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シン・ヲタク爆誕!  作者: 大原英一
三沢功一郎のやらかし
2/19

【1-2】

 SNSツイスターに思いがけずどハマりしている。

 40を越えたおっさんが年甲斐もなくヲタクの知識を披露したり、青春時代の思い出を遠い目で語ったりしているのである。

 正直、キモいと自分でも思う。だがそんな輩は世の中にけっこういる。おかげで幾人かの仲良しさんもできた。そのひとりがミオタソだ。

 野上美緒──通称ミオタソをネットで調べると日本の声優、女優、歌手、タレントとある。

 はっきり言って知名度は低い。彼女のキャリアでピークは、あのドラマ「快速男」でのレギュラー出演だった。

 それ以降は失礼だがパッとしない。


 彼女も他のタレントさんと同様にツイスターの(アカウント)を持っていて、なんと5万人以上のフォロワーがついている。

 だが「いいね」の数は極端に少ない。

 よく見るとツイスターに登録したのが2011年とかなり古く、冷凍保存状態になっているフォロワーさんも大多数いるのではないかとオレは愚考する。知らんけど。

 ちなみにオレは2年前の2017年からツイスターをはじめて、いまフォロー・フォロワー数ともに200ちょっとだ。

 これくらいの(ちっ)さいコミュニティでちょうどいいと個人的には思っている。


 そもそもオレが知り合ったミオタソは彼女の裏垢だった。女優・野上美緒の本垢ではなくべつのアカウントということだ。

 ツイスターはそういった裏垢をいくつも持つことができて、とくに著名人なんかは重宝しているらしい。オフィシャルと切り換えて使えるしね。

 ミオタソはフォロワー数が400くらいで本業や素性(リアル)を公開していない。

 だから最初に知り合ったときは、ただのヲタクっぽい話題が好きなおばさん、くらいに思っていた。

 おばさんと決めつけるのは早計だったかもしれないが、知っているアイドルの名前からだいたいの年齢は想像がつく。


 思いがけず意気投合し、オレは彼女とDM(ダイレクトメール)でやり取りするくらいの仲になった。DMもまたツイスターの便利機能のひとつである。

 あるとき、オフ会じゃないけど、仲良しさんを募ってイベント的なことをやりたいねみたいな話がDM内で出た。


「降霊会なんて面白いかも」

 降霊会? 誰の霊を召喚するの。

有美子(ゆっこ)

 また古いな……レジェンドやん。

 粥田有美子。人気絶頂だった80年代半ばに突然自殺した元アイドル。そのカリスマ性はポスト松田青果ちゃんと謳われるほどであったらしい。

 それでピンときた。ミオタソはつまり、ゆっこ役がやりたいのだ。


 降霊会自体は子ども騙しみたいなもので、豚の血になぞらえた赤い液体入りのチューブか何かを用意して、ゆっこの遺影のまえでロウソクの火を1本ずつ消して行く。

 最後真っ暗になったところでミオタソ扮する粥田有美子が別室から降臨すると、まあこんな次第である。

 会場はウチ。いやらしい話だがウチは広いからね。親の持ち家をいまはオレ独りで住んでいる。両親は他界してもういない。


 そこからはとんとん拍子に話が進み、なんとミオタソが所属する事務所のスタッフまでがサポートしてくれることになった。

 降霊会はショボくても、ゆっこ降臨後のスペシャルライブはべつだ。音響さん、照明さんがひとりずつ付いてくれるという。

 もちろんこのライブはビデオ撮影し、後でYOUTUBEに上げるらしい。ミオタソもまあ営業活動に(いそ)しんでいるというわけ。

 オレも撮影することに異論はなかったし、ツイスターの参加者さんたちも顔が出るわけではない。

 あくまで、ゆっこに扮したミオタソの動画を撮ることが目的だ。


 そんなわけで降霊会(イベント)の参加者を募ったり日時を決めたりと、わりとオレ自身も忙しくなった。

 本番前にミオタソ、スタッフさんたちと会って打ち合わせも必要だ。彼女に会える……それが何よりうれしかった。

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