沢功一郎のやらかし
3/19

【1-3】

 5月16日(木)、3日後の降霊会(ほんばん)に向けてリハーサルをウチでやることになった。

 音響・照明設備も今日中に仕込んでもらうつもりだ。

 ミオタソと会うのがはじめてな上にスタッフさんたちともコミュニケーションを取らなきゃ、みたいな感じで朝からソワソワしっぱなしだった。

 平日なのでもちろん仕事があったが18時にはテコでも上がるつもり、だって19時にミオタソと待ち合わせだからね!

 そんなわけで気もそぞろで出社した。そりゃあ、やらかすわ……。


 午後に営業で外に出た。向かった客先(さき)がまた波多野市の山奥で、最寄り駅からタクシーを拾わないといけなかった。

 無事お客さんとのやり取りを終え、帰りも電話でタクシーを呼んだ。車内でスマホをいじってツイスターを見たりした。

 これがいけなかった。

 途中、会社支給のスマホにメールが入り、そっちにかかりきりになった。

 自分のスマホがないことに気づいたのはタクシーを降りて電車に乗ってからのことだった。


 さいわい、というか慌てることはなかった。

 画面ロックはもちろんかけていたし、タクシーに乗っていたときまで持っていたことがはっきりしていたから。

 なので会社に戻ってから自分のスマホに電話をかけた。ヘンな感じだった。


「もしもし」

 よかった……すぐ電話に出てくれた。相手にしてみても他人のスマホをさわるのは気が進まないだろう。

「すいません、三沢と言いますが」オレはまず名乗った。「そのスマホは私のものなんです」

「ああ……さっき後部座席に落ちているのを見つけました」

「運転手さんですか」

「ええ」

 いちおう確認する。乗客が拾った可能性もなくはない。


「やっぱりタクシーのなかだったんですね。見つかって、よかった」

「交番に届けておきますのでお名前と住所を教えてもらえますか」

「……あの、物は相談なんですが、スマホを自宅まで届けていただくってできませんかね」

 今夜は外せない予定がある。それに明日スマホを取りに行くとしても波多野くんだりまで出かけるのは勘弁である。


「いやいや、困りますって」運転手は半笑いだ。

「もちろんメーター料金は払います。ウチは相撲原市なんですが、今夜どうしても19時半までに帰宅しないといけない用事があるんです」

「……」

「お願いしますよ」

 食い下がったら意外とあっさり了承してくれた。マネーの力、おそるべし。

「19時半ごろ、お宅に伺えばいいんですね?」

「助かります」

 礼を言ってオレは自宅の住所を彼に伝えた。


 やれやれ、思わぬ出費だが大惨事にならなくてまだよかった。

 オレは会社のパソコンからツイスターにログインしミオタソにDMを送った。文面は以下のとおり。

『乙です。じつは今日スマホを落としてしまい、夜まで手元に戻ってきません。リハーサルは予定どおりやりますので《19時に小田急相撲原駅待ち合わせ》は変更なしです。急な用事でボクに連絡したいときは会社用ケータイに電話をしてください。番号は080-XXXX-XXXXです。よろ』

 するとすぐ彼女からスタンプで応答があった。爆笑マークのそれが。


 18時になると速攻で退社した。

 皮裂(かわさき)市にあるオフィスから地元までは電車で30分程度。余裕をもって小田急相撲原駅に着いたオレは、約束の時間まで本屋をうろうろした。

 5分前になって改札前まで行くとミオタソはすでに到着していた。

 分かっていたことだが彼女は(ちっ)さかった。身長150センチ、オレのどストライクゾーンである。

「どうも、インフェルノミサワです」

 むこうはオレの顔を知らないので、こっちから声をかけた。

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